<ポスター>

◎5枚目◎




▼2003/9/15▼

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ドラマCD
「スレイヤーズEX.3
       〜がんばれネクロマンサー〜」
(税込:2,500円で発売中)
久美さんの役⇒ウィニー

 大ヒットアニメ「スレイヤーズ」のドラマCDからです。
 久美さんが演じたのは、「ウィニー」という名の¨ネクロマンサー¨。年の頃は久美さんの演技から察するに、16〜18歳というところでしょうか。
 ネクロマンサーとは、死んだ人間をゾンビなどの化け物にして蘇らせる、特殊な魔導師のこと。と書くと、とても殺伐としていますが……。
 ウィニーは、自分で作ったゾンビたちに襲われているところ(笑)を主人公の「リナ」たちに助けられます。といった具合に、コミカルなお話です。
 久美さんは、線が細いつつも、ほんわかした、とっても可愛い声で演技しています。いかにも泣き虫そうな可愛さ、と言うのでしょうか。
 ウィニーは、もう初っ端から可愛くて面白いです☆
 ゾンビ騒ぎについてリナに問い詰められ、困ってしまって大泣きするところはとっても可愛くて、且つ、めちゃくちゃ愉しい感じ。
 ウィニーの家系は代々、ネクロマンサーをしていて、彼女もまた小さい頃から修行を重ね、ゾンビを作れるようになったのですが……。
 リナたちにそう自己紹介するウィニーは、頼り無さそうでいて、なかなかしっかり喋っていて、聞いていて、とっても気持ち良い具合です。
 説明的な台詞なのですが、久美さんは少しも退屈させずに、彼女のほんわかした人柄、ネクロマンサーになることに意気を上げている気持ちなどを感じさせながら、非常に引き込まれる、面白くて魅力的な演技をしています。「ところが!」という下りからの、ちょっと芝居掛かった辺りは、非常に久美さんらしい演技でしょう。
 上手にゾンビを作れるようになった彼女ですが、ここにきてゾンビやスケルトンが苦手であると知ってしまったウィニー。そう話して大泣きするところは、本当に面白くて可愛いです。コミカルな雰囲気で泣く芝居、涙声で喋る芝居は、久美さんらしくて非常に可笑しいポイントです。
 また、ネクロマンサーなんてやめたら、と言うリナに対し、「ゾンビやスケルトン、グールに囲まれて暮らすって〜女の子の夢みたいなトコあるじゃないですか〜」と、うっとりと話す場面は最高に可愛くて、面白みに溢れています。
 そこからまた泣きに入る芝居も含め、この辺りの底抜けな感じの芝居は、久美さんならではのものだと思います。荒唐無稽なこと、変なことを、さも当たり前に、しかも面白みたっぷりに聞かせられるのは、久美さんの大きな個性であり、持ち味です。
 さて、彼女のアンデッド恐怖症を、報酬をもらう代わりに治してあげることになったリナたち。が、突然、現れた盗賊たちにウィニーはさらわれてしまいます。
 何度か悲鳴をあげる彼女ですが、盗賊たちに邪な気持ちを起こさせるほどに、確かにこれはそそられるものがあります(笑)。一番最初の悲鳴だけ、やたら迫力があってどきっとさせられますが、緊張感もある程度、必要ですし、また場面の変化にも一役、買ってると思います。
 終盤、自分で呼び出した大量のゾンビに囲まれてしまうウィニーなのですが、パニックになって悲鳴を上げている彼女、半ベソかいている彼女も聞き所。余りにも愉快過ぎです☆ 久美さんの芸達者ぶりを感じます。
 リナに叱咤され、自分の夢を思い起こしつつ、自分でゾンビを何とかしようとするウィニー。涙声になりつつも真摯に独り呟く(でも言っていることは変です・笑)ウィニーですが、コミカルなドラマの中で、熱の入った真剣な台詞を何ら浮くことなく言ってのけるところは、やはり微妙なバランス感覚に優れた久美さんです。
 はたして、ウィニーはアンデッド恐怖症を克服できるのか……?
 久美さんの個性、持ち味をたっぷり感じられる一枚です。ぜひお手に取ってみて下さい。
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▼2003/9/22▼

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ヴォーカルCD
「ツインビーPARADISE2
        〜熱唱!激唱!爆唱!編〜」
(税込:3,000円で発売中)
久美さんの役⇒ウィンビー

 <ポスター>のコーナーとしては初となる、久美さんの歌の紹介です。
 昔から歌は苦手な久美さんですが、ここ数年、「サクラ」で沢山の歌をレコーディングし、歌謡ショウでは何度となく生で歌ってきました。
 そして今では……
 やっぱり歌が苦手な久美さん(笑)。
 でも、歌声の伸びや安定感、感情(情景)の込め方は以前と比べると随分、アップしましたし、今現在も進歩し続けています。
 色々な作品でキャラクターソングを歌ってきた久美さんですが、その中から「ツイパラ2」のヴォーカルアルバムを紹介します。
 久美さんが担当したのは二曲。
 まずオープニングの「We are the Donburi」。これは「ツイパラ」のメインキャスト全員で歌っている曲です。いかにもメインテーマという感じの、壮大なバラードです。
 久美さんのソロ・パートは、『捨てないで〜その夢〜君だけのモノじゃない〜♪』。
 静かに、思いを込めて歌っています。声は、「ウィンビー」が大人しく丁寧に歌い上げているといった感じで、曲の雰囲気にぴったり合っています。歌詞が耳を通してしっかり胸に染み込んでくるのが、とても良いポイントです。
 そしてもう一曲は、5トラック目の「ザ・ビギン〜冒険のはじまり〜」。これは「グインビー」役の伊藤美紀さんとのデュエットです。
 ミドルテンポで、ポップな感じの愉しい曲です。
 クレジットは「ウィンビー&グィンビー」なのですが、ご本人が普通にそのまま歌っている感じで、ウィンビーと言うより久美さん。
 でも!
 これがまた物凄く素敵なのです☆ かえってこちらの方が良い感じ。
 ただ歌詞が、街で女の子二人が男の子を引っ掛けようとしているもの、所謂¨逆ナン¨で、ウィンビーとグィンビーがもし、普通の人間の女の子だったら? というシチュエーションみたいですね。
 キャラクターの声でそのまま歌を歌える久美さんは、そのキャラクターの個性を輝くほどに発揮して、面白みたっぷりに聴かせることができます。これは久美さんの歌の長所だと思いますし、「サクラ」のメンバーの選考基準みたいなものにも入っていますが、この歌では、久美さんの鮮やかな歌声を堪能することができます。
 特にソロ・パート。カラオケで歌うことは殆ど無い久美さんだそうですが、もしカラオケで歌っていたら、こんな感じなんだろうな☆ と思える雰囲気の歌声です。
 何度、聴いても、聴き入って痺れてしまう、良い声です。鮮やかにして色気があり、繊細にして伸びのある歌声なのです。
 久美さんの声は倍音が強い方で、時折、セクシーに歌声が胸に響きます。ソロ・パートのAメロ、『たんぽぽターウンの〜♪』という下りからの落ち着いた歌いだしの部分など、それが顕著だと思います。
 一方、盛り上げるように歌い上げていくBメロ、『OLの溜ーまり場〜♪』などは、大人の女性の魅力が華やかに花開く感じで、素敵な歌い回しです。
 また、歌詞を感じつつ聴くと、目一杯、お洒落した、キュートな女の子の姿が思い浮かぶ、そんな歌い方もしています。
 間奏では、そんな二人の、街での会話も挿入されています。そんじゃそこらの男の子では満足しない、大物狙いの久美さんです(笑)。それは冗談として、ウィンビーの、ちょっとお高いところが出ている、楽しい芝居を聞かせてくれます。
 二人、揃って歌うサビも、息ぴったりで、久美さんの涼やかでぐいぐいと伸びていく歌声と、伊藤美紀さんの穏やかな歌声とで、胸にきゅんとくるハーモニーを奏でています。
 「ツイパラ」の他のアルバムでは、久美さんが演じるキャラクター、特に「アップル先生」では「アップル先生」そのままの歌を聴くことができますが、殆ど素の久美さんといった感じの曲はこれ一曲のみ。貴重な楽曲ですので、是非、一度、聴いてみて下さい。
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▼2003/9/29▼

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バック グランド メッセージ
        〜そんなすべてのあなたに〜
 vol.13「けだるいこの世への憤り」
(税込:2,500円。最近はちょっと入手困難?)
久美さんの役⇒架空の女性&久美さんご本人

 「バック グランド メッセージ」。これはCDです。全部で16枚、出ていて、それぞれテーマに沿って、数人の声優さんたちの、朗読やフリートークなどを収録したものです。
 久美さんがご出演されているのは二枚。収録は同じ時だったようで、服装や髪型は一緒ですが、別な角度からの、久美さんの可愛くて麗しいお写真も見ることができます。
 さて、今回その中からご紹介するのはvol.13。副題は「けだるいこの世への憤り」。まず5トラック目にフリートークが収録されています。
 副題となっているテーマの通り、腹が立ったことについてお話しているのですが、久美さんは頭にきたタクシーの運転手についてお喋りしています。
 このタクシーでの嫌な出来事については、フリートークと言うよりキャラクターを作ってと言うか、芝居を入れて、かなり熱っぽく喋っている久美さんです。
 鼻に掛かった、愚痴丸出しの声や、ねっとりとした、俗っぽい女性の声で、態度が最悪だったタクシーの運転手についてお話しています。
 私たちが大体、目にする、耳で聞く、素の久美さんとは少し違います。が、人前ではない時、親しい人たちの前、私たちが知らないところでは、これに近い感じで、こうして怒る時もある(?)喋り方でしょうか。久美さんの素顔の素顔を垣間見ることができる、貴重なお喋りなのです。
 すご〜く愚痴っぽく喋りつつ、巧みに声色を使い分けながら、退屈させないようお話しているところはさすがです。タクシーの運転手の口調を真似したり、それに対する自分の作った感じの声など、愉しく演出しつつ、聞いているこちらに問い掛けるようにお話してくれています。
 本当に芸達者な久美さんです。お話の締めで、「ざぁけんじゃねえ〜!」(エコー付き)と叫んでいるところはかなり笑えます。
 お喋りの仕方自体、とっても面白いものですが、同時に久美さんの人柄が窺えるところも興味深いです。非常に態度が悪い(個人的に、同じ客商売をしている身としては許せませんが)タクシーの運転手を前に、腹を立てながらも自分が謝ってしまうところ、我慢しちゃうところ、自分を作って丁寧に話してしまうところは、久美さんらしいと言えるのではないでしょうか。
 話し終わると、いつもの久美さんな感じで、このエピソードについてコメントします。「これって生まれてから一番、頭にきたことじゃないんですよね」、と話し、時間が経つと怒りって薄れていくものだと語ります。その中で、頭にきた過去の出来事をちょっと列挙するのですが、「彼氏に浮気された時とかさ〜」なんてのも。ちょっとドキッとしてしまう、ちょっと切なくなる(?)一言です。
 そして12トラック目。
 これには、やはりテーマに沿った朗読が収録されています。
 タイトルは「恋愛至上主義」。
 ある一人の女性が、最近のドラマが女の自立を描いていること、恋愛に突っ走る女は流行らない現在について愚痴をこぼしつつ、最近の不況のせいで女性が自立したがるのも仕方無いと嘆きます。しかし実は、自分自身がちょっと前までそうであり、そのせいで恋人と別れてしまった彼女……。
 全部で4分45秒。これは久美さんの大熱演です!
 30代の独身女性を演じていて、大人の女性の素敵な素敵な声で熱く語っています。因みに、30代・独身女性というのは、最後に自分で言っているのですが、年齢と、独り身である雰囲気をしっかり感じさせる芝居をしているのは、言わずもがなです。
 前半、最近のドラマの傾向に文句を付けるところから、不況のせいで女の自立をテーマに取り上げるのも仕方無いと語るところまでは、一つ一つの台詞の内容、言葉の持つ意味がそのまま声と化したかのような、言い回し、口振りがこれでもかとばかりに炸裂していて、圧倒されます。台詞の抑揚、スピード、声音が三位一体となって、彼女の憤りを強烈に表現しています。
 「恋愛だけじゃ嫌!」「そんなのばっかじゃ〜ん」「結婚したいだけの女は馬鹿にされて」「相思相愛、ちゃんちゃんっ♪」など、列挙すると切りがありませんが、物凄く聞き応えのある久美さんの芝居です。特に、ドラマの中の女性の思いをシリアスな声真似しつつ、「あーじゃないこーじゃないと色々こんがらがって!」と思い詰めるように言葉を切るところや、「悩める女は自立したい自立したいと叫ぶしかないんだけどー!」の台詞に登り詰めるまで、声音と抑揚、緩急、付けながら現実をまくし立てていく様は圧巻です。
 そして中盤は最大の聞き所。「敢えて言いたい!」と恋愛観を声高に語ります。恋愛と自立を秤に掛けるな、と怒り、「恋愛するなら全てを捨てる覚悟で臨め! そして好きになったらぐだぐだ悩むな、猪突猛進〜! 恋に盲目になって何が悪い!」と叫びます。胸にぐっとくる、凄い説得力溢れる、力強い台詞です。思わず拳を握り締めたくなる、気持ちの良い言葉です。本当、その通りだと思います。
 そうして、「人を想う気持ち、人に想われる温かさは、二人で作り上げていく時間の確かさは、何よりも代え難いものじゃなあいー?」と半ば涙声になって熱く語ります。
 「恋愛は誰かにすがることじゃない、不安から逃れることじゃない……。勿論、計算してすることじゃない……! 丸ごと、相手を受け入れることなの……。好きな気持ちを信じることなのよ……!」
 胸がきゅんとなる、一番、良い台詞だと思います。彼女の考えが、胸にびんびんと伝わってくる、とても良い演技です。特に、「丸ごと、相手を受け入れることなの……」と切なげに言うところは、とてつもなく素敵です。本当に共感する言葉です。
 「最近ね、そう思う……」
 切なく呟く彼女。ここは、同時に自分自身のことを思い返していることが伝わってくる、傑出の良い演技だと思います。
 そうして後半は、彼女自身の話へと移ります。仕事のことで格好付けて、恋人と別れ、彼のことが何よりも大切だったと気付いた彼女は、とても、後悔しているのでした。静かに、切々と言葉を紡ぐ彼女。仕事や自立はまたチャンスが回ってくるけれども、「恋愛はいつも今しかない。逃しちゃいけない。大切にしなくちゃいけない、大切に……!」。そう呟く、久美さんの演技がとてもリアルです。久美さんに教えられたような気にさえなります。
 と、私自身も熱く書いてしまいましたが、このお話は脚本自体、とても良いと思いますし、何より久美さんにお誂え向きだったと思います。
 何と言っても、ドラマ大好き、恋大好きな久美さんですから。予め久美さんの希望など聞いたりしたのでしょうか、本当に久美さんにぴったりの内容なのです。
 またこれは偶然かもしれませんが、後に久美さんがプロデュースし、主演することになる芝居、「やっぱりあなたが一番いいわ」にとても通じるものがあります。
 久美さんが演じた『麗歌ありな』は一見、とても可愛らしいけれど、わがままで裏表の激しい自己中心的な女性。でも自分では、少女漫画を描くことしか能が無いと分かっている、そして自分の仕事に対して弱虫な女性でもあります。
 ある時やって来た編集者に一目惚れし、彼と身体を重ねる行為を幸せ顔で悦びながら(実際には、原稿のために彼女と寝ている彼)、恋に溺れていきますが、漫画家である自分は自分そのものが愛されたいと望み、彼の希望で家庭に入ることになったとしても、自分と漫画を切り放すことはできないと思うのでした。そして彼女は彼に、誰よりも自分の原稿を欲しがってほしいと、ライバルの漫画家(女性)宅へと乗り込んでいくのですが……。
 といった感じで、恋と仕事が大きなテーマとなっています。このお芝居の本(脚本)を最終的に選んだのは久美さんで、「恋も仕事も負けられない」というチラシのコピーも久美さん自らが考えたのですが(劇団21世紀FOXさんの会報や久美さんのお話より)、¨恋愛と仕事¨というテーマは、久美さんを熱くさせるものがあるような気がします。このCDの大熱演を改めて聞くと、そう思わずにはいられません。
 久美さんの大人の女性の声を、たっぷり堪能できる作品でもありますので、自信を持ってお勧めします。
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▼2003/10/13▼

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バック グランド メッセージ
        〜そんなすべてのあなたに〜
 vol.15「寂しさと空しさのひとり芝居」
        +「X'mas special message」
(税込:2,500円。最近はちょっと入手困難?)
久美さんの役⇒架空の女性&久美さんご本人

 「バック グランド メッセージ」。続きましてご紹介するのは、vol.15です。副題は「寂しさと空しさのひとり芝居」ということで、独り言がテーマになっています。
 久美さんはvol.13同様、お芝居(朗読)とフリートークを一つずつ担当しています。
 お芝居(朗読)の方は10トラック目、「ううん」というタイトル。
 聞いていて恥ずかしくなるくらい、甘〜いお話です☆
 とある女の子が彼氏と、どちらかの家で過ごしているのでしょう、くつろいでいる雰囲気。旅行ガイドを広げながら彼女は、彼にあることを思い出してもらおうと、聞こえよがしに独り、喋り続るのですが……。
 独り言以外の部分での久美さんの演技、加えて話の内容(設定)なども合わせて考えると、歳の頃は20歳前後というところでしょう。声が幼く聞こえることもありますが、それは、彼氏の前、大好きな人と一緒だから☆
 久美さんは、かなり可愛い演技をしています。もう、最初の台詞から胸がきゅんとなってしまいます。「あ〜あ、何か忘れてること無いかなあ」。つんとした顔でそう言う久美さんの顔が浮かびます。
 と、そこで彼氏が気付いたのでしょう、「え? あはっ、聞こえてたあ? ううん、独り言」と、明るい声で応える彼女。
 と言った具合に、彼女が独りで喋り、顔を向ける彼氏には独り言だと言い張る、その繰り返しで話は進んでいきます。
 彼に何とか思い出してもらおうと、聞こえよがしに「来週の土曜日なんだけどなあ」などと言ったりするのですが、旅行ガイドを見せても無関心な彼に、段々、寂しい気持ちになっていく彼女。遂には、こちらの言葉すら聞いていない彼氏に、すねて、べそまで掻いてしまいます。
 この芝居で、最も特筆したいのは、久美さんの表情が浮かぶということです。皆さんそれぞれ、ぱっと思い浮かぶ久美さんの顔があると思います。このCDの場合、私は今ですと「やっぱりあなたが一番いいわ」の久美さんが思い浮かびますが、その久美さんが、つんと顎を上げて喋ったり、頬を膨らませてみたり、さみしそうに伏し目がちになったり、話を聞いていない彼に呆然となったり、すねた顔になったり、べそを掻いたような顔になったりと、台詞一つ一つと共に久美さんの表情が浮かぶんです。
 久美さんが口に出す台詞から、言葉から、彼女の気持ちが溢れんばかりに伝わってくる。また、一つの架空の世界の中で、久美さんが物凄くリアルな演技をしている。そういった理由から、聞いていて、くるくる変わる久美さんの表情が自然と浮かぶのだと思います。
 そして、抜群に可愛いです☆ 全く覚えていない様子の彼に「失礼しちゃう」と漏らしたり、「にぶちん!」と言い捨てたり、要所要所で出る言葉も勿論、そうですが、台詞の抑揚加減がとてもとても可愛くて、胸をくすぐられます。声の上がり下がり、伸び具合が多彩で飽きさせず、たまらなく素敵なのです。
 小さな箇所、「うーん」と頷いたり、「だからぁ」と台詞を切り出すところなど、演技をする上で当たり前のように出てくる言葉は、可愛いと同時に、バリエーションの豊富さも感じることができます。「うん」と頷くだけでも、一つとして同じ芝居はありません。
 久美さんの引き出しは多いです。懐が深いです。場を与えてくれれば、久美さんはいくらでも、面白みのある芝居、そして、血の通ったリアルな人間の演技を聞かせてくれるのです。
 一年前のあの日の約束……。  彼女が思い出してほしい、あること。それは一年前、二人で一緒に行った温泉で交わした約束でした。来年の同じ日、また二人で一緒に来よう、と。
 「二人の思い出の場所だから。二人の思い出の日だからって……。絶対に、絶対に忘れないって言ったのにな……」
 切ない声でそうこぼす、久美さんの芝居に、思わず胸が詰まります。この芝居で、最もぐっとくるところです。二人の思い出の場所……それは二人が初めて結ばれたところなのでしょう。独り言と言い張って、子供っぽい真似をしていた彼女ですが、ここでは、殊更、強く¨女¨を感じます。
 そしてこの後、「大きな声で言っても、これはあたしの独り言なのぉ! んもう、知らないっ!」と大声で怒るところは、また子供みたいにすねてしまう、最高に可愛いところ。男心を突く、たまらなく可愛い演技です。
 最後の最後まで、久美さんは男心を突いてきます。結局、彼氏は約束のことをちゃんと覚えていて、わざと知らない振りをしていたのですが、それに対し、彼女が呟く一言。
 「意地悪なんだから」
 彼氏に宿泊クーポンを見せられ、驚き、嬉し泣きした声ではしゃぎ、喜ぶ芝居もそうです。この短いドラマの中で久美さんは、一人の女性をリアルに、沢山の魅力を持った人物に仕立てています。
 限り無く本物に近いからこそ。
 胸がきゅんとなったり、男心をくすぐるものがあるのだと思います。
 さてフリートークの方は、「いぬ」というタイトルで、13トラック目に収められています。フリートークと言うと大袈裟な気もしますが、久美さんが愛犬のペロちゃん、キャンディちゃんとの間に起こったエピソードを再現しています。
 お家に帰ってきた久美さんの姿を見て、大喜びで駆け寄っていく二匹。夢中で飛び付いてきたり、なめてきたりするペロちゃんとキャンディちゃんに、久美さんもとっても嬉しそう☆
 キスまでしてあげる久美さんなのですが、実はキャンディちゃんは……。
 オチは内緒にしておきますが、久美さんがいかにペロちゃん、キャンディちゃんを可愛がり、また愛されているかが分かるお話で、とっても幸せな気持ちになります☆
 ああ、私も犬になりたいものです(笑)。
 それはさておき、再現ドラマが終わった後、「これは実話です」と言って、へへっ、と笑う久美さんが何とも素敵です。
 最後に、このCDにはおまけみたいな形で8インチのCDが一緒に付いています。それが、「X'mas special message」。クリスマスに因んだドラマ(朗読)を声優さんたちが一人ずつ演じていて、久美さんは2トラック目に登場します。タイトルは「おはよう」。
 12月25日、クリスマスの朝、彼氏を起こそうとする女の子を演じています。身体の色々な箇所にキスしていきながら、彼氏にじゃれる女の子です。
 久美さんは、とっても可愛らしく演じています。ベッドの上で甘い時間を楽しむ彼女の様子が生々しく伝わってきて、シチュエーションのエッチさと相俟ってドキドキしてしまいます☆
 「12月25日、午前7時34分……。おはよーございます」と、ビデオカメラに向かって話すみたいに小声で喋ってみたり、「ここから徐々に上にいきま〜す」と、ワクワクしている声で言いつつ、キスしてみたりと、面白みたっぷりに演じています。
 「猫のようにその手にまとわりついてみる」と、自分の行動を説明する台詞も、変にナレーションみたくなっておらず、彼女の心の中の呟きそのままで、彼女の大人の女性の部分も感じられ、非常に良いあんばいです。また、それとは対称的な、「くすぐり攻撃だー!」と子供みたいにじゃれる演技と併せると、やはり久美さんの懐の広さ、深さ、バランス感覚に感嘆せずにはいられません。
 なかなか入手が困難となってきているCDですが、vol.13と共に、是非とも聞いてほしい久美さんの芝居です。
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▼2003/10/20▼

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SSゲーム
「LUNAR2 〜エターナルブルー〜」
(主に中古店などで発売中)
久美さんの役⇒ルビィ

 セガサターンより「ルナ2」。一本道のストーリーの、オーソドックスなタイプのRPGです。昔の「ファイナルファンタジー」シリーズっぽいシステムだと思います。
 ¨女神アルテナ¨、¨ドラゴンマスター¨、¨魔法都市¨といった言葉が駆け巡る、正当派ファンタジーです。しかし、とっつきにくい印象はまるで無く、キャラクターたちが非常に魅力的なので、すんなりと世界に入っていくことができます。
 そう、物語の冒頭、それを最初にやってくれるのが久美さんの声なのです。
 世界の不思議や伝説に深く興味を持っている、主人公の青年・ヒイロ。今日も、とある遺跡に入り込んで探検です。ロープで宙吊りになりながら、宝石を掘り起こすヒイロ。逆さになった彼の視界に映るのは、カンテラをくわえながら喋る、羽根の生えたピンク色の猫……?
 「気を付けてよね、ヒイロ。傷なんか付けちゃダメだよぉ」
 カンテラの取っ手をくわえた状態での、もごもごした感じを上手に表現しながら、つんとした調子で、キュートなトーンで喋るその声こそ、久美さん。
 久美さん演じる、「ルビィ」です。
 と、何かのタイムリミットか、
 「ヒイロ! そろそろ始まる頃だよぉ」
 ちょっと慌てた様子で声を掛けます。
 それを聞いて慌てたヒイロは、誤って炎が燃え盛る床に近付いてしまい、危うく火傷しそうになっちゃいます。
 「もうっ! 気を抜いちゃ駄目じゃない! ヒイロってば、す〜ぐ調子に乗るんだからぁ!」
 ヒイロを叱り付けます。いつものことなのか、呆れた調子も混じっています。
 幼さも残る可愛い声、けれど元気で明るく、快活な声です。
 そして遂にヒイロは、お目当ての宝石を手に入れます。
 「やったぁ!」
 きらめくようなトーンで喜びの声を上げます。彼女と一緒なら喜びも倍になる、そう思えるほどの、久美さんの素敵な台詞回しです。
 ところが直後、激しい地響きが。
 「あれ」
 と、すっとぼけた声を出すルビィ。これは久美さんにしか出せない、独特のトーンの一声でしょう。
 ロープが切れて、ヒイロは奈落の底へと真っ逆さま。
 「わあぁっ! ヒイロ〜!」
 激しく驚いて、ルビィは悲鳴を上げます。但し、オープニングのワクワクした雰囲気、場に合ったコミカルさを残した演技をしています。
 落ちたのは、どこかの階層。
 気絶してしまったヒイロに、ルビィは半べそを掻きながら、
 「ふえぇん、ヒイロぉ! 死んじゃやだあ〜!」
 それまでの生意気の調子は消えて、泣き叫ぶルビィ。前述したように場に合わせ、シリアスな演技ではありません。とっても可愛いあんばいです。
 そうして、ヒイロが無事だと分かると、
 「はあぁ、良かった〜」  と、ほっとします。ルビィの、ヒイロのことが好きな度合いがたっぷりと伝わってくる、久美さんの一連の好演技です。
 矢庭、思い切り怒鳴り付けます。
 「もうっ! ヒイロったらぁ、いっつも最後に失敗すんだからぁ!」  さも、ヒイロの頭にガンガン響いていそうな調子です。何とも久美さんらしい、愉しい怒り方です。
 「大体、いつもあたしが……」
 しかしここで、ヒイロが異様な気配を察知し、ルビィのお説教を遮ります。
 「へ」
 と、久美さん独特の、とぼけた一声。
 別の部屋から、モンスターたちがぞろぞろと現れます。
 「わああっ!」
 てっ腹から声を出す、久美さんの大声です。
 逃げ出すヒイロとルビィ。
 「ヒイロっ! ヒイロったら、早く早くぅ!」
 必死に声を上げながら、逃げ惑います。
 逃げるうち、やがてどこかから、またしても落下していくヒイロ。そしてブラックアウト……。
 「ヒイロの、バカ〜!」
 と、力の限り叫ぶルビィ(笑)。
 なんて具合に、物語は始まります。
 主人公とルビィの愉しい掛け合い、初っ端から溢れんばかりの魅力を発揮する久美さんの面白みある演技に、「ルナ2」の世界に一気に引き込まれていきます。
 久美さん演じるルビィは、赤竜の子供だと言い張る奇妙な生き物。明るく元気でおしゃまで、ちょっと生意気ですが、ヒイロのことがとっても大好きです。ヒイロの世話を焼きつつも、ヒイロのことを頼りにしていて、いつもべったり。非常にヤキモチ妬きで、ヒイロの恋人気取りです。
 見た目が猫で、魚も大好きなルビィなのですが、猫扱いされると怒ります。火まで吐いちゃうことも(笑)。そんなルビィですが、中身は普通の女の子。綺麗なもの、ロマンチックなものにうっとりしたり、お洒落や恋愛にも興味津々。人間の女の子と変わらないのです。
 そんなルビィの声は、残念ながらフルボイスではないのですが、ちゃんと要所要所では、久美さんの演技を堪能することができます。
 怒る時はもうガンガン突っ走るような調子、脅えたり恐がったりするところでは久美さん独特の面白みある演技、普通の女の子らしく、きゃぴきゃぴとした感じで喋る声も聞くことができます。
 そして、ヤキモチ妬きでヒイロに懐いている様子が、演技全体を凄く良い感じに可愛く仕上げています。また、見た目が猫ということで、おしゃまで、つんとした辺りの役作りが、猫らしさも感じられる声だと思うのですが、いかがでしょうか。
 久美さんの声が入っている部分で特筆したい場面は、ヒイロが温泉で疲れを癒すところでしょうか。女神アルテナに会う使命を持ったヒロイン・ルーシアが、人間の習慣や常識を知らないが為に男湯に入ってきて、思わずヒイロは見とれてしまいます。「見ちゃダメ〜!」とルビィが間に割って入るのですが、ここの久美さんの芝居は傑出して良いです。
 「ヒイロ! 見ちゃ駄目ったら見ちゃ駄目〜!」
 ヒイロが大好きなルビィとしては、彼がルーシアの裸に見とれるのは許せないし、ヤキモチを妬いてしまいます。ヒイロのことが好きな、泣きそうなほどの思いが溢れている、そんな可愛さが感じられる久美さんの演技が凄く良いです。
 さて、ゲームの大部分で久美さんの声は入っていない訳なのですが、不思議と一つ一つのルビィの台詞から久美さんの声が頭に浮かびます。久美さんの演技が鮮やかに頭に浮かぶんです。だから、ルビィのことがますます好きになるし、上述したルビィの個性がとても愛おしく思えてきます。
 これは久美さんが、担当した台詞の一つ一つで、ルビィというキャラクターを生き生きと色濃く表現し、ルビィの気持ちをしっかり込めているからこそでしょう。だから、実際に久美さんの声が聞こえてこなくても、ルビィの声が聞こえてくる。
 他の声優さん、他のキャラクターと比べて、これは特に顕著な点だと思います。
 ルビィの最大の見せ場はゲームの後半。
 世界を救うため、女神アルテナを復活させるため、ルビィは大人の赤竜になることを迫られます。
 ルビィは今まで逃げていました。竜は永遠の生命を持っている存在です。自分が本物の竜であるということは、ヒイロたちだけが年老い、別れが来るということだから。独りぼっちになってしまうということだから……。
 「今」を無くすのが怖いと言うルビィの姿に、同じ気持ちになったのは果たして私だけでしょうか。
 きっと、久美さんが表現したルビィとの冒険が本当に楽しかったから、同じ寂しさを覚えたのでしょう。
 苦しむルビィに、ヒイロが言ってあげます。
 「今」を生きれば思い出になる。寂しさも思い出で埋められれば怖くない。小さい頃から自分と、みんなと「今」を生きてきたルビィにはいっぱい思い出がある。ルビィが覚えていてくれる限り、ルビィは独りぼっちではない。
 切なくも、素敵なドラマだと思います。
 そんな言葉を受けて、ルビィは大人の竜になりたいと願います。
 「あたし大人になりたい、大人の竜になりたい!」
 決意を込めて、一生懸命、想いを吐露して願う、ここでの久美さんの演技は素晴らしいです。胸に深く深く染み込んできます。ルビィが本物の竜、大人の竜になるみたいに、ゲームをしている自分自身も変わるかのようです。何が変わったのかは分からないけれども、少なくとも寂しさは断ち切られたし、心を動かされたことだけは確かです。
 長い長いゲームですが、プレイして100%、損はありません。それだけの価値がある久美さんの芝居です。
 また、ゲームとしては一本道のストーリーですが、能力が多種多様に変わる装備品のチョイスを考える楽しさ、ゲームクリア後も続く物語など、なかなか奥の深いRPGでもあります。
 セガサターンを掃除して(笑)、ぜひ、プレイしてみて下さい。
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