| 夜更けにひとり、ジャズライブハウスの扉を開けた。 友と飲んでも酔えない自分が情け無かった。 話が弾んでいる中で、ポツンと取り残されたような自分も嫌だった。 この店には時々訪れる。 ピアノとテナーサックスのセッションだった。今日はヴォーカッルは無い。 店内に客は疎らであった。 若い女性3人組、30代男性2人組、大人っぽいカップルが1組、 物思いに耽った30前後の女がひとり、そして僕・・・僅かそれだけだった。 マスターにメーカーズマークスをロックで注文した。 角張った氷が何故か胸に突き刺さりそうだった。 そう言えば、あの時も君はあのバーでロックを飲んだっけ。 その時の氷がやけに丸かったのを覚えている。 君は疲れていた…僕も疲れていた… 語ったことも覚えているさ。 いや、忘れよう。 忘れるために来たんじゃないか。 物思いに耽った女が傍に来た。 よければいっしょに飲もうと言った。 そうだ!今日は1人飲んでも酔えないのだから、この女と飲むことにしよう。 「いいよ。」 「よく来られるのですか?」と女は聴いた。 「うん、たまにね。君はどこから来たの?」 「ええ、○○市です。ひとり考え事がしたくて…」 「へー、それじゃ僕といっしょだよ。じゃあ、しこたま飲もうよ。」 「そうですね。」 11時になってしまった。 僕は誘った。「よ〜し!もう1件行こうよ〜。僕の知ってるBarに。」 女は乗ってきた。「ええ、徹底的にやりましょう〜。秋の夜長だしね〜。」 もう秋を思わせる冷たい風が吹いていたが、やけに気持ちが良かった。 女は僕の左腕にすがってきた。 見上げる空に星は出ていなかった。 2002/10/15 |
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