<久美子in帆絵夢>

久美さんに捧ぐ詩です・・・。



 久美さんへのお手紙にこれまで添えてきた詩、その中で自信がある数編に更に筆を加えたものを、このコーナーで紹介しています。また、久美さんに捧げる詩としてアイデアが浮かび次第、お手紙に関係無く掲載していきます。
 因みに<久美子in帆絵夢>とは、「スーチーパイ」シリーズという麻雀ゲームのうちの一つにおまけディスクとしてあった、『久美子inハワイ』(ジャレコさんの元で運営されていた、久美さんの公式HP『Kumiko Land』の出張版)というコーナー名から取ったもの。そして「帆絵夢」とは、FOXさんの超人気男優、宮下タケルさんが経営されているペンションの名前。そちらに遊びに行かれた久美さんの写真が『Kumiko Land』に掲載されていること、加えて、詩=ポエムから、このコーナー名にしました。
 どれも久美さんを想って書いたものですが、深く考えずに、雰囲気を楽しんで頂けたら幸いです。





〜ルーズリーフ〜

新しいルーズリーフに彼女の名を書き込む。
新しいというのは嘘なのだけれど、
机の上にあるのは一枚目なのです。

彼女のルーズリーフには僕の名前が書いてある。
机の上にあるのは一枚目だけれど、
机の中には本当の一枚目があるような気がする。

僕のルーズリーフに君は色々と書き込む。
そこに消しゴムを掛けても消えずに残るもの。
それが僕を焦らせ、走らせる。

頑張って彼女のルーズリーフに僕は書き込む。
でも次の日には真っ白になっている。
それが僕を焦らせ、走らせる。

僕のルーズリーフは真っ黒になり、
枯れ葉みたいに机の上から落ちていく。
君のルーズリーフは相変わらず真っ白なままで、
机の中にしまいこまれる。

どうやら彼女のルーズリーフは一枚きりだったらしい。
僕は床に落ちたルーズリーフを探して机の中にしまいこむ。

そうして僕は貴方に会った。
今度ばかりは邪推も盗み見もできやしない。
何もできない僕は、
何もできない僕は、
机の中のルーズリーフを全部ひっぱり出して、
裏返しにして繋ぎ合わせてみた。





〜貴方の四季〜

夏の陽に灼けた貝殻を、
そっと耳に当ててみる。
火傷しそうになるけれど、
それでもいいと思っている。
狂おしいまでに熱く、くすぐったい。

秋の色に染まった木の葉を、
胸を空っぽにして見つめてみる。
女々しくも涙腺が弱まるけれど、
それでもいいと思っている。
鮮やかで、
私の心じゃ追い付かないほどの色彩を放っている。

冬の霜に凍て付いたドアのノブを、
思い切って掴んでみる。
暫し指先が離れなくなるけれど、
それでもいいと思っている。
無理に離せば、
人を愛する源が剥がれて駄目になってしまう。

春の風が運んでいく貴方の夢を、
自転車に乗って追い掛けてみる。
不意に春の嵐が来て見失うかもしれないけれど、
それでいいとも思っている。
自分の方角に向かって歩いているうち季節は巡り、
必ず自転車に乗る時がまた来る。





〜丘の上〜

追い風と向かい風がいつもぶつかり合う
この丘の上で、
果たして貴方は何色の蝶を追い掛けているのでしょうか。
丘ではいつも工事が行われていて、
部外者の立ち入りを禁じています。
しかし貴方は巧みに軽やかに、
時に欺きの笑みを浮かべて艶やかに、
何者かになりすまして丘の上で蝶を追い掛けるのです。
好きな蝶を。
追い続けるのです。

分厚い雲間から射してくる赤や青の光に照らされ、
蝶はことごとく色を変えて貴方の手から逃れようとします。
真夏の日差しの時は活発に動き回り、
貴方も一心不乱に走り続けます。
真冬の日差しの時は羽根を暖めていて、
貴方はゆっくりと近付いていくのでしょう。
その時は、蝶の色をきっと貴方は見極めている。

次の工事が始まると、
貴方はまた自分以外の何者かになります。
西の原では貴方に連れていかれるのを
待ち焦がれている者が沢山います。
連れていけるのは一人だけ。
雑踏に紛れても必ず誰かが見つけることのできる、
心に光輝を持った一人だけ。
貴方は草原をそっと通り抜け、
丘の上の蝶にウインクをくれてやるほどの自信で
その一人を連れていくこともあるでしょう。
足を棒にして歩きまわることもあるでしょう。
間違った者を選び、
丘の前で途方に暮れてしまったこともあるかもしれません。

でも決して貴方は諦めません。

貴方は選んだ彼女と一つになり、
今日も高い丘の上へと立ち向かいます。
他の侵入者たちと協力し、或いは競い合いながら
蝶を捕まえに掛かります。
工事現場の責任者らが黒い目を輝かせている間を掻い潜り、
貴方は空に向かって跳躍します。
舞い踊る蝶に対してフェイントを掛け、先回りします。
丸い光の中で呼吸を抑えて忍び寄ります。
音を立てて、土を跳ね上げ、
丘から飛び出すぎりぎりまで転がっていきます。

幾度となく蝶は貴方の指と指の間をすり抜けていく。
その度に、この世で最も幸福に匂い立つ鱗粉が、
髪の上、肩の上へと落ちていきます。
長い追走劇の中で、
貴方は何度その手に蝶を収めたのでしょうか。
胸の篭にしまい込んだ蝶は何匹いるのでしょうか。
貴方を内と外から美しくさせるもの。
六月の風に揺れる、緑の葉のような笑顔を形作るもの。
チューリップの鈴音のような声を形作るもの。
昨日、今日、明日と、
貴方は蝶を追い掛けていきます。
雨に降られても、
求める次の蝶に向かって両手を広げて。





〜花〜

目覚める場所はみな違うのに
夏になれば決まってここに来た

生まれも育ちも違うのに
いつもここでは一つになっていた
生き方も考え方も違うのに
五年も続いてきた
みなでお花を育ててきた
砂漠に蒔かれた種の上に
みなで必死に水をまいてきた

日照り続きのこの世界で
みなで水をやった

やがて空から雨が降ってきた
凄い大雨だった
雨が拍手みたいに大地を叩き続けた

夏がくるたび花は増えていった
それは夢や情熱や友情や
光と音の波間に立ち向かえる力
見知らぬ人の胸を貫く力

五年前は砂漠だったけれど
今は見渡す限り花が咲いている
いつまでも枯れない花が
どこまでも咲き続けている





〜遠い女性(ひと)よ〜

この星で僕は見た。
大地を走り抜ける貴方の流れを。
生きてることを思い知らされる、
時に熱く身体を駆け抜ける血潮のような奔流。
恋も愛も自由も夢も
みんな飲み込んで流れる
マグマの女性よ。

この星で僕は聞いた。
夜空で貴方の星が瞬く音を。
聞こえるはずの無い大気の揺らぎを、
心の上に立ち尽くす音叉が感じ取った。
喜びも悲しみも苦しみも
みんな輝かせて昇華させる
一等星の女性よ。

この星で僕は感じた。
谷間を飛び越える貴方の風を。
悪夢のあぎとさえ笑顔で後にする
その跳躍力。
勇気も度胸も愛敬も
みんな抱えて地を蹴る
ユニコーンの女性よ。

愛しい女性よ。
この星で僕は知った。
遠くの人の幸せを願う気持ちを。
美しさも可愛さもはかなさも
みんな引き連れて踊る
愛しい女性よ。
百年経っても
僕は貴方の星の上で生きていたい。





〜鳥みたいに〜

夕暮れ空に帰っていく烏の群れみたいに、
心を自分に帰してやる。
貴方がくれたものは
容易に僕の歴史を書き替え兼ねないもの。
優しさや勇気や恋心や。
放っておけば元の空には帰れなくなる。

銃声に飛び立つ雁の群れみたいに、
心がさんざめく。
貴方がくれたものは
すべからく僕の心を踊らせる。
笑顔や一つ一つの言葉や貴方の素顔や。
とても一ところには落ち着いていられない。

でも貴方の演技を観るたび
心は公園の鳩みたいに一つの輪になる。
そして祈るんです。

海を越える渡り鳥みたいに、
貴方の夢よ冷たい世界を越えろ。
朝露に吠える森の鳥みたいに、
貴方の声よ夜の果てまで届け。
卵を温める親鳥のように、
貴方の情熱よひたすら大切に。
友と連れ立ち空を銀色に染めよ。





〜Painful Sky〜

スイッチを入れるだけで
貴方が残した夢の跡を辿れる。
それが正しいことなのか、
私は時に迷い、立ち止まる。
頭をもたげる本音は
いらぬ思いに抑え付けられ、
夜になって雨が降り出した。

貴方への気持ちを胸に折り込んで
普通顔して街を歩く。
愛って何ですか?
そう聞かれても、
満足な答えを持ち合わせていないくせに
白い月に向かって叫んでいる。

一枚の絵画を色んな角度から眺めるように、
貴方を眺めている。
自由な目と耳と心、
そして貴方を描いたこの時代、
その二つを用意してくれた
運命の美術館に感謝したい。
そしてそこからの帰り道では、
いつも明けの明星を見ることができる。
見上げていると、
決まって切ない思いが込み上げてくる。
額縁の裏に恋心の花びらを挟んでおきたい。
そう画策してしまう。
「わがままで無駄な考えだ」
胸の中で誰かがこっそり指摘する。
自分の中に潜む彼と戦っているうちに
夜は明け、罪人には眩しい青空が
世界に広がる。

いつになったら一人前の男になれるんだろう。
いつになったら胸を張って胸の中の思いを
打ち明けられるんだろう。
いつになったら小心者の我が身を
蹴飛ばせるんだろう。
いつかを待っている自分と腕相撲していると、
夜が来てまた朝が来た。
窓を開けると雪が降り積もっていて、
今も降っている。
これが貴方が降らせている雪。
勝手に思い込んで外へと飛び出す。
そんな自分を愛だと思い込んで
外へと飛び出す。
この切ない空に歯止めを掛けられながら、
どこまでも転がっていく。





〜いつだって〜

外に出て少しばかり歩いてから
雨が降り出す
いつだって君のことを思えば
そんな繰り返しさ
晴れる隙も無く
悔やむ過去ばかり胸に降る

天気予報を呪うのと一緒
我が身の性分に毒突いても
しょうがない
変えられるものなら
最初のあの子に振られる前に
変えてくれ

いついかなる時も
救ってくれるのは
鞄の中で回り続けるCD
言葉と音が鼓膜を滑り落ち
雨を笑い飛ばしてくれる
いつだってそうなんだ
君の笑顔は

雨なんて最初から降ってないって
何で気付けないんだろう
空には雲なんてありゃしないって
何で見えないんだろう
いつだって空は青かった
幼稚な僕みたいに
いつだって空は広かった
どこだって空は深く澄み渡っていた
君の優しさみたいに





〜愛すべき近道〜

崖みたいな急勾配が
学校への近道だった
それは
雨の日は使うか使うまいか
迷うくらいの
きついきつい道だ

登り切って振り返れば
真っ暗な夜の町が広がった
家々の明かりが港まで続き
空に向かえば星となる
「絶対あいつだ」
悪態ついてた僕らは
たちまち沈黙する
それは昼間の空より遥かに広い空で
モデルガンで狙いを付ければ
わざと撃たれて
落ちてくれるくらい
星でいっぱいだったんだ

僕らはよくそこで口を滑らせた
光り輝くボールが崖の下へと転がり落ちて
冷やかしながら皆で追いかけた
ボールの後をてんてん影が走る
噂は影で
影は彼女になって
僕を見上げたこともあった

愛すべき近道
私があなたに抱く想いは
そんななのです

そうそう
冬になって雪が積もると
帰り道
僕らはてっぺんから飛び降りて遊んだ
くたくたになって立ち上がれなくなるまで
笑いながら
でも時には心で泣きながら

そうそう
そんなでもあるんです





〜(無題)〜

喫茶店のテーブルで
別れの話だった
ナポリタンだのバナナパフェだのレモンティーだの
好きなだけ注文して飲んで食って
会計の紙切れ持って立ち去っていくあいつは
ただ腹が減っていただけなのか
それとも
最後にめいっぱい食事がしたかっただけなのか

女々しい期待にすがりながら
電話一つ掛けられないまま
夏が来る

情熱を大砲に詰め込んで空に向かって撃てば
あいつは
あんちくしょうは
曇り空から小雨ぐらい流してくれただろうか

電話不精が
別れの訳だった
「面白くない」だの「そんなこと知ってる」だの
「黙らないで」だの
文句ばっか言ってたくせに
そんなあいつは単に退屈だったのか
それとも
僕の電話を心待ちにしてくれていたのか

そんなことも分からないから
喫茶店の同じテーブルに座ったまま
夏が来る

情熱を大砲に詰め込んで夜空に向かって放てば
あいつは
あんちくしょうは
花火みたいな笑顔を見せてくれただろうか

写真は燃えるゴミの日に出してしまったけれど
大砲に詰まったままの砲弾は
また新たなる季節
来たるべき日に備えて待っています





〜Believe〜

真っ白に張り詰めた空を仰いで
僕はこう呟く
「大丈夫」
心の内でもいいから
とにかく呟けと
僕の中の僕がいつも言うんだ

どんな衝撃に侵されても
どんなショックにやられようとも
「大丈夫」
堅牢堅固に築いた気持ちが
ばらばらに打ち砕かれようとも
「大丈夫」
不安で胸が詰まっても
あなたを想って酒に溺れても
「大丈夫」

日が昇れば
粉々になった心の破片を拾い集めるだけの
気力はいつだってある
そのぐらいの恋心はあるんだ
そのぐらいは好きなんだ

切り過ぎた髪も
染め過ぎた髪も
いずれいつの日か
いじくる前より
うまい具合に見れるようになるじゃない
ばらけた心を拾い集めるうち
偶然だけど
強烈に輝く宝石を見つける時だってあるんだよ

悪いことばかりでもない
あなたの演技が好きだから
あなたが好きだから
僕の中の僕が
いくらでも前を向かせてくれるんだ





〜Gratitude Song〜

大きな借りばかりできていく
頭が下がる思いばかり増えていく
感謝しなきゃいけないことばかり積み重なっていく
ばかりばっかでばかみたいだけれど
激しく心地良い

目には見えない炎に灼かれるようなものだ
あなたの真心に触れるのは
苦しみ辛さを灰にして
私の足腰強くしてくれる
まずはどこに向かって走ろうか
できれば一緒に走ろうか

あらゆる面で感謝して
あらゆる面で強くなれ
強くなれ

恋に破れたって死んじゃう訳じゃない
いくら傷付いたって人間そのものに傷は付かない
負けたって次は負けない
ないない尽くし
しかもその上
希望や味方はありありなのです

雨上がりの太陽に独り照らされるようなものだ
あなたの真心にさらされるのは
雨は乾いても見上げる目は乾かない
私の心を洗って洗って洗ってくれる
まずはどこに向かって走ろうか
できれば一緒に走ろうか

あらゆる面で感謝して
あらゆる面で強くなれ
強くなれ

あらゆる面で感謝して
そのぶん強くなれ





〜誰もが持ってる〜

内臓がくたくたになってベッドに倒れ込む
昨日までは無かったはずの道が
ガラスの仕切りで出来上がっていたんだ
謀略の世界はいつからあったんだろうか
圧倒的な悪意に刺されてビールの缶を額に当てる
仕切りを飛び越すこともできやしない
石を投げて割ることもできない
悪者になりたかないから

北に向かうこともできず
ガラスの仕切りに従うまま
南に向かってしまう
気持ちねじ曲げられ
志すり減り
黒目も乾いていく

朝の海にコールタールが流し込まれ続けている
汚い真似が罷り通り過ぎる
余りにもフリーなこの世界

誰もが持ってる
胸の中のオルゴールが喚いている
繰り返し繰り返し同じメロディを
激しく激しく高鳴らせている

夢は潰えない
探せば花も実もある
「曲がったことは嫌いだ」
横隔膜の下から叫んでみろ
あの人を想う気持ちが誠真っ直ぐなら
夢へのエネルギーも
電線を流れる電流みたいに
どこまでも真っ直ぐ進んでいくだろう

どちらも遠くに在るけれど
届けられる力がある
ガラスを何枚重ねられたって
それは曇らないように出来ている
思い出しなよ
父が教えてくれたことだ
あの人もびびるくらいの果敢な瞳で
北の方角を見つめていればいい

誰もが持ってる
胸の中のオルゴールが喚いている
繰り返し繰り返し同じメロディを
激しく激しく高鳴らせている





〜思いやり〜

インドでモンシロチョウがはばたいただけで
テキサスで竜巻が生まれることだってある
そう思えば何だって叶う

僕らが送る風は
何万キロの雨と霧と雷と雹の彼方を超えて
ケ・セラ・セラと書かれたあの帆に届くだろう

大切なものは
目には見えないものばかり
但し夜が丸ごと空から落ちてきて
自分の手さえ見えないくらい真っ暗闇になった時
ヤワラカな光になって飛び回る姿が見えるはず

鮫がウヨウヨ泳ぐ海のど真ん中
ケ・セラ・セラと書かれたあの帆の下で
いびきをかいて眠るあの人を柔らかに照らすだろう

僕らが送る風は
何万キロの雨と霧と雷と雹の彼方を超えて
ケ・セラ・セラと書かれたあの帆に届くだろう

忘れがちになるものは
常に目には見えないものばかり
但し人生全土の世知辛さが一遍にやって来て
息もできなくなった時
甘く芳しい香りとなって涙を誘う

ケ・セラ・セラと書かれたあの帆の下で
美味しい白身魚を食べようと釣竿垂れている
あの人の夕ごはん
その前菜になるだろう

僕らが送る風は
何万キロの雨と霧と雷と雹の彼方を超えて
ケ・セラ・セラと書かれたあの帆に届くだろう

なかなか実行できないことは
いつも目には見えないものばかり
但しその気になれば

風は起こせます

ケ・セラ・セラと書かれたあの帆の下で
嵐に右往左往するあの人に必要な道具
それをあの人の手元へと
バッチリ転がすことができるだろう

僕らが送る風は
何万キロの雨と霧と雷と雹の彼方を超えて
ケ・セラ・セラと書かれたあの帆に届くだろう





〜営み〜

ずっといつまでもあなたのことが好きです。

これ以上、言えることなんて何も無いよ。
解ってる解ってる。
永遠なるものは存在しない。
淑女のようにたたずむ睡蓮も、
いずれ老いてちぎれていく。
輝くダイヤモンドさえ、
幾星霜たてば欠けていく。

それでも言ってしまうのは、
胸で輝く真っ赤な炎が
あなたに信じさせよと叫ぶから。

お湯に浸したティーパックから
茜色が広がるように、
あなたを思えば
豊潤な味わいが心に広がるよ。

そう!
言うな言うな。
ティーパックは一回こっきり。
一度、使えばゴミ箱行き。

でもね、
僕は何度でも紅茶の箱を買いに行くんです。
あなたが身を削ってあなた自身と戦っている限り、
僕は呑気に紅茶を飲むんです。

この営みだけは永遠に変わらない。
だから
ずっといつまでもあなたのことが好きです。
ずっと手を振り、手を叩き続けるよ。

こんなこと言いたくなるのは、
胸で輝く真っ赤な炎が
あなたに信じさせよと燃え盛るから。

見なよ見なよ。
あなたの睡蓮もダイヤモンドも
いま美しく復活するよ。



※注釈
睡蓮⇒
4月27日の誕生花:清純な心の意味を持つ
ダイヤモンド⇒
4月の誕生石:清浄無垢の意味を持つ





〜くみさん〜
(一章)

あなたのことを想うと
胸がいっぱいになって
涙が出そうになる

そんな恥ずかしい言葉さえ
一瞬あとには
星となって海へと流れていく

それがあなたという人です

筆だけは達者なくせに
いざあなたの前に出ると
語るべき気持ちはかすれてねじれて……
まるで
へたくそなバイオリン

けれど
モーツァルトなんて目じゃないくらい
最高の楽譜は持っていると思う

あなたもそうなのでしょうか?

そうだったらいいのにな

そうしたら後悔は少なめに
私の海へと流れていくよ





〜天国の三丁目〜

夜の彼方に思う
雨にさらされたあの宴の日々を
あなたが歌って踊って生きて
あなたが歌って踊って生きて
息もできないくらいの甘い香りに包まれる
たぶんここが天国の三丁目
逃れられない場所

朝焼けの彼方に思う
花に包まれたあの日の姿を
あなたがくれた言葉と笑顔と思いやり
あなたがくれた言葉と笑顔と思いやり
全ての心の扉が開かれる
たぶんここが天国の三丁目
離れたくない場所

夢の彼方に思う
ここが天国の三丁目
帰りたい場所





〜モナリザ〜

一番じゃないかもしれない
でも誰も彼もが
モナリザを正面から見る訳じゃない
長い闇に悶えることは無いさ
吹き荒れる寒波に首を引っ込めることも無い
僕らも

BIGな奴じゃないかもしれない
でも誰も彼もが
モナリザを前から見る訳じゃない
びくつくことは無いさ
決着つけることも無い
僕らも

誰も彼もが
モナリザの気持ちを知る訳じゃない
楽しんでほしい
謳歌してほしい
確かに僕らの胸には刻まれるから
あの谷間より深く

夢に溺れ
寂しさに暮れたとしても





〜甘美なる荒野〜

汝、蜜を求め何処へと向かう。

ガスバーナーもかくやの日照りと
オイルのような土砂降りが生命を削る
稽古という名の荒野
恐らくもう引き返せないその地点で

今この瞬間も頭の中で苦しみ悶えているのか
甘い香りに焦げる風を求め
本を開いているのか
指も切れそな
渇いた紙の向こうに何が見えるのか

完壁な黄金色に輝く蜜を求め
何者かになり澄ます
何者かになり澄まして荒野を進む
砂も岩も無く
有るのは限り無く広い一枚の板だけ

手足をジタバタさせて声を限りに囁き
声を限りに叫ぶ
ため息と眉間のシワを繰り返しながら
行軍を続ける汝
幾つもの幸せを切り捨て
幾つもの喜びを手に入れながら
完壁な黄金色に輝く蜜を求め

脳をねじり上げ
人を容易く孤独にさせる甘美なる荒野
けれど
決して独りでは誰も行かせやしない荒野
たとえ見つけたとしても
決して独りではその蜜は甘くなく
逃げ出そうとすれば
必ずそれは黄金色たり得ない

ゴールは厳しいが
とても素敵な荒野に
今も昔もそして未来も汝はいる





〜思い出〜

瞼を降ろすと
思い出が始まる
楽し過ぎたこと
悲し過ぎたこと
嬉し過ぎたこと
悔し過ぎたこと
時にフルカラーに
時に灰色に
時に水に溶けているかのように
途切れ途切れに浮かんでは消えていく
全て過ぎ去りし昔のこと

幕が降りると
舞台は終わる
感激させてくれたこと
笑わせてくれたこと
泣かせてくれたこと
「彼女」と同じ気持ちにさせてくれたこと
心の中で「彼女」の味方になり得たこと
「彼女」に抱いた好意
時に熱く
時に甘酸っぱく
時に切なく
あなたの残像は胸に降り積もっていく
しかし全ては終わってしまった昔のことと化す

けれども
瞼を降ろすと
舞台が始まる

何でもいい遠い夏の日
何でもいい遠い春夏秋冬の黄金の日
苦行と決裂と緊張の末に誰かと笑い合い
バスの中で心地良い眠りに着いた時のこと
世界で誰も経験したことが無いとさえ思える
楽しさを味わい
裏山から夜景に向かって吠えた時のこと

あなたが舞台で見せる瞬間瞬間
そう
特に何物にも記録されることが無いだろう瞬間
神様とやらが下りたのかもしれない
素晴らしい一瞬のあなた
向かうところ敵無しの楽しさの
奇跡のような
千秋楽の一瞬のあなた

最早あなたが立った舞台はみな全て
過ぎ去りし黄金の思い出と
同列にあるのです


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