久美さんinサクラ大戦
レポート【サクラ大戦スーパー歌謡ショウ「新宝島」】
 
 
サクラ大戦スーパー歌謡ショウ
「新宝島」
□■□久美さん的レポート□■□



このレポートは、敢えて
久美さん演じるアイリスの出番のみを
かいつまんで書いた、感想文的なものです。
但し、これは物凄く野暮なレポートです。
今回の歌謡ショウは、
アイリスだけを語るには余りにも勿体無さ過ぎる、
素晴らしいものだったから……。
また紅蘭を中心に、感動するシーンが多々あったため、
台詞は完璧ですが、
アイリスの場面に関する記憶で
少々、不確かな所があると思います。
その辺はどうかご容赦下さい。





 今回の久美さんのお稽古の流れは、以下のような感じでした。
 6月29日(日):顔合わせ&本読み
 6月30日(月):お稽古開始
 7月 7日(月):二幕の振り付け開始
 7月12日(土):公開稽古&記者会見
 7月13日(日):二幕のシーンが見えてくる
 7月14日(月):二幕の芝居作り開始
 7月19日(土)
 7月20日(日):振り付け総稽古
 7月26日(土):大まかな稽古は終了
 7月27日(日):一旦通し稽古
       以降:稽古場を大きな場所へ移動
 8月 3日(日):衣装パレード
       以降:ダンスナンバーに力を入れつつ
          総仕上げ
 8月 9日(土):(劇場入り)
          通し稽古
          火薬を試したり位置の確認
          細かい箇所の打ち合わせ
 8月10日(日):衣装付き通し稽古
 8月12日(火):テクニカルリハーサル
 8月13日(水):舞台稽古
 8月14日(木):ゲネプロ
 8月15日(金):初日!
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お疲れ様でした、久美さん。

大した問題ではないのかもしれませんが、
久美さんのお名前は今、
キャストの中で上から3番目にあります。

頑張れ、久美さん!



◎オープニング

 幕が上がってオープニングの曲は「七色の虹」でした。
 アイリスはいつもの、青とピンクを基調にした、短めのスカートタイプのレビュウ衣装で登場。但しスカートの下は、かぼちゃパンツでは似合わないということでしょう、ピンク色の見せパンツに変わっていました。アイリスの年齢を考えれば、このぐらいの色っぽさはあって良いのかもしれません。くるりと一回転する振りが結構ありましたが、久美さんの綺麗なおみ脚と共に目の保養になりました☆
 アイリスは麗しい笑顔、子供っぽい笑顔ではなく久美さんらしい笑顔で歌い踊っていました。アイリスを帝国歌劇団のプロの女優として考えれば、こうした歌と踊りを魅せるシーンではその方がベストかもしれません。
 ブックレットの歌詞では括弧内のパートを担当しつつ、アイリスは流麗な振り付けを軽やかにこなしていました。二番では張り出し舞台の最前、下手側の角まで出てきてしゃがみこみ、客席に目線を合わせて歌ってくれたりもしました。
 花組メンバーの中で、今や誰よりも踊れると言っていい、久美さんのダンスはとっても素敵でした。指先から爪先まで綺麗に踊る姿と、アイリスの麗しい笑顔が非常に印象的でした。


◎一幕
※アイリスの台詞は、『』で記述しています。

 一幕のテーマ(二幕に通じているのですが)は、¨子供はいつ大人になるのか¨。花組の日常や稽古風景と共に、その疑問の答えを求めて四苦八苦するダンディ団の姿が描かれたお話でした。

★「夏の街角」〜うなぎを食べよう

 アイリスは織姫に連れられて、大帝国劇場からずっと遠く離れた今戸(いまど)という所にやって来ました。
 アイリスはいつもの夏服に、ジャンポールのショルダーバッグを提げ、ジャンポールを背中に背負っての登場です。
 浴衣姿の織姫の後をついて、舞台下手からアイリスは登場します。半分、口を尖らせた表情で、だらだらと歩いています。
『織姫、まぁだぁ〜』
 と、アイリス。  この辺りなんだけど、という感じできょろきょろする織姫に、アイリスはうんざりしたような声で言います。でも可愛いです☆
『もう、何でこんな遠くまでご飯、食べに来なくちゃいけないのー?』
 織姫は、食事は人生の楽しみの大部分だと語ります。でもアイリスは、
『疲れた!』
 ふてくされた声でそう言って、その場にしゃがみ込んでしまいます。
『暑い〜!』
 泣きそうな声で言います。初っ端からめちゃくちゃ可愛いアイリスです☆
 これには織姫も同意見でしたが、日本の夏はいいで〜す!と声を上げて、そこから「夏の街角」が始まります。
 金魚売りのおじさんに、可愛いね〜、と言われて、肩をすぼめて喜ぶアイリス(後ろ姿だったので、表情は分かりませんでした)。
 アイリスのパートに入ると、ほぼ舞台中央で、アイリスは涼しげな声で歌います。
『ふうり〜ん〜が、鳴〜るっ♪』
 という下りでは、風鈴屋さんの前を駆け抜けながら、左手で風鈴を撫でて鳴らしていました。このシーンでは、「夏の街角」の歌詞に出てくるものが全部、出てきていて、その歌詞を歌うと同時に、歌詞の内容のものにスポットが当たっていました。
 例えば織姫が、庭で行水しよう〜♪と歌えば、実際に行水している人を指差していて、アイリスがちょっとびっくりしたように肩をすくめて笑ったり、アイリスが、日傘くるりと淑女〜♪と歌えば、そちらの方を見ていて、日傘を持った女性がくるりと回ったります。
 そんな感じで、とっても良い雰囲気の歌を、アイリスと織姫が可愛く穏やかに歌い上げていました。
 間奏に入ると、アイリスは霊力を使って悪戯しちゃいます。織姫に耳打ちをするアイリス。
 右手を上げて人差し指をくるりと回転させると、街角の時間が止まり、人々の動きが止まってしまいます。最初は舞台下手側を見て、続いて上手側にも同じことをします。
 時間を止める時の得意そうな笑顔が、最高に可愛かったです☆
 時間が止まっている間、アイリスは色んなことをします。鈴を鳴らしたり、自転車の後ろに差していたうちわを持ってその人を扇いであげたり、女性の手から傘をするりと抜いて、舞台中央でくるりと一回転させて受け止めたり。
 特にうちわを両手で持って扇いであげるところは、完全に子供していて、とっても可愛らしかったです。
 傘を一回転させるのは、緊張のせいでしょうか、初日に一度、失敗した切りで、あとは完璧でした。さすがです。
 傘を別の人に返して(笑)、アイリスは舞台中央で、さっきと同じように指をくるりと回します。きらん、という効果音の直後、花火が鳴り、街角の時間が動き出します。
 そしてアイリスのパートを歌い上げると、この後は張り出し舞台中央へ。たらいを見つけると、しゃがみ込んで、たらいに張られた水を両手ですくい上げ、はね上げます。「アリス〜」の湖のシーンをほうふつとさせましたが、後ろ姿だけでも子供な雰囲気を醸し出している様は見事だと思います。
 そして二人一緒のパートに入る辺りで、長椅子に腰掛けて歌います。千秋楽だけは、何と靴と靴下を脱いで、たらいに足を浸していました。とても自然にやっていたので、千秋楽ネタという感じは無かったかも。久美さんのサービスでしょうか、な〜んて☆
 「久美さんの生足は〜♪眩しいね〜♪」でした(笑)。
 歌の最後の方では、織姫と二人、長椅子の上に立ち上がって、線香花火をします。輝くような笑顔が印象的でした。
『ちゃんとお昼寝しーよう〜♪』
 という下りで、麦藁帽子の女の子に語り掛けるように歌うところも、優しい表情が何とも言えず可愛くて、印象的なポイントでした。
 歌が終わると二人、長椅子に腰掛けて、お話します。
『ねえ、織姫。どうして夢の時間て早いの?』
 と、アイリスが織姫に尋ねます。怪訝な顔をする織姫に、アイリスは言います。
 ここは、やはり一度だけでしたが、夏の時間は、と言ってしまい、芝居に詰まりそうになってしまった回がありました。でも上手く織姫がまとめてくれました。チームワークですね☆
『だって今、歌ってたでしょ?』
 と、最後の方の歌詞を歌ってみせるアイリス。
『夢の時間って早いから〜♪って』
 右手人差し指をリズムに合わせて振る姿が、とっても可愛かったです☆
 今、アイリスが早口で歌っていたところですね、と理解する織姫。
『うん』
 とアイリスは頷きます。
 織姫は一頻り考えてから、夏は眩しいから、という答えを返します。
『夏が眩しいと、どうして夢の時間が早いの?』
 素直に訪ねるアイリス。
 こういうナチュラルな台詞は、久美さんがいかにちっちゃくて可愛いアイリスになっているか、顕著に分かる物差しのようなものだと思います。似つかわしくない表現ですが、本当に凄味のある芝居でした。
 アイリスの問いに対し織姫は、だって眩しいんだもん、あ! と目が覚めちゃうでしょ、といった風に答えます。
『ああ! 早起きするってことだね!』
 と、顔を輝かせて、納得するアイリス。
 が、途端にうなだれて、低めの声でぐったりと言います。両手はスカートの上、両足の間です。
『ああ、だから夏は疲れるんだ』
 コミカルな芝居で、胸がきゅんとなる可愛さでした☆
 そして話はうなぎのことになります。
 織姫が、だから週末の土曜にうなぎを食べるんだ、と言います。土用の丑の日と言うでしょ、と(笑)。
 勿論、全くの間違いなのですが、フランス人のアイリスはそんなこと知る由も無く、
『そうなんだ〜』
 と、素直に感心しちゃいます。
 間違いを嬉しそうに教える織姫と、素直に信じちゃうアイリスの二人の絵が可愛過ぎです☆
 更に、実際にご覧になった方の中には、新春歌謡ショウでの「そうなんだ〜」を思い出された方も多いことでしょう。あの口調です。面白くて可愛い、アイリスの名台詞。
 千秋楽では、とうとう自分の間違いに気付いたのか(笑)、「嘘で〜す!」と返され(これまた織姫の名台詞)、アイリスがびっくりしちゃうシーンもありました(笑)。
 そして、役者はスタミナを付けなくちゃ駄目、この辺に美味しいうなぎの店がある、と織姫が言います。するとアイリスは、
『うなぎ!?』
 と、必死そうな顔で聞き返します。頷く織姫に、再び聞き返します。
『うなぎ!?』
 そしてやおら立ち上がって、
『うなぎ、やだ〜!』
 地団太を踏むように両腕を上から下に振ります。
『うなぎ、まずい〜!』
 と、くるりと回るアイリス。もう胸がきゅんとなる、めちゃくちゃ可愛い場面です☆
 すると織姫は、フランスやイタリアのうなぎは不味いけれど、日本のは美味しいと説明します。
 そして立ち上がり、「ヴォーノ!」と、ほっぺたに右の人差し指を当ててみせます。
『ヴォーノ?』
 聞き返すアイリス。美味しい、って意味です、と説明され、アイリスもやるように織姫は言います。
 千秋楽では、織姫が客席の皆さんも一緒にと呼び掛けてくれました。とても嬉しい、粋な計らいでした。アイリスも織姫と一緒に、「ヴォーノ!」と会場や升席に顔を向けてくれました。「ヴォーノ!」と言う大勢のお客さんを見て、
『そんなに、うなぎヴォーノなんだ〜!』
 と、大納得していたアイリスでした☆
 ほっぺたに右の人差し指を当て、ちょっとくるくる回し、
『ヴォーノ』
 と、アイリスはやってみます。
 織姫も一緒に繰り返し、楽しくなってきたアイリス。再び、
『ヴォーノ!』
 と、今度は笑顔でやってみせます。織姫も一緒にやります。
『ヴォーノ!』
 と、更に今度は左のほっぺたにも指を当て、両方のほっぺたに指を当てた状態で、嬉しそうに声を上げるアイリス。
『うなぎ、ヴォーノ!』
 織姫に合わせて、アイリスは言います。飛び跳ねるように身体を上下させます。
 すると、どうやらお腹の虫が鳴ったらしく、両手でお腹を押さえ、
『あっ、お腹なっちゃった』
 えへっ、と笑います。もうどうしようも無く可愛いです。胸がきゅんとなる可愛さです☆
 ご自分の外見は忘れ、アイリスの精神でいよう心掛けている久美さんは、声だけにとらわれず、トータルで可愛くなるよう努力されています。これら一連のシーンは、正にその結晶であると思います。非の打ちどころの無いアイリスです。心底、可愛いです。
 アイスクリーム売りの声が聞こえ、アイスジェラートでしょ!と怒る織姫。千秋楽、微妙ですが、アイリスクリームいらんかね〜、と聞こえたのは気のせいでしょうか。怒る織姫に戸惑うように、客席に背を向けた格好になるアイリス。ここで、織姫がうなぎ屋さんを見つけ、入ろうと促し、
『うっなぎ、うっなぎ〜』
 と、嬉しそうにスキップしながら、アイリスは駆け寄っていきます。
 アイリス、知ってますかー? と織姫。
『んー?』
 と、アイリスは聞き返します。
 すると織姫は、関東と関西での、うなぎをどこから裂くかの違いを語ります。
『な〜に、それ?』
 と、尋ねるアイリス。
 蘊蓄、と言ってみせる織姫に、
『うんちかー』
 無邪気にボケるアイリス(笑)。
 うんちく! と強調する織姫でしたが、更にアイリスはボケます。
『うんちくんかー』
 ボケる、と言うより、本当にそう思って喋っている無邪気さが最高に可愛かったです☆
 うなぎ屋さんに二人、入っていき、このシーンはおしまい♪

 「子供はいつ大人になるのか?」
 武田と西村は街の人々を巻き込み、更に親方や江戸川先生、更に薔薇組までも巻き込んで、この問題について考えます。やがて日が暮れ始め、皆、考え疲れて、へたり込んでいるところへ……。

★肝吸いヴォーノ!〜花組さんだー!

 うなぎを食べ終わり、織姫の後をついてアイリスが出てきます。
 背負っていたジャンポールは右腕に抱いています。
『肝吸いヴォーノ!』
 と、ほっぺに左の人差し指を当て、アイリスは大満足の様子。
『フォアグラみたいだったねー!』
 と、アイリスは織姫と顔を合わせて、喜びます。
 因みに、アイリスファンの友人たちと一緒に、うなぎ屋さんで肝吸いを初めて食べましたが、本当に本当に「ヴォーノ!」でした。でもフォアグラは食べたことが無いので、アイリスの例えまではさすがに実感できませんでした。でも、まるで久美さんみたいな味でした(笑)。
 と、街の人々がへたり込んでいる異様な光景に、何だこれ、とびっくりする織姫。
 アイリスも目を丸くして周囲を見回します。
 子供はいつ大人になるのか? 答えられる奴は手を上げて、と喚く武田。元気良く手を上げる織姫でしたが、武田に軽くあしらわれてしまいます。
 続いてアイリスも、
『はいっ!』
 と、嬉しそうな笑顔で手を挙げます。とてとてと走り寄り、
『アイリスは大人だよ★』
 胸を張り、にっこり笑って言うアイリス。ちょっと予想していた台詞とは言え、可愛過ぎです☆
 武田に、はいはいと頭を撫でられ、
『ふえぇ〜ん!』
 織姫に泣き付いてしまいます。
 何の騒ぎですか? と憤慨する織姫。菊之丞が答えるのですが、エアプレインで、もじゃっ、で、厳しい〜、などと訳の分からないまとめ方で答えます。呆れる織姫。ところがアイリスは例の口調で、
『そうなんだ〜』
 偉く感心した様子で(笑)、菊之丞の元へと駆け寄っていいます。
『随分、難しい話してるんだね〜』
 ゆっくり大きく頷きながら、アイリスはそう言います。素直に感じ入ってしまうアイリスがとっても可愛らしいです☆
 小さい菊之丞と並ぶと、余計、大きく見えるアイリス(笑)。久美さんの可愛い台詞回しと相俟って、この辺の絵はなかなか面白かったです。
 と、この後、不意に怖い音楽が鳴って、ヤクザな人たちが舞台下手より現れます。三人のうち一人はスーツ姿、うち二人は大きな木槌を持った、半纏姿の手下です。
 スーツ姿の男の指示で突然、手近にあったお店を壊し始める男たち。抗議する店主に、スーツ姿の男は「東京撤去許可局許可証」(笑)を見せます。
 東京撤去許可局許可証〜? と、皆で繰り返すのですが、アイリスは舌を噛んだみたいに上手く言えなくて、苦い顔で首を傾げます。見逃してはならない可愛いポイントです。
 彼らがやっているのは地上げ。地主の承諾も得、ここら一帯を取り壊す権利を持った彼らは、「東京撤去許可局許可証」を盾に、再びお店を破壊し始めます。
 当然、烈火のごとく織姫。
 アイリスも駆け寄り、それに同調します。
『そうだよ! 大人のすることじゃないよ!』
 つんと張った低い声、怒った声でアイリスは言います。この辺の、台詞から感じられる怒り具合は、回によって多少、違いました。気持ちの入り具合によって、言い方や声のトーンが大きく左右される台詞だったみたいです。
 と、ここで、ダンディ団の西村と武田が前に出ます。
 同じヤクザ者の彼らに任せておけば安心。薔薇組、織姫らと並んでアイリスは一番手前。軽く頷きながら、皆で揃って「OK」と指でサインを作ります。このアイリスが妙に可愛かったと思うのは私だけでしょうか。
 おひかえなすって、とヤクザ流の挨拶をしてくる連中に、アイリスたちは足を軽く曲げて淑女っぽく返します。アイリスは回によって、両足を一緒に曲げていたり、左足を曲げて爪先立てたり、或いは右足だったりと変わっていました。
 ところが、「東京連合」と名乗る彼らに、西村たちはビビッってしまい、升席の陰に隠れてしまいます。逃げていく彼らに、アイリスは指を差しながら目を丸くし、どうなってるの? といった風に皆と顔を見合わせます。
 邪魔者がいなくなったことで、連中は取り壊しを再開、とうとうお店が壊されてしまいます。
 激怒した織姫はスーツ姿の男に、この土地が地主の土地なら、地主の土地は誰のもの!? この地球は誰のもの!? と、詰め寄ります。
 するとアイリスは、菊之丞と一緒に右腕を振り上げ、
『そうだー!』
 と叫びます。怖いんだけれども、織姫と同じ気持ちだから、勇気を振り絞って頑張っている、といった感じの必死な表情です。
 そして手下たちに向かって、このアンポンタン! と怒声を叩き付ける織姫。
 アイリスもそれに続いて、客席に背を向けた格好になって、
『アンポンタ〜ン!』
 と、両足を踏ん張って、上体を曲げて叫びます。
 このアマー! と木槌を振り上げて襲い掛かってくる手下たち。あわや、というところで、三味線が激しく掻き鳴らされ、壊されたお店の裏からさくらとマリアが登場します(笑)。
『マリアー!』
 と、駆け寄っていくアイリス。
 この後、喧嘩のシーンになり、アイリスは舞台下手側へと逃げようとして転んでしまいます。その時、ジャンポールは袖へと転がっていき、街のお兄ちゃんに拾ってもらいます。このジャンポールはアイリスが持っていたのとは別のもので、ワイヤーが付いたものに。
 やがて、スーツ姿の男が江戸川先生に銃を突き付け、人質に取ります。必死に助けを請う(笑)先生に、渋々、マリアは銃を捨てます。死ねや、と銃を向けられるマリアたち。
 瞬間、
『ジャンポールぅ!』
 と、泣き叫ぶように絶叫し、アイリスが駆け出すと同時に、ジャンポールを手放します。
 ここは駆け出し方と手放し方が結構、難しかったのではないかと思います。でも毎回、アイリスがジャンポールを飛ばした様を自然に見せてくれました。
 宙を舞うジャンポールに気を取られるスーツ姿の男。マリアたちに隙を突かれて形勢逆転。
 さくらが刀を手に、手下の一人相手にたんかを切ります。その間、アイリスは屈んだ姿勢、唇を引き結んだ力強い表情でそれを見守っています。
 マリアが「東京撤去許可局許可証」を反故にし、もう金輪際、ここに手出ししないと、西村たちの前で約束させます。
 アイリスの顔にも笑顔が戻ります。
 すごすごと帰っていく際、忘れ物よ、と刀を渡され、素手で刃の部分を掴んで痛がったり、派手に転んだりするスーツ姿の男。アイリスは大きく驚いた表情を見せたり、織姫と笑い合ったりしていました。
 しかし地上げ屋は追い出したものの、壊れてしまったお店はどうすれば……。そのことを指摘するさくらに、アイリスも悲しそうな表情になります。江戸っ子気質の店主は強がってはいるものの……。強がる彼に、アイリスの表情は泣き出しそうなものへと変わっていきます。この辺のアイリスは、ゲームのアイリスそのものかもしれません。人の悲しみを自分のことのように悲しむ、優しいアイリスです。
 そこで江戸川先生が、ごひいき筋から頂いたというお金を利息無しで貸してあげると言い出します。アイリスは最初はちょっときょとんとした感じで、店主がお金を受け取ると、ぱあっと顔を輝かせ、さくらたちと笑い合います。
 これにて一件落着。
 江戸川先生は大人と褒め称える中、大人、という言葉で、武田が思い出したように大きな声を上げます。
 マリアが怪訝に思い、まだ何かあるの? と尋ねると、アイリスが舞台前面に出てきて、説明します。
『あ〜、えっとね。子供はいつ大人になるのか、って、み〜んなで考えてたの』
 と、周囲をぐるりと右手で指し示しながら、アイリスは言います。
 これだけ大人が雁首揃えているというのに答えが見つからない。自分のことは棚に上げ、情けないと宣まう武田に、アイリスは大きく頷きます。
 するとマリアは、何だ、そんなこと、と、事も無げに言ってのます。ええっ! と、驚く一同。武田が胸元で十字を切り、マリア様! と教えを請います(笑)。それに合わせ、皆と一緒に声を揃えてアイリスも、
『マリア様!』
 と、両手を組み合わせます(笑)。
 神々しいスポットライトとBGMの中(笑)、深い愛を知った時、子供は大人になるのだと説きます。天使の羽根を落として大人になる、というロマンチックに語るマリアに感嘆するさくら。
 アイリスは最初はきょとんとしていましたが、子供だからちょっと遅れて理解します。この辺の久美さんの間の取り方も、なかなか上手だと思いました。
 ロマンチックなマリアの言葉に、アイリスもほわ〜んってなっちゃいます。ちょっと上を向いて、うっとりとした笑顔。軽く握った両手をゆっくりと頬のところまで持っていきます(ほっぺたには付けません)。
 もう、ここのアイリスはとろけるほどに可愛かったです☆
 武田が、ありがとうございました! とお礼を言って、再びマリア様! とやり、アイリスもまた皆と一緒に、
『マリア様!』
 とやります。
 と、菊之丞が大きな声を上げて、お稲荷様を発見します。今度の公演、「新宝島」で、流木の役(笑)が上手くいくよう祈願しに来ていた琴音。早速、お祈りします。
 それをアイリスは織姫と笑い合いながら見守ります。そして今度は自分たちもと、「新宝島」の成功をお祈りすることに。
 花組と一緒にアイリスも客席に背を向けた格好で、お稲荷様に向かって、ぱんぱんと手を叩き、
『新宝島が大成功しますように!』
 しっかり声を揃えて、ぺこりと頭を下げます。
 ちょっとかぼちゃパンツが見えてしまうのが、何とも子供らしくて可愛いアイリスです☆
 と、ここで、街の人々も遂に彼女たちが花組だと確信し、やっぱり花組さんだー! と大騒ぎに。舞台中央に押しやられ、もみくちゃにされちゃうアイリス。そうして紗幕が降りて、このシーンはおしまい。
 アイリスと織姫の長時間としては初のコンビとなった、愉しくも可愛らしい絡みが観られた、この一連のシーン。久美さんと岡本麻弥さんの、初々しさも感じられる絡みでもありましたが、ゲーム「サクラ大戦2」で織姫がアイリスを怒らせた場面を舞台で想像などすると、何とも余計に嬉しくなってくる今現在の二人です☆

 大帝国劇場の稽古場、歌のことでくさくさしていたカンナと一悶着あったものの、ごめんなさいと自分から謝れるのが大人であると知り、感動するダンディ団のボス。と、そこへ、子供はいつ大人になるのか? の答えを持ち帰ってきた西村と武田。深い愛を知ることで、子供は大人になる。それを聞き、愛を知らないから、まっとうな大人になれなかったんだ、とボスは嘆き、西村、武田と抱き合うのですが……。

★大帝国劇場に帰還〜「新宝島」のお稽古へ

 江戸川先生に続いて、大帝国劇場の稽古場へと帰ってきたアイリスたち。ダンディ団を見て、愛し合ってますね、などと言う江戸川先生(笑)。
 あ〜っ、という感じで笑うアイリスが凄く可愛かったです☆
 子供はいつ大人になるのか? それは分かったが、どうして子供は大人にならなければならないのか? 新たに生まれた疑問を武田はマリアにぶつけます。
 これには、かえでさんが答えます。それは夢。子供時代の夢を実現するために大人になるのだと。そして雲国斎先生が、子供が夢を見られるような仕事(こと)が出来るようになれば大人、とまとめます。
 その間、唯一の子供であるアイリスは、考えるように小首を傾げたり、納得して口が半開きの状態で大きく頷いたり、メンバーと笑顔を交わし合ったりと、可愛い反応を見せていました。目を離させない、飽きさせない演技を久美さんはしていました。
 やがてレニが海賊のシーンで使う小道具を持ってきて、お稽古再開。
 カンナが手下たちに持ち上げられて「海賊稼業」を歌い、一幕も終わりです。アイリスは皆と肩を組み、曲に合わせて身体を左右に揺らしながら歌っていました。
 ゲームの一話終了後で掛かるクライマックスのBGMが掛かる中、幕。
 アイリスは西村、武田と一緒にテーブルの上に上がり、じゃんけんなどしつつ、「勇気リンリン」のサビの部分の振りを練習したりしていました。


◎休憩前後

 一幕終了後の休憩前、恒例(?)となった3分間ショッピング。今回はさくらに、アイリスという組み合わせでした。
 舞台下手より、「夏の街角」を替え歌して歌いながら出てくる二人。
『夏は〜♪』
 と、アイリスが歌い、歌謡ショウへ行っこう〜♪ とさくらが入ります。

『ららら〜♪』
 サクラグッズを買おう〜♪
『ららら〜♪』
 休憩は20分〜♪ 
 そして舞台中央まで来ると、アイリスは上手側に立って、誰かに聞かれないように上体を屈め、
『親方の頭は〜♪』
 早口気味に、ちょっとトーンを落として歌います。このトーンの落とし方が何とも可愛い感じ☆
 そして続けて、
『ま〜ぶ〜し〜いね〜♪』
 と、オチを付けて二人で歌っていました(笑)。
 さくらがまず挨拶をし、アイリスが、
『今回は紅蘭の発明はありません。ごめんなさい!』
 と、大きく頭を下げます。
 紅蘭の発明はあったそうなのですが……、
『ぜ〜んぶ爆発しちゃったんだよね〜』
 と、低い声で言うアイリス。
 その代わりに今回、発売されたのは、「新宝島」フィギュア。新宝島の衣装を着たミニサイズの花組の、言わばコスプレフィギュ(フルカラー)。
『新宝島コスプレフィギュア〜!』
 と、二人揃って、両手をひらひらさせながら紹介します。
 さくらが内容を説明し、気になるお値段は、と振ります。
 するとアイリスが、
『何と7体入りセットで4,500円〜!』
 と、応えます。因みに初日は、さくらもかんでいたのですが、ここでアイリスもかんでしまい、何を言っているんですか、あなたは、なんて言われていました(笑)。
 安い! と、客席から声が掛かる中、さくらは、高い! と一喝。
 が、すかさずアイリスがフォロー。
『でも? こうして並べてみれば……』
 と、興味を誘うように言います。
 ここはとても久美さんらしい言い回し、声のトーンでした。
『いつでも歌謡ショウ〜!』
 盛り立てるように両手をひらひらさせながら、楽しそうに言うアイリス。さくらが、歌謡ショウファンには欠かせないグッズです、ね! と客席に向かって訴え(笑)、
『買ってね〜!』
 と、ちょっとお辞儀するようにしながらアイリスが言って、このコーナーはおしまい。
 この後、舞台上手へとはけていくのですが、ここでちょっとしたネタがありました。さくらが、「待乳山聖伝」(しょうでん)様(自分だけの願いを叶えてもらう神様)に○○○がお参りに行ったんだって、と振り、
『何をお願いしたの?』
 と、アイリスが聞きます。
 そしてさくらがお願いの内容を言って、アイリスがそれに応える、というネタでした。
 完全な日替わりではありませんでしたが、幾つか種類がありました。
・マリア=自分だけのオンリー・マンが現れますように↓
『きゃあ〜!』
 と、黄色い声を上げて、
『オンリ〜マ〜ン』
 と、二人してマリアの真似して低い声で歌っていました。
・カンナ=自分だけの食堂が出来るように↓
『さすが2メートルの19歳だあ』
・レニ=自分だけはカンナの妄想に出ないように↓
『出ちゃったじゃ〜ん』
・大神さん=自分だけの太正浪漫堂ができますように↓
『マニアックだ〜』
・かえでさん=自分の光武が持てますように↓
 ちょっとびっくりした顔で、
『持ってなかったんだあ』
・菊之丞(千秋楽)=大神さんが自分だけのものになりますように↓
『ばっかじゃないの〜!』
 お兄ちゃんは自分の恋人、という独占欲からでしょう、なかなかきつい言い方をするアイリスでした(笑)。
『ばっかじゃないの〜!』
 と、連呼しながら上手へとはけていきました。その後、キャストの何人かが下手から出てきて、ばっかじゃないの〜! と連呼しながら上手に向かって歩いていきました(笑)。更に最後は張本人、菊之丞が出てきて決意も新たにしていました(笑)。

 休憩が終わり、二幕の前には親方による「ゲキテイ」振り付け講座が行われました。そして自分だけでは心許無いということで、助っ人登場。
 二階席(舞台に向かって右側)に、アイリスも登場したのでした。
 二幕では割合、序盤に登場するアイリスで、着替えも大変だというのに、ご苦労様な久美さんです。二階席で観た方の話によると、二幕のアイリスの髪型、金髪を左右で短く縛った形で登場されたそうです。それに夏服ですから、とてもレアなアイリスの姿だったりするのでした。
 今回は幕間も大活躍なアイリスでした☆


 
 
◎二幕
※アイリスの台詞は、『』で記述しています。

 二幕では、久美さんも見所として上げていたように、アイリスも二役で登場しました。
 その二つの役は、今までの歌謡ショウの中で最も可愛いアイリスであったと思います。
 「新宝島」は「アリス〜」にある意味、似ています。ジムとアリス、目的こそ違うものの、主人公が色々な登場人物たちに出会っていきながらゴールを目指す。
 久美さんは今回、¨出会われる側¨。女の子をも虜にする強烈な可愛さと、個性的なキャラクターを発揮しながら、しっかりと芝居を盛り上げていました。

★初登場シーン

 お金持ちや貧乏人、様々な人々でごった返すロンドンの街。トリローニ市長に警察官が挨拶しているところで、てぶくろ三銃士たちが舞台上手より出てきます。
 三人、それぞれ名前があるかと思いますが(西村がデビッドと呼ばれていたように聞こえた回がありました)、以下、アイリス、武田、西村と表記します。
『ぶ〜〜〜ん!』
 両腕を水平に伸ばし、飛行機の真似をしながら走ってくるアイリス。ぶ〜ん、って言っているのはアイリスだけで、その後を武田、西村が同じように飛行機の真似をしながらついてきます。
 元気でやんちゃそうな声で、心底、楽しそうな笑顔でした。とっても可愛い笑顔でした。
 「てぶくろ三銃士」の衣装は、太正浪漫倶楽部の会報やHP、パンフレットに掲載されている通り(但し、剣は無し)。この時点では頭にてぶくろは乗せていなくて、肩からてぶくろと同色のバッグを提げています。黄色いてぶくろが描かれたバッグです。
『市長、こんにちは〜!』
 と言って、張り出し舞台の方で急カーブしながら、市長の前を走り過ぎていきます。初日と二回目辺りまでは、市長さんと言っていましたが、それだと良い子過ぎるので変えたのかもしれませんね。
『さようなら〜!』
 直ぐ様、そう言って、舞台下手の方へと駆けていきます。
 そして露店商(?)たちの前で立ち止まると、あれは何だ? という感じで、空を指差し、彼らが気を取られた隙に、アイリスはパンを盗って(武田はトマト、西村は出遅れて怒られていました)逃げていきます。
 初登場シーンはここでおしまい♪

 貧しい家に生まれ育った少年ジム。ある日、偶然、彼はトランプ金貨を手に入れます。先立つものを手にしたことで、彼は夢だった冒険の旅に出られると大喜びします。
 そして先ずジムは、街で顔見知りの同世代の少年たち、「てぶくろ三銃士」の秘密基地へと向かいます。

★「てぶくろ三銃士」の秘密基地
             〜アイスを食べに行こうー!

 ラッキーとお金について歌った、群舞を使った大規模な曲(アルバム未収録)が終わり、後奏に入ると張り出し舞台より、大きな土管がせり上がってきます。
 秘密基地とでっかく書かれた土管の上にはアイリス。ここから、頭にてぶくろを乗せています。右膝を立てて座り、その上に右肘をつき、何やら嬉しそうな笑顔で虚空を見つめています。直後、「勇気リンリン」が始まるのですが、この歌に出てくるような子供だけの王国、きっと子供ならではの楽しい想像をしているのでしょう。
 「勇気リンリン」の前奏が掛かり、アイリスが土管をばんばんと叩くと、中から武田と西村が出てきます。
 「勇気リンリン」のアイリスは、CDに収められているバージョンよるも若干、元気な歌い方で、色々、動きに工夫が凝らされた、とっても愉しいものでした。
 勇気がリンリン〜楽しいぞ♪の下りは、土管の上で全員で歌い、続く西村、武田が嘆くように歌うパートでは、アイリス一人、土管の上から二人を見下ろし、切なそうな表情しつつ、
『こどもはみ〜んなあーそーびたーい〜♪』
 と、歌います。そしてこの後が、とてつもなく可愛いポイントです。土管から飛び降り、張り出し舞台前面でうつぶせに寝そべると、両肘ついて顔を乗せ、とびっきりの笑顔をリズムに合わせて左右に揺らしながら歌います。
『みんなでいつの日かっ王国をー、子供たっちの国をー作ろうぜ〜♪』
 両足も交互にぱたぱたさせていて、もう最高に可愛かったです。前列真正面に座ると、そのアイリスとぴったり視線も合ったりして、この上無い幸せです☆
 そして以降のパートでは、アイリスは再び土管の上に登って歌います。
 子供たちの国。でも西村と武田が繰り出す具体的な疑問。誰がおやつくれるんだ? 誰がお金くれるんだ?
 アイリスは土管の上から、透き通った大声で叫びます。
『うるさ〜い!』
 目はぎゅっとつぶっているものの、ヒステリックなポーズではなくて、両腕を勢い良く開いていて、むしろ綺麗な感じでした。男勝りだけれども、ジムと違い、たぶん良い家の生まれで、しかも女の子なので、考え過ぎかもしれませんが、それが反映されているようにも思います。
 サビの部分では土管の上に三人で座り、右腕を振り振り、元気良く歌います。
『さあ、おーうこーくを、つーくーろっ♪』
 という下りでは、CD同様、美しい高音を聴かせてくれました。
『えいえい、おー!』
 と、とびっきりの笑顔で、右腕を元気良く(左足が跳ね上がる勢いで)振り上げるアイリス。最高に可愛い瞬間です。皆さん、一緒に「えいえいおー!」はしましたか?
 間奏に入ると、三人は土管の向こうへ。
 みんな、客席に背を向けた格好で、アイリスは真ん中。まず西村が、肩に提げたバッグの中から大きな布(旗)を取り出します。ところがそれは、黒地に大きく×マークの入った布。
 間奏のフレーズが一区切りする部分で、
『ぶ〜!』
 と、アイリスと武田に、腕で×マークを作られて、子供特有の、ちょっと馬鹿にしているようにも聞こえる低めの声で言います。
 そして同じように、今度は武田も布を取り出しますが、やっぱり、
『ぶ〜!』
 音楽に合わせてテンポ良く進んでいき、最後はアイリスです。鞄から出てきたのは、赤地に黄色い手袋の絵が描かれた布。
 それは旗で、アイリスは「てぶくろ三銃士」の旗を掲げながら、リズムに合わせてコミカルに、「おっけ(OK)、おっけ、おっけ、おっけ!」と、左足を大きく踏み出していきながら前進していきます。得意げなアイリスの顔がまた面白く、愛しいくらい可愛かったです☆
 そうして土管の右側にポールを立て、アイリスは手早く旗を取り付けます。旗が揚がると、みんなで、わ〜っと拍手。この辺は非常に限られた時間の中で、テンポ良くやっていて、しかも一度も手間取ったこと無し。随分、練習されたんだろうなと思います。
 そして再びサビ。土管の回りを時計回りにぐるぐる回りながら、右腕を振り振り歌います。
 最後は三人、並んで、張り出し舞台の前面に出て歌います。
『ぼくらの手でっ、国を作ろっ♪』
 腰を落とした姿勢で拳を握り、フレーズに合わせ、勢い良く身体の向きを左右に入れ替えながら、
『いざ夢のみらーいへー♪』
 と、左腕を広げる動作へと繋げていきます。歌声が乱れるのを最小限に抑えて聴かせてくれたのは、なかなか見事だったと思います。
『ゆ〜こ〜う〜♪』
 で、右腕を広げようとするのですが、武田とぶつかり、むっとした表情になるアイリス。最後の最後まで楽しませてくれる曲です。
 そして最後は、
『えいえい、おー!』
 劇場で恥ずかしくて出来なかった方は、DVDを観ながらTVの前でやりましょう(笑)。
 歌が終わると、武田と西村は情けないくらい間抜けなチャンバラごっこ(笑)を始め、アイリスは土管の上で、長い、黒の革の手袋を掲げてみせます。
『じゃんじゃ、じゃーん!』
 と、顔はちょっと偉そうに、太めの声で言います。掲げた手袋の中から一枚の古びた地図を取り出し、手袋は武田の方に放り投げます。
『これをご覧っ!』
 地図を両手で広げて見せ、良く通る、力の入った声でアイリスは言います。
 「てぶくろ三銃士」という、ちょっと少ないけれど(?)、街の子供たちのグループ。アイリスが演じたそのリーダー格は男の子に思えなくも無いけれど、この台詞から分かるように女の子ですね。胸が強調された衣装も、女の子であることを示すポイントかもしれません(今回は大きく見せるブラジャー?・笑)。男勝りの女の子、男の子と遊ぶ方が好きなタイプの、おてんばな女ボスといった風情です。
 今回、どこまでも可愛いアイリスのイメージから結構、離れたことで、とても新鮮で、久美さんらしさも感じられる、非常に見応えのある芝居を久美さんは見せてくれました。
 武田が地図を見上げながら、それが宝の地図であることに気が付きます。
 するとアイリスは、
『そうだよ!』
 物凄く嬉しそうに声を上げ、笑顔を見せます。土管の上でしゃがみ込み、
『おじいさんの鞄の中から盗んできたんだ!』
 目を輝かせ、非常に生き生きした笑顔で言います。男の子っぽい、とても良い台詞回しです。
 宝の地図に喜ぶ西村と武田を嬉しそうに見守るアイリス。と、武田が、肝心の×印の部分が海の上だぞと言い出します。
『いいやー!』
 土管の上から降り、思い切りアイリスは否定します。
 そしてうっとりとなって、こう言います。
『その島には、だ〜れも知らない海賊の宝が眠っているんだ……』
 本当にいい笑顔でした。純粋で無垢で、心底、宝の存在を信じている、完全に子供の顔になっていました。
 それを聞いて、大金持ちになれると喜ぶ武田と西村。子供銀行が買えるよね、と言い出す武田を、もう本当に何の前兆も無く、アイリスがハリセンで思いっ切り引っ叩きます。肩に提げた鞄に差してあったのですが、素早いと言うか何と言うか、どこから出てきたのか分からないくらいの自然な動きでした。お見事です(笑)。
 そして叩いた後の間も絶妙で、
『馬ぁ鹿!』
 と、こっぴどい言い方で罵るアイリス(笑)。最高に可笑しかったです。今だかつて無いだろう、アイリスのイメージから離れた芝居が本当に愉しかったです。
『本物の銀行が買えるさ!』
 と、力強く、嬉しそうに言うアイリス。
 この後、武田がアイリスの手からハリセンを取り上げ、西村を引っ叩き、馬鹿! と言うのですが(笑)、その間の、きょとんとしたアイリスの顔も可愛かったです。ちょっと笑みが混じっているかな、いないかな、というあんばいの表情でした。
 やがて話は、誰が海賊の宝を取りに行くんだ? という現実的な問題になります。
『ああ……それは問題だ……』
 頷きながら、張り出し舞台の上、上手側に移動し、アイリスは困ったような表情になります。
 そしてここから、このシーン屈指、とろけるほどに可愛いアイリスの台詞です。
『ぼくたちは一応、学校に行かなくちゃいけないし、子供だし、あんまり危ないことをするとママが心配するし……』
 段々と弱気な口調になって、半ベソっぽい顔になりながら、うつむき加減になっていきます。本当は女の子である、その素の部分も出てきて、とっても心をくすぐられる久美さんの演技でした。
 と、ここで様子を窺っていたジムが登場。先生の真似をして、背後からアイリスたちを怒鳴り付けます。
『ひー!』
 と、みんな一斉にしゃがみ込み、続けて怒鳴るジムに、
『ごめんなさいっ!』
 と、謝ります。顔を膝に埋め、耳を塞ぐように両手を当てています。もう可愛いったらありゃしません☆
 僕だよ、とジムが正体を現すと、みんな文句たらたら。
『んだよぉっ』
 と、アイリスはハリセンで自分の膝を叩きながら、男の子っぽい口調になってこぼします。
 何の話をしてるんだい? と尋ねてくるジムに正直に答えようとする武田。すると再び、アイリスのハリセンが一閃(笑)。 無言でアイリスは武田の顔を引っ叩き、
たらたら。
『ぴしっ!』
 と、声にならない、舌打ちにも近い感じで、ハリセンで上手を指し示します。三人は、素早く右側の升席脇へと駆け降り、屈み込みます。
 するとアイリスは、前の西村、後ろの武田の顔を連続してハリセンで引っ叩き(笑)、
『馬ぁ鹿!』
 と、さっきよりも幾分、強い調子でなじります。
『あいつは仲間じゃないんだぞ! 秘密を喋っちゃ、駄目だ!』
 ジムには聞こえないよう、少し声をひそめてアイリスは怒ります。秘密を喋っちゃ、の後の一瞬の間が、アイリスの必死さに加えて、面白みのある台詞回しを演出しています。
 宝の地図のことを隠そうとするアイリスでしたが、武田が、ジムには勇気があると進言します。
 と、アイリス、徐に立ち上がり、
『本当ー?』
 つんと顎を上げ、突っ張らかった表情で言います。低めの声です。
 ああ! と気持ち良く返事するジム。
『じゃあ宝島に行って海賊の宝を取ってこられるー?』
 突っ張った口調でアイリスは尋ねます。久美さんが完全に子供の演技をしている、特にそれが顕著に分かる台詞です。しかもやっぱり可愛いです。
 すると、ぱあっと顔を輝かせ(息を吸い込む音で嬉しさを表現しています)、アイリスはジムの元へと駆け寄ります。
『あのね!』
 と、ジムの前で急いで宝の地図を広げようとします。ここではすっかり女の子になっています。女の子の可愛い笑顔です。ふとした拍子に女の子らしくなるのが、もう本当に胸をくすぐられるようで、とっても可愛いです☆
 宝の地図を見せようとするアイリスでしたが、不意に地図を引っ込めます。子供特有のルール、プライドが頭をもたげるのでした。
『やっぱり駄目!』
 また、つんとした顔になって、声のトーンも太くなります。回によっては、¨やっぱり¨が¨やっぱ¨になっていました。
 アイリスは言います。
『仲間じゃないからあ』
 最高に嫌味ったらしく言いながら(笑)、張り出し舞台の上、下手側へと歩いていきます。音の一つ一つに、「ぁ」が入る感じです。顔はちょっと上向きで、肩をいからせ気味に偉そうに、のしのしと歩いていきます。
 教えてよお、とせがむジムにアイリスは……、
『たーだじゃ、駄目え〜』
 両手を前に持ってきて、だらんと下げて、身体と一緒に左右に振りながら言います。馬鹿にするように言いながら、言っているアイリスの表情も馬鹿っぽい、傑作の場面。久美さんの面白さ爆発の芝居です。
 するとジムは、トランプ金貨を取り出し、これと交換しようと持ち掛けてきます。
『ああ!』
 上体を乗り出すような格好になって、アイリスはびっくりします。色めき立つ「てぶくろ三銃士」。アイスキャンデーが死ぬほど買えると喜ぶ武田。
『よし! 交換だ!』
 締まった顔になり、アイリスは高らかに言います。左手で宝の地図を掲げ、右手を差し出します。
 同時に、というつもりのジムでしたが、先にトランプ金貨、という顔で微動だにしないアイリス。呆れつつジムは、アイリスの手にトランプ金貨を渡します。
 と、宝の地図を幼稚な感じで(右利きな久美さんが、左手で投げづらそうな感じから)遠くに投げ捨て、舞台奥へと走り出すアイリス。因みに千秋楽では、升席に向かって思いっ切り放り投げていました。
 トランプ金貨を手に入れて、大喜びの「てぶくろ三銃士」。
『よし! アイスを食べに、行こー!』
 トランプ金貨を掲げて、アイリスは嬉しそうに声を上げます。ここが一番、アイリスっぽかったかもしれません。
 そうして一番手前の舞台上手へと、走ってはけていき、このシーンはここでおしまい♪

 冒険が自分の夢。
 つまらない大人になんかなりたくない!
 必死になって自分の胸の思いをシルバー船長にぶつけたジム。そのかいあって、ジムはシルバー船長の船で宝島まで連れていってもらえることになります。
 シルバー船長が飼っている、嘘付きオウム「ヤコベッティ・ホーヘンバードJr」とも友達になり、船旅を楽しんでいたジムでしたが、途中、南海の女王に襲われ、海に投げ出されてしまいます。
 大きな赤ダコに襲われ掛けたりするものの、流木に助けられ(笑)、何とか宝島に行き着きます。
 ところが海賊王ビリーの手下に捕まり、秘密の隠れ家を知ってしまったジムは始末されることに。
 ビリーの元で働くロボットによって、崖の上に連れていかれますが、人間を傷付けることは出来ない彼はジムを助けてくれます。
 港まで出る道を教えてもらったジムは、やがてジャングルへと迷い込みます。

★「野生の雄叫び」〜バイバーイ!

 暗闇の中、かがり火の炎がぼんやりと見える中、幕が上がり、「野生の雄叫び」が始まります。
 公開稽古の際、二幕で役者が二役で出てくるのも見所とおっしゃっていた久美さん。アイリスもこのジャングルのシーンで、二役目を務めます。
 それは「シマウマ」。タイガーチェリーが統率する獣の群れの中の一匹で、ナンバー2の存在です。タイガーチェリーを深く慕い、タイガーチェリーに可愛がられてもいる、妹みたいな存在でもあります。
 今まで歌謡ショウで観てきたアイリスの中で、最も可愛いアイリスでした。久美さんが見所とおっしゃっていたのは、私たちの側からすると、この「シマウマ」のことだったのではないかと思ってしまうほどに素敵でした。
 白地に黒の流線形の模様が入った衣装で、身体にぴったりフィットした感じで、久美さんの美しいプロポーションも光っていました。背中にチャックがありました。裾の広がったパンツにミニスカートを履いていて、後ろにはくるくると曲がった細い尻尾。手首と首回りは白いふさふさした毛に覆われていて、勿論、頭には白と黒の耳です。
 多分にエロい感じもあって、めちゃくちゃ可愛かったです☆  そして、ただでさえ可愛いアイリスが可愛い衣装を身にまとい、クールな表情で激しく踊りまくる。それがたまらなく刺激的だったのが、この「野生の雄叫び」でした。
 群舞の中、久美さんのダンスはプロのダンサーさんたちの間にあって、遜色どころか、それ以上に上手であったと思います。タイガーチェリーに次ぐ存在として、ダンスの中でも魅力的に存在感を発揮していました。
 ダンスを描写するのは非常に困難なのですが、曲が始まってからの、両手を天秤のように上に上げ、身体をリズムに合わせて上下させたり、前進してくる姿がまず印象的でした。
 クールに、僅かの妖しさが入ったような表情がとてつもなく素敵で、不可思議なポーズと共に一気に引き込まれ、目を離せなくなってしまいました。
 タイガーチェ〜リー♪ という下りからでの、激しくステップを踏みながら手で膝などをタッチしていくところは、文句無しに格好良かったです。しなやかで力強くて、それがアイリスのクールな表情と相俟って、野生の匂いがぷんぷんしました。
 曲中、たぶん一番、目にする振りでしたが、この下りの後の、命ー尽〜きるまーでー♪ で、腕を横に振り抜いていく様も最高に格好良かったです。めちゃくちゃ痺れました☆
 これらと同じくらい多く目にする振りで、大体、歌が入らない部分でしょうか。精霊にお祈りするみたいに両手を合わせ、上体を上下させながら前進してくるところも素晴らしかったです。神秘的でぞくぞくしてきます。
 最初の「命尽きるまで」の後の部分もとても印象深かったです。正座の状態で、地面を両手でばんばん叩き、ごろりと転がって、またばんばん叩く。熱中しているアイリスのシマウマの振りに、ますますこちらも熱中します。
 ここはジャングルっ♪ という下りでは、舞台下手で、バンブーダンスを披露してくれました。相方さんたちと息をぴったり合わせるために相当、練習されたと思いますが、軽快に、熱くステップを踏む様からは色気も感じられて格好良かったです。揺れ動く耳も可愛かったです。最後にメインであるタイガーチェリーもやるのですが、しっかり引き立てていた久美さんでした。
 ケチャの部分に入ると、慌ただしい曲調の中、アイリスのシマウマは右側升席横へと降ります。タイガーチェリーに付き従うように、背中を丸めて控えています。背中が上下するところが、久美さんの今までの運動量からくる息遣いなのですが、獣のそれみたいで、なかなか良い感じでした。
 年齢的に皆さん、20代でしょう、ダンサーさんたちに囲まれて、久美さんも十分に渡り合っていますが、この部分は身体を休められる有り難い部分であったかもしれません。
 さあー踊れっ♪ という下りで、アイリスのシマウマも舞台に上がります。張り出し舞台に向かってタイガーチェリーに付き従うように、激しく踊りながら斜めに前進していくところが、かなり格好良かったです。斜めに、というのがミソ。一度だけですので、毎回、かつ目して観ていたポイントでした。
 再びケチャに入ると、アイリスは張り出し舞台、前から2番目で、仰向けになって右足を振り上げ、そして起き上がるという、かつて観たことが無いタイプのアクションを見せてくれます。席によって久美さんの真剣な表情が見えたり、振り上げられる足が見えるのですが、エキゾチックにしてエロチックでした。
 この「野生の雄叫び」は、さくらのラストの宙返りを締めに、歌謡ショウ史上に残る凄いシーンなのですが、アイリスのシマウマの余りの魅力に、視線はずっと固定されてしまいました。
 かつて、歌えない、踊れない、と嘆いていた久美さんでしたが、踊りに関しては本当に誇れるレベルにあると思います。これほど踊れる久美さんを観たのは初めてです。果たして、どれだけ練習されたのでしょう……。心からお疲れ様でした。心底、素晴らしかったです。
 さてここからは、アイリスのシマウマの芝居になる訳ですが、私はずっと思い違いをしていました。久美さんの演技を、シマウマではなく、ネコ科の獣であると勘違いしてしまったのです。久美さんのご出演作品も含めた総体的なイメージから、たぶん反射的にネコ系の動物と思い込んでしまったのでしょう(衣装と鑑みて迷った部分はありましたが)。
 久美さんの演技を分かってやれなかったことに、深く後悔しています。ただ、シマウマであると分かってからは、納得できる演技もあり、物凄く可愛く、魅力的な演技をしていたことには変わりありません。
 キャストやスタッフさんの一部からは「ホワイトタイガー」と呼ばれていたそうですし、また第一に演出のこともありますし、久美さんがどの程度までシマウマを意識していたのか一概には言えません。
 ただ、もし久美さんがこれを力不足と受け取るのなら、これからも一生懸命、応援していきたいです。
 厳しく考えると、ファンのイメージや衣装の見た目を超えて伝えられる演技を、役者としてはしていかなければならないと思います。ファンが持つイメージや衣装のせいもあったな、と思うのはありだとしても、それを主な原因にしたり、言い訳にしてはいけないと、私個人は思っています。
 ともあれ、アイリスのシマウマが、胸がきゅんとなるほど可愛かったことは本当です。
 以下、劇中に戻ります。
 ジャングルの中、何かの儀式を執り行うのでしょうか。
 歌が終わると、月の女神に供え物をする旨を、タイガーチェリーが高らかに宣言します。
 が、その供え物は、腹を空かして迷い込んできたジムが食べてしまったのでした。今は舞台中央奥ではりつけにされているジム。「野生の雄叫び」の後半からそのことが舞台奥で展開されていて、アイリスのシマウマもそれを発見して、咎めるような視線を送っていたシーンもありました。
『こいつ、供え物食った!』
 右手で指差すシマウマ。片言の日本語のような口調で、きっ、とした物言いで声を上げます。
 ジムににじり寄る獣たち。慌てて、胃の中のものをげ〜っと吐き出そうとするジム(笑)に、シマウマはびっくりして逃げ出します。
 舞台上手側、前の方まで来ると、怒って鼻を鳴らして(いなないて)、
『お腹、切って出せー!』
 と、叫びます。
 可愛いながらも、しっかり馬のいななきを表現していた久美さんです。
 また各所で、右脚(後ろ脚)で地面を掻いたりする仕草や、右腕(前脚)を高く上げて、左腕を低めに上げている仕草(馬が身体を起こした時)を見せていましたが、完全に馬のそれでした。独特のしなやかさが獣らしくて、とても見応えがありました。
 シマウマの命令で、一斉に駆け寄る獣たちでしたが、タイガーチェリーが待ちなさい! と怒鳴り付けます。
 しゅんとなるシマウマが最高に可愛かったです。うつむいて、両手首の内側をくっつけて、内股になっている姿が、もうとろけるほどに可愛かったです☆
 おまえ、どこから来た? とジムに尋ねるタイガーチェリー。ロンドンとジムは答えるジムに、素敵なところか? と尋ねますが、ジムはジャングルの方が素敵だと言います。神秘的で、生き返るような気がすると。
 タイガーチェリーは、それは木の精霊の力のおかげだと言います。すると照明が変わり、木や植物たちの姿がクローズアップされます。
 それを見てシマウマは、わ〜っ☆ という感じで顔を輝かせ、瑞々しい笑顔で軽く駆けます。この駆け方も、思い起こすにちゃんと馬のそれでした。
 タイガーチェリーは大層、ジムを気に入ったらしく、縄を解くよう命じます。
 いいの? という感じで、シマウマはタイガーチェリーの元へ。するとタイガーチェリーに前髪を撫でられます。ここで、すっかり上機嫌になって嬉しそうに上手側へと戻っていく姿が、とっても可愛かったです。この単純さがアイリスらしくもあり、思わず顔が綻びます。
 やがて話は、ジムが海賊の宝を探しに来たということに。
 ドクロ岩に宝が眠っているとジムが話すと、それはとても怖い場所らしく、獣たちは一斉に脅えだします。シマウマもすっかり脅え、ぺたんとべた座りしてうつむいてしまいます。もう、心の許容量を超えて、失神するほど可愛かったです。ただでさえ可愛いのに、べた座りなんてされたら、頭の中がどうにかなってしまいそうです。罪深い演技をする久美さんです(笑)。
 頑張るジムにタイガーチェリーは祭壇の上にあった、一際、大きな果物をあげます。それはかなり貴重なものらしく、あー! という感じで、他の獣たち同様、シマウマも指を差しつつ前に踏み出します。
 が、代わりに、ジムからブリキのバッヂをもらい、素敵だー! と叫ぶ(笑)タイガチェリー。それには、シマウマも笑顔で喜びます。
 ドクロ岩までのアバウトな道案内をされ、ジャングルを後にするジム。シマウマは飛び跳ねたりしつつ、可愛く手を振っていました。
 これでこのシーンはおしまい♪
 シマウマは、正に「素敵だー!」でした。
 てぶくろ三銃士と共に、アイリス史、久美さん史に残る、胸をきゅんとさせる魅力に満ちた、一生ものの役です。

 ジャングルを出たジムは腹を空かせた赤ワニたちと出会い、フルーツをあげる代わりに赤い傘を手に入れます。そして、遂に南海の女王と対決します。
 シルバー船長と共に立ち向かうジムでしたが、てんで歯が立たず。絶体絶命のピンチの中、ジムはオウムが喋っていた南海の女王の弱点を思い出します。
 「南海の女王には、難解な言葉を何回も言う」
 それは本当のことでした(笑)。
 会場をも巻き込み、お客さんも一緒になって難解な言葉、四文字熟語を連呼。そしてとうとう南海の女王をやっつけちゃいます☆
 海賊の宝はもう目の前。
 ビリーの配下の海賊たちに襲われ、友達になったばかりのロボット、ラッキーマンまでも失い、ジムが手にした宝とは……。
 宝箱は、空でした。
 愕然とするジム。今まで、何度も死ぬような思いをして頑張ってきたというのに、宝箱は空っぽ。ジムは激高して叫びます。
 今までの冒険は何だったんだ!
 すると、シルバー船長が静かに言葉を紡ぎます。
 嘆いてはいけない、ジム。
 宝はあるじゃないか。
 君の心の中に。
 思い出してごらん、今までの冒険の数々を……。

★「宝島〜勇気の旗を〜」〜二幕カーテンコール

 静かに、「宝島〜勇気の旗を〜」の前奏が始まります。
 今まで体験してきた冒険、この物語こそが宝物なんだと、シルバー船長はジムに言ってあげるのでした。そのことを理解し、自分がしてきた冒険、自分の物語、その宝物の凄さに、ジムは歓喜の絶叫を上げます。シルバー船長と抱き合い、そして歌へ。
 このシーン、この歌。
 最高に素晴らしかったです。アイリスを抜きにして、こんなに胸がいっぱいになった場面は今だかつて無かったと思います。思い出すと、本気で目頭が熱くなってしまいます。
 久美さんにとって、今回のスーパー歌謡ショウは宝物になったでしょうか。
 歌が2番に入ると、紗幕が上がり、シルバー船長の船が出てきます。船の上には、下手側からトランプの騎士、タイガーチェリー、そして上手側にアイリス(てぶくろ三銃士)。とびっきりの笑顔でジムたちに、両手で手を振ります。
 最初の顔合わせから千秋楽に至るまで、本当に色々なことがあったと思います。お家から稽古場まで、よし! という気持ちで行き来する日もあれば、ぐったりした気持ちで行き来する時もあったことでしょう。ファンの皆さんからの応援メッセージを読んで元気になることもあれば、公平先生や振り付け指導の先生、演出の茅野さんに色々、言われて悩むこともあったと思います。
 舞台奥から前面へと船は出てきて、アイリスも皆と一緒に歌います。サビの部分で右手を振って足踏みしたり、腕を左から右へと振ったり。
 生き生きとした、とっても良い顔をされていました。
 歌が終わり、後奏に入ると、アイリスたちは船を降り、入れ替わりにジムとシルバー船長が上がります。マストに登り、旗を振るジム。アイリスはタイガーチェリーの左、下手側で、客席に背を向けた格好で、それを見上げます。
 碇を上げろー! と、シルバー船長が痺れるほどに格好良く叫び、曲は終わりを迎えます。
 前を向いて、両方の腰に手を当て、遥か遠くを見つめるアイリス。
 そして幕です。
 楽しいこと、苦しいこと……。
 全て久美さんの宝物になってほしいなと思います。
 サクラが大好きな久美さんです。冒険が夢なジムと同じことです。但し、久美さんが目指す宝箱……それはお客さんを楽しませることでしょう……は、空っぽではありませんでした。沢山の拍手と笑顔が、久美さんの冒険の先に待っていました。そして、そんな宝箱に辿り着くまでの全過程も、久美さんにとって宝物。
 今回の二幕では、初となるカーテンコールも行われました。「宝島〜勇気の旗を〜」の感動的なインストゥルメンタルが掛かり、幕が上がると、ずらりと横一列にキャスト全員が……。思わず胸が詰まる瞬間でした。
 アイリスはほぼ真ん中辺り、さくらの右で、皆と一緒に客席を一頻り見渡し、主演の紅蘭とマリアと入れ替わります。
 大きな拍手の中、再び幕。
 一つ一つの時間が久美さんにとって宝物になってほしいと思います。パンフレットでもおっしゃっていますが、サクラでの経験が久美さんの人生にとって大きな宝物になることを、私も心より願います。
 だって、「てぶくろ三銃士」と「シマウマ」、あんなに素敵なアイリスを見せてくれたのだから、走馬灯の中に入らなければ勿体無いです。
 そして、同じくパンフレットの中でおっしゃっていますが、そんな久美さんの人生に幕を下りる時、久美さんが「幸せだったな」と思える人生を送れるように、その幸せの足しになる応援をしていきたいと思います。


◎フィナーレ

 ロケットダンサーズによる圧巻のラインダンスが終わって幕が上がると、「七色の虹」が掛かる中、キャストの皆さんが一組ずつ顔見せとご挨拶。
 花組が歌い出すのはの2番のサビからですが、アイリスは夏服で趣も違います。華やかなオープニングに対し、やっぱり優しげな感じがします。
 サビの最後の部分、こころキラキラと♪ の後が、
『さよなら、また会える日ま〜で〜♪』
 に変わっていました。心憎い演出はもう一つ、二度目のサビの途中、花組が張り出し舞台まで出てきてVの字に並びます。アイリスは右側後方。さくらが、本当にありがとうございました、と礼をし、アイリスも頭を下げていました。
 そして最後はいつものように「ゲキテイ」。張り出し舞台に出てきてVの字に並び(アイリスの立ち位置は先と同じ)、歌い踊ってくれました。
 今回は久美さん、サビの前からアイリスに掛かる、「アイアイ〜」という客席からの掛け声に、首をちょいっ、と傾けて笑顔で反応を返してくれたことがありました。
 締めは「全国の大神中尉とサクラファンに敬礼!」で、銀テープが派手に飛び出していました。
 カーテンコールでは、その銀テープまみれにされちゃう役者さんが必ずいて、ある回ではアイリスも餌食に☆ さくらが、何だか萌える(心をくすぐられる、のような意)姿ですね、なんて言っていました(笑)。正にその通りです!



 これで、今回のレポートはおしまいです。
 サクラの歌謡ショウも、あと3年です……。でもサクラが終わっても、メンバーの繋がりは終わることは無いでしょう。
 いつか久美さんがおっしゃっていた、「サクラのメンバーでサクラじゃないお芝居を演ってみたい」も、サクラが終わった数年先には夢ではないと思います。今回、アイリスのイメージから一歩、踏み出した「てぶくろ三銃士」を観て、再び思った次第です。

 
  

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