2003年新春歌謡ショウ
〜初笑い七福神〜
△△△久美さん的レポート△△△





◎始めに……

 遡ること2001年、カウントダウンライブの後に奇跡のように始まった新春歌謡ショウ……。それもあっと言う間に今年で三度目を迎え、初の大阪公演まで行われる運びとなりました。笑い、泣きながら、久美さんも夏とこの冬、『アイリス』に限り無く近付きながら素敵な芝居と歌を魅せてきました。
 今回のアイリスはいつにも増して、可愛かったです。ただただストレートに、可愛い、と言える可愛さ。アイリスの可愛いところが物凄くダイレクトに伝わってきました。
 金髪のかつらに、ゲームと同じ格好。それが、ほんの一ミリさえも久美さんとギャップを感じないようになってきたのは、いつ頃からだったでしょうか……。理屈抜きに可愛い、って言葉がぽんと出てくる。身長差って何のこと? というくらい。
 歌謡ショウの舞台で、アイリスから久美さんらしい芝居を感じることがあります。しかしそれはこうして後になってからで、観ている間は全く久美さんを感じません。
 久美さんらしさ、というのが、アイリスというキャラクターの範囲に収まっているのでしょう。歌謡ショウの役を自分寄りに持ってくる役者さんもいる中で、久美さんの場合、久美さんの方からアイリスに歩み寄り、またアイリスを自分に引き寄せていったと言えるのではないでしょうか。アイリスの声を出すために早起きをし、コーヒーをたくさん飲んで声を出し、アイリスに入りやすくなるためにミニスカートをはいて稽古に臨む。そうしたことの積み重ねでしょう。だから割合、久美さんのアイリスは基本に忠実に見えますし、その違いとなる部分は大いなる魅力となっています。そして、久美さんらしさが表れても、全く違和感や外れた印象は出てこない。
 ステージの上の久美さんとアイリスを、イコールで結んでいい時が来たのかもしれません。
 けれど普段の久美さんは、全くアイリスとは違います。
 まず声からして違いますし、普段はごく普通の、思慮深い、素敵な大人の女性です。ステージ上で久美さん=アイリスと思わせるのは、全て、久美さんの役者としての力量と努力によるものなのです。
 そんなアイリスにひたすら視点を定めたのが、このレポートです。
 今回は敢えて、久美さんのミスについても掲載しています。久美さんは台詞のミスが本当に滅多に無い方なので、とても心配ではあります。身を切られるような思いもありますが、反省と次回への頑張りを願いながら……。

※アイリスの出番についてのみ、記述したレポートです。久美さんのアイリスに懸けては、どこよりも正しいものです。



♪花組のメンバーが日替わりで担当している開演前・終演後のアナウンス。
 アイリスが担当したのは、7日の昼公演でした。トリ(東京千秋楽)を務めたマリアの前、満を持しての登場です。ここではゲームそのままのアイリス、久美さんの声優としての演技が出たものでした。特に目新しいことはありませんでしたが、ゆっくりめのテンポで可愛らしく、注意事項などを伝えていました。

♪オープニング

 オープニングは花組全員で歌い踊る「イッツ・ショウタイム」でした。「アラビアのバラ」のオープニングの時の衣装、白の燕尾服を基調とした衣装で、胸元の部分にそれぞれのキャラクターの色、アイリスの場合は黄色が反映されていて、背中には同色があしらわれた白い大きな羽根をしょっていました。久美さんは決して痩せ型ではないけれど、身長があり、スタイルが良いので、こうした男装に近いものは本当に、良く似合います。
 歌の冒頭では花組一人一人が新年のご挨拶。アイリスは、
「みんなぁ、いい年になりますように!」
 でした。
 下半身でリズミを取りながら、くるくる回るダンスが印象的で、ステッキを右腕の上から下へと滑らせる動作もバッチリ決めていました。
 マリアがステッキを落とした回が幾度かありましたが、そのそばにいたアイリスはちょっとびっくりした表情になったものの、その後は動揺せずしっかり歌い踊っていました。
 アイリスのソロ・パートは、
¨イッツ ショウ〜タイム この興〜奮にむ〜ねお〜どる〜♪¨
 出で立ちは凛々しいけれど可愛らしい、不思議な魅力を振り撒いていました。
 立ち位置がカンナ寄りにずれてしまった回もありましたが、軽やかにコンパクトに踊る姿は、ダンスのレベルが今も伸びていることの表れ。これからも期待できそうです。


♪第1部#その1

 第1部は人情喜劇のお芝居。マリアの初夢により、七福神巡りをすることになった花組。たもん寺を探し、土手下長屋というところに下りてくるシーンで、アイリスは登場します。さくら、紅蘭に続いて、まずは三人で。
 七福神の格好をして七福神巡りをすることになった花組ですが、アイリスが扮装したのは大黒さま。上は黄色、下は緑を基調とした色鮮やかな服で、特に頭に被った大きな真ん丸い頭巾(帽子みたいな形)と、オレンジ色のショールがアイリスの可愛い顔立ちを物凄く引き立たせ、更に愛らしく見せていました。右手には金色の打ち出の小槌を持ち、朱色の大きな巾着袋を右肩から袈裟掛けに掛けていました。袋の中からジャンポールが顔を出しているのが、また可愛かったのでした。
「ねえ、これで最後だよね!」
 階段を降りながら、アイリスは嬉しそうにさくらと紅蘭に尋ねます。小槌を上に上げた状態で降りてくるのが、なかなか良かったポイントです。何気無いところでちゃんと気を配られ、可愛く仕立て上げられている久美さんのアイリスです。
 今まで回ったところを、数え上げていくさくら。
 すると、神社とお寺がごっちゃになっていることにアイリスは気付きます。
「ねえ、神社とお寺、両方、回ってるよ?」
 後半の日程では、¨ねえ、¨が¨あれ……?¨になっている時もありました。さくらたちの方(舞台上手側)を向きながら、不思議そうに尋ねるアイリス。
 紅蘭がそのことについて説明をし、
「七福神巡りって何(なん)かのおまじない?」
 再びアイリスが尋ねます。
 遊びと答える紅蘭に、アイリスは、
「遊び?」
 とおうむ返しに聞き返します。
 この辺りの台詞回しは、いつものアイリス、完全に子供な、可愛いアイリスのそれです。
 江戸時代の人たちの設定遊びだと説明する紅蘭は、これをRPGに喩えます。
 するとアイリスは、両腕を広げて自分の格好を見下ろし、
「こんな格好で」
 怪訝そうに、ちょっと呆れ気味に言います。さくら、紅蘭とテンポ良く台詞を繋いでいくアイリスです。
「これってコスプレだよねぇ☆」
 満面の笑顔で、アイリスは実も蓋も無いことを言ってしまいます(笑)。
 話は、七福神巡りをすることになった経緯、マリアの初夢に移ります。
「初夢ぇ?」
 と聞き返すアイリス。紅蘭が夢の内容について話します。
「マリアって初夢なんか信じるんだ」
 一段階、トーンが上がった声で、アイリスは意外そうに言います。そして半瞬、微妙な間を置いて、
「ロシア人なのに」
 客席の方へと向きながら、言います。
 やがてこの後、マリア、レニ、織姫が舞台下手より現れます。織姫はぶうぶう文句を言っていて、七福神巡りに意味はあるのかと尋ねます。意味は無い、とレニが言った後、アイリスは楽しそうな笑顔で、彼女らの方を向き、
「遊びなんだって」
 と言います。するとマリアが憤慨して、遊びじゃないわあ、と言います(笑)。アイリスはびっくりして、口をまあるく開けた顔で後退ります。そして文句を言うように紅蘭と顔を見合わせに行きます。
 うっとりとした様子でマリアが自分の見た初夢について話し、そして改めて七福神巡りを続けることに。
「おー!」
 と、アイリスも皆と一緒に小槌を持った右腕を上げ、叫びます。
 そして矢庭、舞台上手に向かって駆け出します。ここからアイリスの、最初の大きな見せ場です。

 花組、扮する七福神たちを、アイリスが一人一人、名前を呼んでいくシーンです。
 走りながら、アイリスはまず自分(大黒天)を呼びます。
「三囲(みめぐり)神社の大黒さま〜!」
 上手の一番端まで行き、お菓子のような満面の笑顔で、小槌を持った右手を元気良く挙げます。
「は〜い!」
 ちょっと猫背になり、小槌を震わせながら、大黒さまの真似(神様っぽく)をします。可愛いアイリスの声なのだけれど、低めに、しわがれた声を出そうとしている声音です。
「私は、台所を司る神様じゃ」
 完全に大黒さまに成り切っている訳ではなくて、お遊び程度に真似しておどけている、というあんばいです。微妙な加減が良い芝居だったと思います。
 ここ以降のシーンは久美さんにとって、とても力の入ったシーンであったのかもしれません。と言うのも、アイリスが走っている最中、アイリスのコールが入った回が二度あったのですが、二度とも、¨私は、¨の後が詰まりそうになったのです。集中しなければならないシーンだったのでしょうか……。でも久美さんのお人柄を思うと、このコールは有り難いものであったはずです。
 自分の紹介が済むと次へ。ここからは、本当に楽しそうな笑顔で、最高に可愛い声、アイリスが持ち得る声の中で最も可愛らしい声音で七福神たちを呼んでいきます。
「次ー! 恵比寿さまー!」
「百花園の福禄寿ー」
「白髭神社の寿老人ー」
「多聞寺の毘沙門天」
「長命寺の弁天さまー」
 名前を呼ぶと、花組それぞれ、自分が扮装している七福神の紹介を面白おかしくしていきます。
 そして最後。
「弘福寺(ぐふくじ)の布袋さまー」
 ところが、布袋さまをやっているはずのカンナがいません。
*東京・隅田川七福神巡りでは、大黒さまと恵比寿さまは同じ三囲神社になります。だから恵比寿さまだけ、寺や神社の名前を言わないのです。
 繰り返しアイリスは布袋さまを呼びます。
「布袋さまー」
 もうこれは歌謡ショウ史上最高と言っていいほど可愛い、アイリスの一声です。身をよじりたくなるような可愛らしさ。心をアイリスの小さな手で握られたみたいに、胸がきゅんとなる可愛さでした。
 続けて、デパートのアナウンス風のイントネーションで、アイリスは布袋さまを呼びます。
「布袋さま、布袋さま。無邪気で大らか無欲の神様、布袋さまー」
 一同、舞台下手側を向き、そしてやっと、布袋さま=カンナがいないことに気が付きます。
「布袋さまがいないよ!?」
 舞台下手側を向き、驚いたようにアイリスが言います。
 そして一同、カンナを探そうとします。
 アイリスはジャンポールを入れた巾着袋に左手を突っ込み、一生懸命、カンナを探します(笑)。
 本当にそこにカンナがいると思っているみたいに、懸命なアイリスの顔と激しい腕の突っ込み方が、抜群に面白い芝居でした。心底、本気で探している芝居が、もうおかしくて可愛くて仕方無かったです。

 ここまで来るのに、カンナがいなかったことに気付かなかった皆に憤慨する織姫。が、レニに織姫自身もそうであることを指摘され、皆から一斉に後ろ指を差されてしまいます。
 アイリスも一緒に、¨あ¨とばかりに口を開き、指を差します。前述した、大黒さまの自己紹介で詰まってしまった回では、指差す動作を忘れてしまいましたが、下手に遅れて出さず、表情だけでちゃんと芝居を続けるところはさすがでした。
 ちょっとつんとした感じの表情が、たまらなく可愛かったです。
 布袋さまがいないため、マリアは最初からやり直ししようとします。
「え〜っ! やぁりなぁおし〜!」
 少し天を仰ぐようにして、アイリスは嫌そうな顔で言います。ここは皆、一緒の台詞です。
 お願い、といつに無く甘い声で頼むマリアに一同、
「が〜っくしっ」
 と、時計回りに首を回してうなだれます。大きな頭巾を被ったアイリスは、その仕草がまた一段と可愛らしいものになっていました。
 ここでカンナが「熊殺しのゴウリキ」の格好で登場(笑)。
「あー! カンナが来たーっ!」
 満面の笑顔で喜ぶアイリス。笑顔そのままのトーンの台詞回しです。カンナが爆笑を誘うシーンで、見逃しがちになりそうですが、可愛らしさ全開のアイリスが素敵です。
「ばんざーい!」
 紅蘭と一緒に万歳をし(下手側がアイリス)、アイリスは嬉しそうにカンナの方へと駆けていきます。
 怒るマリアに、「紅蜥蜴」の格好をしてきたかえでさんは、コスプレ大会でしょ? と言ってきます。
♭大阪千秋楽
 登場時、カンナは差し入れでもらったお菓子を食べているのですが、この日はそれを無理やり皆に食べさせていました。さくらのように逃げる者(笑)もいる中、アイリスは嬉しそうに口を開けて食べさせてもらっていました。素直なアイリスゆえか、それとも久美さんがただ食べたかっただけなのか(笑)、それは冗談として、アイリスならこうする、と無意識で久美さんの中に自然とあったのでしょう、とっても可愛かったです。
 コスプレ大会なんて誰が言ったのと怒るマリア。アイリスはそろそろと舞台上手の方へ歩いていき、紅蘭の背後に回ります。背中をくっつけた格好になって、後ろ手に紅蘭の手を左手でぱっと上げます。お茶目で可愛らしい芝居です。最初の方の日程では手を上げる際、
「はいな」
 と、紅蘭の口調を真似していましたが、途中からそれは無くなりました。久美さんの方で、アイリスにしては遊び過ぎ・ちょっと意地悪だったと思われたのでしょうか。
 この後、紅蘭がアイリスに詰め寄り(怒ったようにしているだけで本当は怒っていない感じ)、アイリスは¨ごめん¨とばかりに顔の前で左手を立てるのですが、そうした芝居との兼ね合いもあったかもしれません。
 上記の芝居は、カンナはんは布袋さまや、と紅蘭が言い、マリアから顔を背けた後にもう一度あります。苦笑気味の表情で、手を顔の前に立てるアイリスが、愛らしかったです。
 かえでさんの提案で、一同、点呼を取ることになります。下手から、かえでさん、カンナ、マリア、織姫、レニ、紅蘭、アイリス、さくらの順です。番号! とかえでさんが号令を掛けますが、隣のカンナがふざけて自分も番号! と繰り返してしまいます(笑)。そのまま皆、1から順に番号を言っていき、アイリスは、
「5!」
 と元気良く言います。
 全員、言い終わっても最後は6で当然、人数は足りません。真面目にやれよ、と皆を怒るカンナ(笑)。
 アイリスはちょっとしゅんとなって、小さくうつむきます。
 大阪公演初日では、この、¨5!¨を言うタイミングが遅れ、少々の空白ができてしまいました。
 今度は並び順を入れ替えて、点呼を取ることに。下手から、かえでさん、カンナ、さくら、紅蘭、アイリス、レニ、織姫、マリアの順です。でもかえでさんの隣は同じくカンナで、またしても番号! と繰り返します(笑)。
 アイリスは今度は、
「3!」
 真剣、という言葉ほどではありませんが、真面目にやろうとしているナチュラルな表情です。
 やっぱり人数は足りず、今度はスローモーションでやることに。ここで原因がカンナであることがバレ、皆から冷たい視線を浴びちゃいます。
 アイリスもつんとした表情になって、カンナを見ます。こういう表情もたまらなく可愛いアイリスです。
 カンナはかえでさんの隣から外され、今度は紅蘭とアイリスの間に入れられます。下手から、かえでさん、さくら、紅蘭、カンナ、アイリス、レニ、織姫、マリアの順になります。
 番号! とかえでさんが言い、再び点呼を取りますが、1、2、ときて、カンナは¨の〜¨と入れてしまいます(笑)。
 アイリスは何の疑問も感じず、
「3!」
 と言ってしまうのでした(笑)。まだ小さいアイリスがゆえに、カンナの計略に乗せられてしまうところが、愛くるしいです。普通に¨3!¨と言っている表情が、とっても可愛いポイントです。
 当然、最後までいっても人数は足りません。マリアがたたりだと言い出し、大騒ぎに。
 アイリスは舞台奥へと後退り、自分を抱き締めるような格好で、二の腕をさすって怖がります。
 かえでさんが皆をなだめ、スローモーションでやってみることに。
 ゆっくりカンナが¨の〜¨と言い、
「さ〜ん……」
 と、低い声でアイリス。カンナを冷たい目で見ながら、一歩、後ろに下がります。こうした、むくれた顔、怒った顔も、物凄く可愛いアイリスです。これは、完全に子供として久美さんの芝居が成立している証の一つではないでしょうか。また、元のゲームで、このようなトーンで喋ることは無いアイリスですが、ちっとも違和感を覚えないのは、久美さんの芝居がアイリスのキャラクターに収まっているということであり、久美さんがアイリスに歩み寄っていきながら、アイリスという女の子の魅力の幅を広げていった結果であると思います。
♭東京千秋楽
 番号! と言って点呼を取るこのシーン、東京千秋楽ではぼろぼろのマリアとカンナの失敗により、しっちゃかめっちゃになっていました。それが物凄く面白かった訳なのですが、アイリスはそのしっちゃかめっちゃかには絡まなかったものの、下をうつむいて笑っていたりした久美さんが印象的でした。
 マリアに銃を向けられ、布袋さまに着替えようと大慌てで劇場に戻っていくカンナ。
 アンジェラスで一休みすることになり、ここで歌が入ります。紅蘭の「メトロで行こう」
 アイリスは他の花組メンバー同様、踊り手です。盆踊りを優雅にした感じの振りが印象的。柔らかな笑顔で踊るアイリスが可愛過ぎでした。特に、小槌を赤ちゃんのように抱いて上体を揺らす姿は、最高に可愛らしい姿でした。
 歌が終わると長屋の障子戸が開いて、親方たちと飲んでいた寿司職人・政吉が出てきて、さくらや織姫、マリアたちと一悶着が起きます。その間、アイリスは舞台下手側、一番端で、心配そうな表情になったり、おろおろした感じの表情になります。
 てめえたち何者でぃ、と政吉に尋ねられ、マリアが、帝国歌劇団・花組・です、と名乗ると、皆と一緒にアイリスもポーズを取ります。右手を腰に当て、得意そうにちょっと顎を上げたポーズです。もう可愛くて可愛くて仕方ありません。
 七福神の格好をしているのには深い理由があるとマリアが言った時には、冷たい木枯らしが吹くSEが流れ、アイリスは自分の身体を抱いて寒がったります。
 マリアに諭され政吉が花組に謝ると、ぱっと輝いた表情に、そして政吉が花組の芝居を観に行くことになると、飛び跳ねるように脚を曲げて大喜びの表情になるアイリス。
 その後、かえでさんが政吉を山崎少佐と人違いをして思い込み、やがて良いムードになって二人、部屋の中へ。皆と一緒にアイリスも、事の成り行きを興味深げに見守っています。
 が、かえでさんが政吉にしなだれ掛かり、政吉がかえでさんの手に触れると、アイリスは見たらあかん、とばかりに、紅蘭の腕が袖ごとアイリスの顔を覆います。視界を遮られるアイリス。少し身体が後ろに反った状態で、アイリスは腕をはがそうと必死に抵抗します(笑)。見逃してはならない、愉しくて面白いポイントでした。
 見たくてしょうがないのか、一生懸命、抵抗する久美さんの芝居が素敵でした。
 二人が部屋に消えると、紅蘭の腕から解き放たれ、前につんのめるアイリス。
 困惑する一同の中、一人、この一連のドラマに心酔していたのはマリアでした。妖しい照明になり、「オンリー・マン」の曲が流れてきます。その変化に、アイリスも皆と一緒に、驚きと困惑の顔で中空を見回します。
 自分に酔っているマリアの最初の餌食(笑)となったのは紅蘭でした。口をあんぐりと開けて手を伸ばしながら、それを見送るアイリス。
 「オンリー・マン」を熱唱するマリアに、アイリスは興味深そうに舞台上手側からマリアの後ろへと回り込んでいきます。最初の方の回では、面白がるような笑みが浮かんでいましたが、2日目以降ではそれはありませんでした。アイリスらしいかどうか、この辺は微妙なラインかもしれませんが、久美さんの方で、状況からアイリスの反応としては違うと思われたのかもしれません。或いは気持ちの入り方で自然と無くなったのかもしれません。
 いきなりマリアが振り返り、アイリスは腰から膝に掛けて抱き付かれてしまいます。ジャンポール入りの巾着袋を乱暴にはね除けられ、すがり付かれてしまいます。アイリスは万歳をした格好で、嫌がる表情で逃れようと必死。
 やっと逃れた後で、アイリスは泣き出しそうな顔でジャンポールをさすってあげます。立ち位置は、舞台下手一番端です。
 何気にアイリスの良い見せ場。思わず顔がほころぶ、可愛いアイリスです。
♭東京千秋楽
 レニもマリアの餌食になりそうになり、転んで、うつ伏せの面白い格好になって滑っていくのですが、東京千秋楽ではいつもより大きく滑っていき、アイリスに突入。偶然なのでしょうが、アイリスは尻餅ついて倒れてしまったのでした。大丈夫だったでしょうか。
 マリアが我に帰ると、拾った財布のお金でたらふく飲んで酔っ払った武田と、それに与った菊之丞が登場します。泥酔状態の武田は階段をごろごろと転げ落ちてしまいます。
 この時は長屋の前で花組全員、横に並んだ状態で、アイリスは一番下手側。
 アイリスとレニが慌てて駆け寄り(真っ先にアイリスです)、動かなくなってしまった武田の様子を確かめようとします。背中の辺りに手を触れようとしたアイリスでしたが、いきなりむくりと身体を起こす武田にびっくりして、
「うわあぁ!」
 悲鳴を上げて、アイリスたちは元いた場所へと逃げ帰っていきます。若干、低めのトーンでの、短めの叫び声です。
 やがて、ご機嫌の武田は七福神を見つけると、飲みに行こうー! と、アイリスの肩に手を回してきます。
 酒臭い武田に、アイリスは鼻をつまんで嫌がります。紅蘭がそれを助けてあげます。
 完全に出来上がっている武田。アイリスは眉をひそめながら、
「何か変だよ……」
 と、心配そうに、ちょっと困ったように、皆に向かって言います。声をひそめたトーンです。因みに、¨何かいつもより変だよ¨となっていた回もありました。
 ほんまの馬鹿になったんちゃうんか、と言う紅蘭に、
「ほんまの馬鹿?」
 と、興味深そうに、きょとんとした声音で聞き返すアイリス。
 やがて織姫が武田を軽くあしらって追い払おうとするのですが、逆に頭に血が昇ってしまう始末。公演資金を出してあげましょうか、などと上機嫌で言ってくる武田に、皆と一緒にアイリスも呆れ果てた冷たい目線を向けます。
 と、武田の後ろにずっと取りついていた幽霊の存在に、一番、霊力の強いアイリスが気付きます。幽霊は武田がネコババした財布の持ち主の女性で、ずっと取りついていたのでした。
「あれ……?」
 緊張した、怪訝そうな面持ちで、武田のそばへとそろそろと近付いていきます。ちょっとトーンが上がった声、皆の注意を引く声音です。シーンを変える決定的な演技。
 アイリスは武田の前までいくと、ちょっと腰を落とした姿勢になり、背後にいる幽霊を覗き込もうとします。最初は右側(舞台奥側)に首と上体を倒しますが、大体、同時に幽霊は逆の方に首を倒します。続いてアイリスは左側に首を倒しますが、タイミングが全く逆になってしまった状態なので、幽霊は右側に。そうしてアイリスはまた右、左、と繰り返し、最後は物凄い勢いでぶんぶん首を左右に振ります(笑)。幽霊もそれに合わせてぶんぶん首を振ります。そして遂に左側(客席側)の方で、ぴったりアイリスと顔が合い、
「うわあーーーーーーっ!」
 耳をもつんざく大きな悲鳴を上げて、アイリスは舞台上手へと走り出し、逃げていきます。真に迫った絶叫、というのではなく、コント的な芝居というのをちゃんと意識された叫び声でした。加減がしっかり弁えられた演技でした。
♭大阪千秋楽
 最後の最後のこの回では、首を右、左、右、左と倒した後、何とアイリス、反復横跳びを始めちゃいます。軽い、ゆっくりした動作での反復横跳びです。右、左、右、左と、幽霊も逆のタイミングでやります。5〜6回ほど繰り返して、途中からは沢山の拍手が涌きました。これは東京千秋楽では無かったネタ。故にここは無いだろうと思っていたシーンでした。久美さんがサクラをいかに愛しているかの一つの表れであると思いますし、舞台人の気質・根性のようなものの表れであると思います。見事です。
 レニに抱き止められつつ、アイリスは武田の方を指差し、
「幽霊がいるー!」
 回によっては、¨ゆ、幽霊が¨となっていました。この辺はその回の芝居の勢いみたいなものでしょう。息を切らすように身体を上下させながらの台詞です。
 一同に動揺が走る中、マリアが正月の幽霊なんて芝居にもならないと一蹴しますが、
「本当だよ! ほらっ、武田さんの後ろ!」
 と、アイリスは改めて指を差します。張り詰めた、必死な声でアイリスは訴えます。でもコント的なお芝居の性質上、やり過ぎではない、ある一線で一歩引いている、丁度良い具合の台詞回しです。
 そうして、次々と気付いていく花組の皆。酔っている菊之丞は何が何だか分からず、マリアを幽霊扱いして勝手に気絶してしまいます。この後、マリアに杖でつっつかれて起こされ、マリアだと認識するまでに面白おかしいリアクションを取るのですが、後半の日程では、久美さんが素で笑ってしまっている表情が垣間見えた時もありました。袖で口元を覆っていた一瞬も。
 バカばっかりで〜す、と嘆く織姫。と、それを聞いたレニが、突然、バカばっか♪バカばっか♪と踊り出します。脅えるアイリス。紅蘭の手を取り、どうしよう、という風な表情になります。
 そしてようやく紅蘭も幽霊を見つけますが、武田はというと彼女の存在に全く気付かず、新しい正月遊びと勘違いしてしまう始末。
 アイリスはイライラした顔でため息などついています。マリアのお願いもあり、業を煮やしたアイリスは武田の方へとつかつかと歩いていきます。ぷんぷんと怒った顔ですが、やっぱり可愛いです。
「もうー、違うよ!」
 ¨も¨はちょっと小さくな台詞です。見当違いなことを言っている武田の両肩を掴み、イライラした口調で後ろを向かせます。
「ほらっ! ここにいるんだよっ!」
 怒った声に、どことなく優しさが入り混じった感じです。母性を思わせる節もあります。久美さんが生来、持っている魅力が隠し切れずに勝手に出たのかもしれません。
 怒っているのだけれど、胸をくすぐられる可愛い台詞回しでした。ここも、久美さんの芝居がアイリスというキャラクターの範囲にぴったりはまっている、且つ久美さんの芝居がアイリスの魅力を押し広げている、顕著な例でしょう。
 どこ? と尚も疑問府を浮かべる武田に、アイリスは即座に、
「後ろ!」
 と低めの、押し潰したようなトーンの声音で指差します。ぱっと言って、ぱっと指を下ろします。
 と、おどろおどろしい音楽が鳴り、うらめしや〜と幽霊が武田の後ろからぱっと顔を出します。
「うわぁーーーーーー!」
 全員で悲鳴を上げ、逃げ出す花組。アイリスは一番後ろで、ばんざいをした格好で走り、舞台上手へとはけていきます。


 
 
♪第1部#その2

 次にアイリスたちが登場するシーンはずっと後になります。ダンディ団から大金を借りた、紙芝居屋の千葉助の借金を布袋さまの格好をしたカンナが助けるシーンから。
 舞台上手より、ぞろぞろと出てくる花組。倒れた千葉助を見、織姫がケンカですかー? と目をぱちくりさせます。カンナは、千葉助の旦那がかくかくしかじかなんだよ、と一言で説明を終えてしまいます(笑)。
 皆、納得するものの、織姫だけ???な顔。マリア、さくら、と今ので分かったの? と聞いていきます。続いてアイリスたちにも。
「うん」
 と事も無げに、ちょっぴり怪訝そうに頷くアイリス。何ということは無い仕草ですが、やっぱり可愛らしいです。
 カンナがダンディと話を付けている間、子分たちが七福神の格好をした花組が珍しいのか、じろじろと見、睨んだりします。アイリスは怖がり、ジャンポール入りの巾着袋を抱きながら首をすくめて小さくなっちゃいます。
 と、千葉助の懐から財布、二千円もの大金が入った財布が出てきます。それは、幽霊によって井戸に落とされた武田を、温めてあげようと部屋の中に入れる際、見つけたものでした。
 驚きながら子分たちがそれを取り上げ、ダンディに手渡します。カンナもびっくりして、何故こんなものを持っているのか尋ねます。ダンディも詰問します。
 その一連の様子をアイリスは、口を開けて上体を乗り出して驚いたり、目を丸くしたりしながら見守っています。
 と、財布が無いことに気付いた武田が長屋の中から飛び出してきます。幽霊も一緒です。慌てふためき混乱した武田。アイリスたちに尋ねようとしますが、口を開くより先に、
「知らなーい」
 と言われてしまいます。アイリス一人の台詞ではありませんが、声質上、アイリスの声が際立っていた感じでした。
 やがて武田は、財布がダンディの手にあることを気付き、取り上げます。取り上げようとした際、幽霊に操られたダンディに財布ではたかれるのですが、そこで、アイリスは幽霊がいることに気付きます。目を見開き、口を開け、上体を乗り出させながら、幽霊を見つけた芝居をします。
 財布を手にほっとする武田。ダンディの元へ行き、泥棒扱いしちゃいます。と、
「あれ……。また幽霊さんがいるよ……」
 アイリスが言うと、幽霊はこいこいと手招きします。
 そろそろと近付いていくアイリス。
 ここから、二つ目の、アイリス最大の見せ場です。

 幽霊の言葉を代弁するアイリス。
 久美さんらしい芝居が光るシーンです。
「え?」
 耳打ちしようとしている幽霊に、アイリスは右耳に手を添え、聞き耳を立てます。もう、絶望的に可愛らしい仕草です。
 幽霊の言葉を聞いたアイリスは、
「そう〜なんだ〜」
 真っ直ぐ立った格好になり、そう言います。とっても可愛らしく、独特のイントネーションが入った台詞回しです。耳に残って離れない、印象的な台詞でした。この台詞回しが出来上がる過程はどうあれ、久美さんを天才と言わしめるに十分な、良いあんばいの芝居です。
 何て言っているの? とさくらに尋ねられ、アイリスは、
「幽霊さんは……」
 と、ここまで普段のアイリスの声で、
「はあぁ!」
 悲劇のヒロインみたいに右手を掲げ、涙に濡れたトーンで声を上げます。涙に濡れた、と言っても、アイリスがそれを表現しようとしているだけで、それっぽくやっている、という感じです。面白く見えるように、久美さんが仕立てた芝居。
 大人の女性を真似するように声のトーンを変え、
「私は恋人のために一生懸命、一生懸命、二千円もの大金を作ったというのに、恋人は、病で死んでしまいましたあ〜」
 ¨いっしょうけんめい¨の¨いっ・しょう¨にアクセントが掛かった、この部分の繰り返しが、この台詞回しの肝。台詞を言いながら、片手は下ろしていき、要所要所で強調するように、手をちょっと上げ下げします。
 多分に久美さんらしいと感じる、何度、観ても面白い芝居です。
「はあぁ!」
 と、再び手を掲げ、アイリスは続けます。
「そして私は、隅田川に身を投げたのでございます〜!」
 涙に濡れたトーンで泣き崩れるような台詞回しです。
「はあぁ!」
 と、甲高い声で手を掲げ、このシーン最高の瞬間です。
「でも、二千円には未練があるんです〜」
 ちょっとブリブリな感じの台詞回しになって、右手を甲を左頬の側に添え、
「ウフ!」
 物凄く可愛くて、物凄く面白みのある久美さんの芝居でした。長年、舞台の第一線で活躍してきたからこそ、見がいのある、面白みのあるこうした芝居を決められるのです。久美さんの舞台俳優としての力量を、よくぞ活かしてくれたと思えるシーンです。この新春歌謡ショウの肝と言っても良いでしょう。
 けれど、実際に観ている間は久美さんを意識させず、アイリスというキャラクターとの違和感はゼロ。正に、久美さんらしさがステージ上でアイリスというキャラクターと一体化している、その結果です。
♭東京千秋楽
 最後の可愛らしいオチが変わっていました。
「でも、二千円には未練があるんじゃ〜! こらあ!」
 と、脚を開いて腰を落とし、右手で拳を作って下から上へと振り上げていました。段々と低めのトーンになっていき、太い乱暴な声になっていく台詞回しです。
 乱暴だってことは分かるけれど、一体どういうポーズなのか、いまいちよく分からない。でも凄く面白みがある。この辺り、やっぱりFOXさんで天才と称されるだけある久美さんです。
♭大阪千秋楽
 続いて大阪では更にパワーアップしていました。
「でも、二千円には未練があるんじゃあ、ボケぇ〜!」
 更に乱暴になった台詞で、最後は拳を振り上げながら、
「はっ! はっ!」
 と、威嚇していました(笑)。
 東京千秋楽と同じかな? と思っていたら、予想を見事に裏切り、細かいところまで手を抜かず、千秋楽ネタを用意してきた久美さん。サクラを愛し、舞台を愛しているからこそ、考えてくるのだと思いますし、それが決まるところは本当に、久美さんの舞台俳優としての味であり力なのだと思います。
「と言っています」
 と、ここでいつものアイリスのトーンに戻ります。この変わり身をさらりとやってのけてしまう、見事な久美さんの演技です。優れたバランス感覚と、アイリスと一体化していることあってのものでしょう。
 幽霊さんはどうしたいの? とさくらが尋ね、アイリスは、
「どうしたいの?」
 と、とっても可愛らしく尋ねます。
 幽霊が再び耳打ちしようとし、
「え?」
 前と同じように、アイリスは聞き耳を立てます。
「そう〜なんだ〜」
 この下りは、今回の新春歌謡ショウのアイリスの、一番の名台詞と言って良いでしょう。
「幽霊さんは……」
 と言い、再び、涙に濡れた大人の女性の声を真似したトーンになります。
「はあぁ!」
 と、より悲愴な声音で右手を掲げ、
「私は子供が大好きだった……! だから恋人と結婚したら、沢山、沢山、子供が欲しかった……!」
 最初の台詞と同じように、繰り返しの部分が肝です。¨たっくさん¨の¨たっ¨にアクセントが掛かっていて、その後に間を置いて¨くさん¨と入ります。
 ¨子供が¨を¨恋人が¨と言ってしまった回がありましたが、取り敢えず意味は通るので大丈夫でした。またその回では、隅田川に身を投げた、という下りを詰まらせてしまい、¨そして私は、こ……¨と言い掛け、あわやという場面もありました。が、ちゃんと持ち直し、決めなければならないところはしっかり決めていました。
 余談ですが、お子さんがいらっしゃらない久美さんのことを思い、どきっとしたのは私だけでしょうか?
「はあぁ!」
 と、感極まったように手を掲げ、
「と言っています」
 締め括るアイリス。
 彼女がどうしたいか、これでは答えになっていません。アイリスは即座に尋ねます。
「だからどうしたいの?」
 きょとんとした声で聞き、
「え?」
 と、自分から可愛らしく耳をそば立て、言下、
「そう〜なんだ〜」
 幽霊が耳打ちする前に言ってしまい、みんなをコケさせちゃいます(笑)。
♭大阪千秋楽
 2003年新春歌謡ショウ最後の公演。
 この日のアイリスはこれで終わりではありませんでした。
「え?」
 と耳をそば立て、幽霊が耳打ちする前に、
「そう〜なんだ〜」
 と、先に言って彼女をコケさせる。
 これを立て続けに三回、アイリスは繰り返したのです。¨え?¨と入るまでの間が本当に絶妙で見事な久美さんの芝居でした。  三回、繰り返した後、舞台上の出演者全員てんやわんやの状態に。アイリスはきょとんとそれを見回しているのでした。
 今だかつて、これほど千秋楽ネタを用意してきたことはありません。出番を最大限に活かし、お客さんを楽しませるために頑張った久美さんに大きな拍手です。
 今のは聞いてないだろ、と突っ込むカンナに、
「聞いたよー!」
 ちょっぴり憤慨したように、アイリスは言い返します。そして幽霊に向かって右手の平を上にして、
「幽霊さんは、そのお金を全部、孤児院に寄付したいんだって」
 と、お菓子が転がるような可愛い台詞回しで言います。
♭東京千秋楽
 ¨聞いたよー!¨の後、アイリスはちょっとおふざけをしちゃいます。
「幽霊さんは……」
「はあぁ!」
 と、甲高い声を上げて手を掲げ、
「私は、小っちゃくて可愛いアイリスちゃんに全部、寄付したいのです〜!」
 涙に濡れた調子の例の口調そのままで、素晴らしいことを言います(笑)。
「やったー!」  と、満面の笑顔で飛び跳ねて喜ぶアイリス。が、んな訳ねえだろ、という風にカンナと幽霊に後ろからどつかれ、
「失礼しました」
 と、ぺこりと頭を下げたのでした。その後は、孤児院に寄付したいという台詞に続きました。
 物凄く久美さんらしいネタでした。

 アイリスちゃんの言う通りにしましょう、とダンディがきっぷ良く言い、花組みんなと一緒に喜ぶアイリス。幽霊は皆に頭を下げ、武田をわざと踏んで(笑)、階段を登り、そして消えていきます。帰り際、花組に手を振る幽霊に、アイリスも一緒に可愛らしく手を振っていました。
 その後、皆で酒盛りをすることになります。
 アイリスはカンナの隣に座ります。一升瓶と小さなお茶碗を手渡され、カンナに注いであげたりするのですが、この辺りは回によって色々でした。お茶椀に注いだお酒の匂いを嗅がせてもらったり、アイリスがお茶碗を持ってカンナが一升瓶を持っていたり、カンナが持っていた一升瓶をぐいと引っ張ったり(笑)、様々でした。段々、お酒好きの久美さんの本性が出ていったのかもしれません(笑)。
 政吉も酒盛りに加わるのですが、ここで彼の娘が現れます。母が病気で帰ってきてほしいと泣きながら懇願する彼女に、家を飛び出していた彼は家に戻ると謝ります。
 アイリスは感動して泣き出しそうな顔でその様子を見つめ、やがてカンナと抱き合います。カンナの布袋さま、長〜い頭をぽんぽんと叩きながら抱き締めるアイリスが、微笑を誘っていました。
 これでお話はめでたしめでたしに……。
 最後は泥酔したかえでさんが現れ、七福神の格好をした花組を見て大はしゃぎ。七福神にお願いをしましょ、と手を叩くのですが、回を重ねる毎に激しくなるかえでさんの酔っ払いぶりがおかしかったようで、たまに素で笑っているような久美さんの顔がありました。
 かえでさん、舞台上の出演者と一緒に、お客さんも七福神にお願いをした後、幕です。アイリスと一緒に、久美さんと一緒にお願いをしたかと思うと、嬉しい気持ちになります。
 幕が下りていく中、アイリスは客席に背中を向けた格好で紅蘭と何事かして遊んでいました。東京千秋楽では、政吉の娘役、杏奈ちゃんと背比べなんてしていました。
 暫くして幕が開くと、出演者全員が横に並び、中央には大きな宝船が。その上に、七福神の格好をした花組がいました。アイリスは向かって左下となる位置でしゃがんでいました。
 出演者全員と客席で、関東三本締め。
 アイリスは、ジャンポールの入った巾着袋を横にどかし、手を叩いていましたが、回によっては(大体、東京公演中盤以降)、ジャンポールの手で三本締めをしていました。粋な久美さんです。


 第1部の締め括りは、恒例となった太鼓でした。
 その名も¨新春祝い太鼓¨。
 アイリスは織姫とのコンビで、中央、一段、高いところで叩いていました。アイリスは上手側です。いつもの黒い法被を着て、凛々しい雰囲気のアイリス。
 今回は、受け持つ太鼓の種類が変わっていました。粒の小さい音が出る、それぞれ出る音程が違う二つの太鼓を叩いていました。それに合わせてばちも細いものに。
 織姫との息はぴったりで、スポットライトの当たる見せ場では腕を大きく振り上げながら、凄まじいスピードで二つの太鼓を叩き分けていました。
 二人、しっかり粒の揃った演奏を聴かせてくれました。私はブラスバンドにいた経験から身に染みているのですが、三、四人で音を揃えるよりも二人で音を揃える方が遥かに大変なのです。何故なら人数が少ない分、ちょっとしたずれでも物凄く目立ってしまうからです。また聴く人も、人数が少ない分、揃っていて当然と厳しい目を向けるから。それを、あれだけのスピードでしっかり揃えていたお二人は本当に見事です。見せ場の終盤、腕を交差させながら超スピードで叩く姿は、改めて惚れ直すほどの格好良さでした。
 序盤、ゆっくりと腕とばちを揃える動作、集中していく動作も印象的でした。
 また、太鼓に集中している分、ここではアイリス、というより、久美さんを意識しますが、時折、段上から皆の様子に目を向け、たまに笑みを浮かべる瞬間もありました。すみれさんの引退公演の時は本当に全身全霊、心を込めて、という感じでしたが、今回は一生懸命やりつつ、久美さん自身もとても楽しんでおられるようでした。
 私は視力が弱くて見取れませんでしたが、東京千秋楽では両方の親指にばんそうこうを巻いておられたそうです。立て続けに1日2回の公演が続いたため、やはり手に掛かる負担が大きかったのでしょうか。
 ともあれ、今回も久美さんはとっても格好良かったです。

 来年はぜひ、お琴を披露してほしいところです。何と言っても久美さん、中伝の免許をお持ちなのですから! ただ……弾いていたのは子供の時だそうで、十○年(???)も手を触れていないそうで、果たして今、弾けるかどうか微妙なところです。でも、一度、練習をすれば直ぐに勘を取り戻せるはず。
 久美さんも、花組で太鼓以外の楽器の演奏も見せたいと思っていらっしゃるようですから、ぜひとも来年は!


♪第2部

 第2部は¨歌う花組ヒットパレード¨。
 アイリスが参加した曲は4曲です。
 因みに始まる前、紅蘭とさくらが、物販で売られている「蒸気式チップカイロ・パッチン君¨を、テレビショッピング風に宣伝していましたが、去り際、○○が楽屋で雑煮を作っていたで→何味?→○○味、というやり取りがありました。
 アイリスはクリームシチュー味でした。クリームシチューにお餅を入れるのは美味しそうですが、雑煮の出しを取った上で、ということを考えると微妙です(笑)。

《3曲目》
〜恋は魔か不思議〜(アイリス&マリア)
 どこまでも可愛いアイリスが見られた曲です。
 前奏が始まると同時に、舞台下手からひょっこり顔を出すアイリス。余りにも可愛過ぎで、ここから目を離せません。マリアの歌に合わせて、頬杖をついて首を傾げる姿が、とっても可愛らしかったです。
 ¨なんで、なんで、なんでー¨と、歌いながら、マリアの後ろからひょこひょこと顔を出すアイリスが、もう誰か助けてほしいくらい(笑)可愛い姿。
 ¨どうして綺麗ーになるのだ〜ろ〜¨という下りで、自分の頬に手を当てる姿も印象的でした。麗しい感じ。
 アイリス本来の子供の可愛らしさと、これから恋を知っていくだろう、大人への階段を登っていく姿を匂わせる姿が、素晴らしく素敵でした。
 マリアの深みのある声と、アイリスの、久美さんの透き通った声がぴったり合っていて、もっと聴いていたいと思わせる歌でした。
 最後は、¨やっぱーりー、不・思・議¨で、腰を落とした体勢のアイリス、客席側に首を傾けて、立っているマリアと顔を見合わせておしまい。
 一度、逆にやってしまい、慌ててぱっと首を傾けた回もありましたが、これはご愛敬。マリアが笑いながら曲紹介したりして(笑)。

《4曲目》
〜輝き〜(アイリス&レニ)
 続けてアイリスの出番です。曲紹介をして上手にはけていくマリアに手を振り、階段にちょこんと座り、レニを迎えます。
 レニと仲睦まじく歌い踊る姿が、とっても微笑ましくて可愛らしくて素敵でした。高音が透き通っていて、綺麗に伸びている様は、CD以上の歌唱をしていた久美さんであったと思います。回を重ねる毎に、着実に上手になっている久美さんです。
 この曲で最も印象的な箇所は二つ。
 まず一つ目は、¨満ーちーるつーきのようにー¨という下り。
 これはアイリスのパートなのですが、歌いながら、軽く丸めた右手で月を描くように、半円の弧を描き、レニの手の平にちょんと触れ、そしてまた戻っていく、そんな振りをアイリスはしていました。レニが左手をゆっくりと上げ、「積もる雪」を表現していましたが、アイリスはそこに「満ちる月」を表現していたのでした。繰り返しの部分では、自分の左手の平に向かってそれと同じ仕草をしていました。
 とっても「美しい」アイリスでした。指先まで美しく振りを見せてくれる久美さんだけあって、描くラインに光の軌跡が走っていてもおかしくないほど。
 そして二つ目は曲のクライマックス。
 ¨やっ・く・そっ・く・し・ようー¨、¨ゆっ・め・みっ・て・い・ようー¨という下り。CDではレニと揃えて歌っていますが、ここでは、レニがその主旋律を歌い、アイリスが追い掛けるようにして後から入り、物凄く美しい高音で歌っていました。
 ¨やっ・く・そっ・く・し・ようー¨¨ゆめみていよおーおー¨という感じです。
 後に続くフレーズも同じような感じで高音を担当し、正に「輝き」、輝くような声で歌っていました。
 アイリスの歌声に耳を澄ましてみると、本当に鳥肌が立ちました。倍音(=元の音の整数倍、振動する音のこと。これが強い歌い手は、特に異性の心を強く掴み、時に色気を与えます)と定義して良いかどうか私には判断できませんが、胸の中で大きく反響するようにして心がアイリスの歌声でいっぱいになる、物凄く膨らみを秘めた高音、そして伸びやかな歌声を、アイリスは客席に向かって放射していたのです。
 そしてこれだけではありません。この部分を歌っている間、アイリスとレニは向き合い、リズムに合わせて、小指(¨約束¨の印ですね)と手を交互に打ち合っていました。随分、複雑な打ち合わせ方で、二人、まるで妖精のよう。周囲の時間、全てが止まってしまったかのような、余りにも素敵な曲でした。
 最後は元気なミチルのように、舞台下手に駆けていき、戻っていくを繰り返し、立ち膝になってその肩にレニが両手を添える、というポーズでした。
 曲が終わると、二人、舞台上手で礼をして、次の曲を紹介します。
「次の曲は凄いよー。サクラ3の挿入歌より、センチメンタルな」
 明るく、盛り上げるようなトーンで言うアイリス。
 レニが歌い手を紹介し、二人、どうぞという風に左手を舞台に向かって差し出します。
♭東京千秋楽
 歌い手を紹介するところで、レニが、カンナと紅蘭と……誰だっけ? と言ってしまいます。マリアの名前を抜いてしまうのでした。
 それに対し、アイリスはちょっと身体を丸め、レニに横目で、
「怒られる」
 と、ちょっと低めの声で呟いていました。
♭大阪千秋楽
 大阪ではアイリスがボケでした。
「次の曲は凄いよー。サクラ3の挿入歌より、センチメートルな……」
 と、言ってしまうのでした。
「カンナがセンチメートルだから間違えちゃった」
 可愛らしく言い訳するアイリス。
 曲紹介までネタを用意してくるお二人、とってもイカしています。

《11曲目》
〜春が来る〜(アイリス始め花組全員)
 元はさくらの曲ですが、とっても優しげなこの曲を全員が歌うと、本当に感動的。胸が熱くなりました。
 花組が舞台中央の階段をゆっくり降りてくるところから、曲は始まります。
 アイリスのソロは、¨わーたしの、気持ちにー¨という下り、紅蘭と一緒のパートで、¨季節はめーぐりー、またひとつーとしをーとーったー¨
 落ち着いた歌い方で、成長していく女の子を思わせる声のトーンでした。ちょっぴり胸がドキドキしてくるような、素敵な歌唱でした。
 特筆したいのは、振りがとっても優しげで可愛らしかったということ。全員の曲なのですが、アイリスにとってもぴったりでした。
 ¨はーるがきーてー¨という下りで見られる、右手を左上から斜めにひらひらと下ろしていく、小川を表現した振りが特に印象深かったです。やはり、指先まで振りを美しく表現できるのは、花組で一番、久美さんが優れています。
 最も可愛かったのは、間奏の間、舞台中央でしゃがみ込んで、両手を花のつぼみのようにして身体ごとゆっくりと回しているところ。もう胸がいっぱいになるとしか言い様が無い、可愛い可愛いアイリスでした。
 最後は、手を後ろで組んで、レニと背中合わせになってポーズを取ります。アイリスの、手を後ろで組む仕草は誰よりも可愛いです。階段の上で、手を後ろで組み、身体を左右に動かしながら歌う様は本当に可愛くて素敵で、目が離せません。
 唯一、アイリスと言うより久美さんの色気を感じてしまったのは、前奏部分、階段の上でぱっと腰を落として屈み込んだ時、脚が大きく見えてしまうところでした。アイリスの脚として感じるには素敵過ぎるので、ここは難しいところです。

《12曲目》
〜君よ花よ〜
(アイリス始め花組全員&かえでさん&大神)
 原曲とは違うメンバーで、ショートバージョンになっていましたが、やはり良い曲です。
 今までに無いタイプの振り付けだったように思います。静かな雰囲気で、特に前半は、大神の中にある彼女たちを抽象化したように、一種、人形のように動き回る、不思議な振りでした。
 アイリスは三度目の、¨はなーの、いのーちは、みじーかーくーてー¨を紅蘭と一緒に歌っていました。舞台上手からの登場です。切々と歌う姿が感動的でした。短いフレーズなのに、心、揺さぶる素敵な歌唱です。
 歌い終わると、そよ風に舞う花びらのように舞台を駆けます。舞台上手より登場したレニの肩にそっと手を触れ、ちょっと奥まったところで止まり、手を後ろに組んで静止します。右足を少し爪先立てているところが、女の子らしいポイント。
 階段をゆっくり登っていき、やがてアカペラに入ります。¨おとーことーおーんなにー¨という下りからです。アイリスは最初、メロディラインを担当し、¨すーべーてのー¨からコーラスを担当していました。ベースラインと言うのでしょうか。¨u¨の音で歌っていました。そして、¨たーからーかーにー¨で全員で。
 ¨わーかーれのーかーずーだけー¨からメロディ、¨あーなーたーはーそーれーをー¨でコーラス、¨いーのちのー¨から全員で、という具合です。
 真っ直ぐ立った姿勢で、朗々と歌う姿が素晴らしかったです。
 最後は、銀粉(花びら)が舞い落ちる舞台中央に皆、集まり、アイリスは紅蘭の肩に手を添えてポーズ。そして幕が下りていきました……。


♪フィナーレ

 「花のように夢のように」が流れる中、出演者全員がお辞儀をしていきます。花組は縦一列になって階段を降りてきて、アイリスは3番目でした。この辺りは、久美さんとしての感謝の気持ちも表れているようで、麗しい微笑を浮かべていました。
 歌ってほしいところでしたが、歌に入る前に、全員でお辞儀をして終了。
 「ゲキテイ」へとなだれ込みます。お客さんを煽るように、手を叩くアイリスが素敵でした。
【個人的に嬉しかったこと】
 6日目の夜公演、左端の最前列に座っていましたが、「ゲキテ」のサビ、¨うーなーれー¨で、ぴったり目が合い、二度とも頷いてくれたのが、物凄く嬉しかったです。他の回では頷いたことは無かったから。
 さくらが挨拶をし、恒例の敬礼! をし、一旦、幕。
 カーテンコールでは、今夏のスーパー歌謡ショウの演目が発表されました。さくらが帝国歌劇団のことを、お笑い劇団としての道を歩み始めた、という話をすると、ほぼ毎回、苦笑しながら首をぷるぷると振るアイリスが印象的でした。
 アイリスが客席のあらゆる所に向かって両手を振りながら、幕……。
♭東京千秋楽
 東京最後の公演では再び幕が上がり、「夢見ていよう」が流れる中、紅白の風船が舞台に沢山、落ちてきました。それを出演者の皆さんが客席に向かってぽ〜ん、と放っていました。
 途中で紙吹雪までどさどさと落ちてきて、舞台上手側で驚くアイリスでした。
 そうしてアイリスもぱたぱた歩き回りながら、風船を拾い、一生懸命、放っていました。印象的だったのは、最前列のお客さんに風船を放ろうとしたのだけれど、全然、届かず、謝っていたということ。謝っちゃうところが本当、腰の低い、人格者な久美さんらしいです。
♭大阪千秋楽
 一方、大阪では、二回目の「ゲキテイ」が!
 ここから先は、ただただ熱狂の渦の中にいた、と記して、筆を置くことにします。久美さんのアイリスは、最後の最後まで笑顔を振り撒き、楽しそうに幸せそうに手を振っていました。
 「551(HORAI)」の肉まん、とっても美味しかったです。


◆総括◆

 今回の新春歌謡ショウで、真にMVPと言えるのは久美さんのアイリスです。
 政吉を山崎少佐と思い込むかえでさんや、あやめさんと葵叉丹の「夜のサンバ」ばかり注目を集めた劇後ですが、表面的なことだけではなく、ちゃんと舞台を観ていれば、誰が芝居を引っ張り、誰が最も輝いていたか分かるはずです。
 因みに「夜のサンバ」ですが、第1回の新春歌謡ショウで久美さんのアイリスが歌ったバージョン(持ち歌交換)、最初から最後まであのアダルトな歌い方で通せば、間違い無く久美さんのアイリスの方が上であったと付け足しておきます。
 外見はアイリスのかつらや衣装で可愛くなっていましたが、久美さんが、同じあやめさんの格好をして歌えば、久美さんの「夜のサンバ」の方がよりセクシーで色っぽく、胸を震わす歌唱をしていたはずです。
 話は戻りますが、今回の新春歌謡ショウで一番、活躍していたのは久美さんのアイリスです。
 幽霊を最初に見つけたのはアイリス、幽霊の言葉を聞き、彼女の願いを叶えたのもアイリス、それによって酒盛りをする切っ掛けを作り、政吉と娘を巡り合わせたのも、結果的にはアイリスです。
 かえでさんのシーンは確かに見所で目立っていましたが、誤解しないでほしいのは、芝居を引っ張り、芝居をまとめたのは久美さんのアイリスだということ。アイリスがいなかったら、芝居は終わらなかったのです。
 そして、東京・大阪、両千秋楽で一番、ネタを出していたのも久美さんのアイリスでした。
 新しいタイプの太鼓に挑戦したこと、単純な歌唱力ではひけをとるものの、振りと合わせた総合力では誰よりも素敵であったことを考えれば、実質、センターに立ち、最も活躍し、最も光り輝いていたのは久美さんのアイリスです。
 スーパー歌謡ショウ「八犬伝」の時のように、足を鏡の前に乗せてぐったりしたことも多々あったでしょう。そんな中、久美さんは素敵な素敵なアイリスを見せてくれたのです。
 久美さんは頑張っています。
 そのことを今一度、心に刻み込んでほしいと思います。



◎最後に……

 これは毎回、思っていることだろうし、これからも思うことでしょう。
 今回のアイリスは今までの歌謡ショウの中で、一番、可愛かったです。
 すみれさんが引退して、もう1年……。あの時、泣いてしまったアイリスは今、とてつもなく可愛く光り輝いています。
 今の久美さんのアイリスがあるのは、大きく美智恵さんの存在があるようです。
 OVA「神埼すみれ引退記念〜す・み・れ〜」の特典映像で、久美さんは沢山のことをお話しています。カットされた分のことを思えば、もしかしたら……誰よりもいっぱい美智恵さんのことをお話していたのかもしれません。
 久美さんは美智恵さんのことが大好きで、美智恵さんは、そんな久美さんの面倒をよく見て下さいました。
 久美さんをいっぱい褒めてあげて、でも、と指摘する。ここをこうすればもっと可愛くなる。素直にアドバイスを受け入れることができるよう、接してくれた美智恵さんのおかげで、久美さんのアイリスは更に可愛くなっていった……。
 美智恵さんが去った後も、久美さんの胸の中で、ちゃんと美智恵さんが教えてくれたことは活きている。そう思います。
 だから、今も留まることを知らず、アイリスは可愛くなっている。
 今回は久美さんらしからぬミスが幾つかありました。が、総体的に見れば、アイリスは芝居においても太鼓においても歌や踊りにおいても、心を掴む魅力をいっぱいいっぱい感じさせてくれました。
 歌謡ショウは10年、続けるつもりだと広井さんはおっしゃいます。そう、あと4年です……。
 久美さんのアイリスが更に可愛く、真に迫った存在、歌や踊りも上達していくためには、美智恵さんが教えてくれたことを大事にすると同時に、久美さん自身も自分の力で戦っていかなければなりません。
 でも、久美さんなら、必ず今より一歩、進んだ素敵なものを見せてくれるはず。最後にはやり遂げられる底力を持った役者さんだから。
 頑張れ、久美さん!
 今回のミスを次に活かして……!!

 
  

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