しずか 遅い朝 4926
2003/08/18
 
朝食の時間と言うよりも、すでに11時を過ぎブランチタイムになってしまった。
日曜日のせいか空気が澄みきっているようだ。
広い窓からは街の中心部の高層ビル群や、この街のシンボルとも言える城の天守閣までが見えている。

シズカは鏡の前に座ってひたすら化粧をしている。
淡いピンクの短いキャミから、同系色の薄地のコットンパンティが覗いている。
その光景はとてもエロティック。
すらりと伸びた色白の脚は丁寧にぴったりと揃えている。
品性の良さと言うものは、その時々に偲ばれるものだ。
先に着替えてしまった僕は、シズカのそんな仕種をいとおしく思いつい見つめてしまった。

見られていることに気づいたシズカは、顔を隠すようにしながら僕の方を向いて言った。

「見ないで・・・恥ずかしいじゃない…。」

そう言ってはにかんだ。

昨夜あんなに乱れたのに、明け方もあんな声を出していたのに、今はすまし顔。
女と言うものはそのシチュエーション毎にこうも表情が変わるものだろうか。
そんなことを考えながら、シズカを食入るように眺めてしまったのだ。

「時間が経つのが早いわね。」
「そうだね。楽しい時間と言うものは直ぐに過ぎてしまうね。」
「また会ってくれるよね?」
「もちろんだよ。」
「嬉しい!じゃあ、今から水族館に行こ?」
「水族館に行ってたら、君は帰れないよ。世界一大きな水族館だから、廻ると3時間は優に掛かるかも。」
「そうなんだ…。残念だね。でも次に来た時に連れてってよ?」
「うん、行こうね。」

「あの…」
「なに?」
「このパンティをあげる。」
「ええ!?パンティを僕にくれるって?」
「いらないの?」
「い、いや、欲しいよ。でもいいの?高いんだろう?」
「高くないよ。私たくさん持っているんだから。」
「ありがとう。それじゃもらっておくよ。でも照れるな〜。」
「このパンティを見て、私を思い出してね。」
「うん、思い出すとも。」

シズカは穿いているパンティをサラリと脱いで僕の掌に乗せた。
その後、別の紺色のパンティにすばやく穿き替えた。

シズカの化粧や着替えも終った。
シズカは白い半袖のセーターに、スカートは豹柄のミニ・タイトであった。
アニマル柄の似合う女であった。
彼女はその上にレザーのコートを羽織った。
その間僕は忘れ物が無いか部屋をチェックした。
最後に部屋の鍵を手にした。
鍵には「4926」と部屋番号が刻印されていた。
晩秋のふたりだけの一夜を優しく見守ってくれたこの部屋…ありがとう。
いつまでも忘れないよ。

もう一度、49階の窓から市内を見降ろしながら、ふたりは熱いくちづけを交した。
ドアを開けて遅いチェックアウトを済ませた。


(終)

 
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