<ポスター>

◎2枚目◎




▼2002/12/9▼

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劇場版「サクラ大戦 活動写真」
(DVDは予約限定販売のみ、ビデオレンタル中)
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サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜
(絶賛発売中)
久美さんの役⇒アイリス

 現在のところ、久美さんにとって最大の代表作と言える、「サクラ大戦」のアイリス。
 歌謡ショウでの久美さんのアイリスは、レポートなどで語ってきましたが、ここではアニメの、ゲームのアイリスについて筆を割いてみます。
 時系列としては、「サクラ大戦3」の後に、「サクラ大戦 活動写真」があり、その後に、「サクラ大戦4」があります。
 歌謡ショウでは、幸せの中にいる明るいアイリスを観ることができますが、この二つではデリケートなアイリス(例えば『新編 八犬伝』で観られたような)、成長したアイリスを感じることができます。
 「サクラ大戦 活動写真」でのアイリスの見せ場、肝はやはりこの3つであると思います。
 まず、レニを心配するアイリスの姿。
 これは久美さん自身も見所とおっしゃっていますが、壊れそうなくらい優しい、ナイーブなアイリスを、久美さんは演じています。
 ラチェットを前にして曇った表情を見せるレニに、アイリスは心配そうな表情を浮かべていますが、ここではまだ久美さんの台詞は入っていません。が、駆け出すレニに対し、「レニ!」と声を上げるところは、それだけで、他のメンバーに対する気持ちとは一味違う、特別な思いを抱いているアイリスの心情が伝わってきます。アイリスの温かさ、レニを気遣い、そしていつでも力になってあげようとしている姿勢が伝わってくるのです。ラチェットを見上げ、彼女の異質さに脅え、息を吐くシーンもそうですが、呼気の一つ一つに、感受性豊かなアイリスの心の揺れが表れています。久美さんの秀逸な演技が光ります。
 二つ目は、川べりで、水鳥たちに餌を撒くアイリスでしょう。
 台詞らしい台詞は無く、「それー!」と可愛らしい声で餌を放り投げ、大喜びするアイリス。自然と頬が緩む、とっても微笑ましい姿です。ここまで完全に子供、愛らしい子供を演じる久美さんの芝居には、圧倒されるものがあります。ルックス面での久美さんの可愛さは周知のものですが、この芝居をしている久美さんの姿が容易には思い浮かばないほど、可愛い子供を演じ抜いています。後半、さくらとマリアの台詞に隠れてしまいますが、全てじっくりと聞いてみたいものです。
 最後は勿論、帝都防護陣を発動させるアイリス。久美さんファン、アイリスファンとしては、この大活躍は誇らしい限りです。大切なものを守るため、「行っけ〜!!」と叫ぶアイリスの姿に胸打たれます。
 そして降魔を消滅させた後。上述したものと重なりますが、ヤフキエルを追って飛び出すレニを、誰よりも早く「レニ!」と声を上げ、その後を追ったアイリス。レニを気遣うアイリスの、本当に壊れそうなくらいの、痛々しいほどに優しくてはかない思いが、声に凄く表れています。
 また、レニになついていることは確かですが、花組みんなのことを平等に思いやっているという点が良く分かるのが、操られた織姫に、自分の身も顧みず、「織姫ー!」と絶叫するところです。痛いくらいに、それが胸に伝わってきます。
 それからもう一つ、特筆しておきたいポイント。
 米田が行方不明になり、DS社の内偵に向かったマリアも行方知れず、帝劇も陸軍の支配下に置かれた最悪の状況下。軽率な行動は慎まねばならないというすみれの言葉に、不服の声を上げるアイリスです。
「じゃあ、アイリスはなぁんにもしないでじっとしているのがいいの!?」
 ここは非常にアイリスらしい、久美さんのアイリスらしい、台詞回しであったと思います。
 何を持って、久美さんらしいと表現するかは、文章にして表すには難しいところです。
 が、久美さんは芝居の中で、本音で演じる時があります。その役としての心情に忠実に、というのではなく、久美さん自身としての考えや気持ち、久美さん自身の本音で演じる時もあるのです。
 音響監督の厳しい目の下にある、サクラの作品の中で、ここのアイリスの台詞回しは、それに近いものがあったのではないかと思います。果たしてこれは、久美さんらしさの中に、アイリスが入り込んできているせいかもしれません。
 続いて「サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜」。アイリスの成長した姿を感じられるこの作品ですが、言い替えるなら、分かってもらおうと努力しているアイリスの姿を感じられる、でしょうか。
 その姿にとても心打たれるものがありました。まず冒頭、アイリスが巴里に行きたいとダダをこねたと、米田支配人にからかわれた後。テラスで立ち止まり、大神の手を取って話すとことです。
 か細い声で一生懸命に、ダダをこねてなんかいないと大神に分かってもらおうとする、アイリスの姿がたまらなく可愛かったです。胸がきゅんとなる、久美さんのニクい芝居でした。
「アイリスね……、お兄ちゃんに会いたかったけど、がまんしたんだもん」
 アイリスの小さな手、可愛らしい指先で心をぎゅっと掴まれた、そんな感じの台詞回しでした。
 全編、通し、いつにも増して可愛くなっていたアイリスですが、これを女の子らしくなったと置き換えれば、しっかり成長していると言えるでしょう。
 何度プレイしても、結局アイリスにかまけ、彼女を選んでしまうのは、冒頭、まずこのシーンで、胸を大きく打たれてしまうからです。
 そして最大の肝は、クライマックスです。
 胸に染み込む素晴らしい台詞のオンパレードです。
「だから……これからは、アイリスがお兄ちゃんを守ってあげるね」
 双武搭乗者を花組の中から選んだ後の、アイリスの台詞。ゲーム中、最初にドキッとさせられた台詞でした。まさかアイリスがこんな台詞を言ってくるなんて、と感激の言葉でした。
「そんなのダメ! お兄ちゃんが死んじゃう!」
 最後の戦闘が終わり、ミカサを帝都に落とそうとする長安。一人、残り、ミカサの進路を変えようとする大神に対して、アイリスが叫ぶこの言葉です。
 涙が出るほど、胸が痛くなる、アイリスの大神(プレイヤーである自分)に対する思いが込められた台詞でした。この後に出るLIPS、どちらの選択肢を選ぶかはプレイヤー次第ですが、ここは正に、久美さんの芝居が心に響いた上での選択でしょう。
「まちがったときはね、ごめんなさいってすればいいんだよ」〜 「そして、みんながやさしくなっていくの」
 ゲーム中、劇中、久美さんの最大の熱演である、長安を説得するアイリスのシーン。その中の台詞の一つです。
 帝都を無に帰そうとする長安を止めようと、一生懸命、話すアイリスの姿には圧倒されるものがありました。例えば同じ事態に自分が直面したとしたら、同じことが果たして言えるだろうか。そんなことを考えさせられたほど、アイリスの成長した姿を感じたシーンでした。
 久美さんの演技に打ちのめされました。これは言い過ぎではないはずです。
 後に、「サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜 最終攻略&設定資料集」という本が出版され、その中で音響監督の佐藤敏夫さんが語っていますが、¨広井さん(大久保長安役)の覚悟に失礼だと思って必死に演じられましたよね¨という言葉には、納得させられたものでした。
 上記に挙げた台詞はそのシーン中、反ぱくする長安に、不意に優しい声音になってアイリスが諭した言葉です。
 鳥肌が立ち、目頭が熱くなった、優しい優しいアイリスの言葉、久美さんの台詞回しでした。
 続く台詞、
「そして、愛を満たしていくから……」
 アイリスが大人になったことを強く感じる言葉であり、久美さんの演技がそれを魅力的に体現した台詞でした。
 違う意味で、ドキッとさせられたのは、この台詞でしょう。
「アイリスね、あのおじちゃんのお願い、きいてあげていいよ」
 思わず赤面したものでした☆
 ¨ときどき大人の部分が顔をのぞかせている感じがしました¨
 と、久美さんもおっしゃっていますが、この二つなどは最たるものでしょう。
 でもお化けに恐がったりする、子供らしい子供の面はしっかりと残っている。大人になった、は、魅力的になった、と言い替えても良いと思います。
 久美さんのアイリスの演技には、以降も心を動かされ続けます。
「みんが愛してくれてるのに、一人ぼっちだって、さびしいって思ってるの」
 「ああ、無情」の本番を前にして、これから演じるコゼットについて理解したことを大神に告げる、アイリスの台詞です。
 コゼットは、大神に会う前の自分自身に似ている。
 それを語るアイリスの言葉、久美さんの芝居の前に、涙腺が緩みっ放しになる、素敵な素敵なシーンです。
「お兄ちゃんがアイリスを元気にしてくれたみたいに、コゼットを元気にしてあげたい」
 どうしたらこんな台詞が久美さんの身体から生まれるのでしょう……。
 ゲーム中、どんどん自分の心がアイリスに惹き付けられていきます。
 ¨それは大人が演じている子供だよ¨
 そう音響監督さんに注意されたことは、今は昔。久美さんの身体の中にアイリスが確かに息付き、久美さんがアイリスを愛しているからこそ、ここまで台詞の一つ一つに心を揺さぶられ続けるのだと思います。
 ¨あまり絵とか身長とかは意識しないでやりました¨
 と、今回のアイリスについて久美さんは述べていますが、台本を見て、自然に成長した台詞が出てくる久美さんは見事です。
「マリユス……愛しているわ。あなたの子どもを産み……、そして……愛しつづけていくわ」
 劇中劇「ああ、無情」の中で、アイリス演じるコゼットが言う台詞。
 はっとさせられます。久美さんのアイリスによる迫真の演技。成長した、大人になった、魅力的になったアイリスだからこそ、こんな素敵な台詞が言えるのでしょう。
 成長したアイリスが演じるコゼット、その芝居。それを自然と出してくる、久美さんは凄いです。来春、発売になるドラマCD「レ・ミゼラブル」が楽しみです。
 そしてこれは飽くまで余談になりますが、久美さんもいつか子どもを産み、お母さんになるのかなと、切ない思いに捕らわれたのでした……。
 エンディング、アイリスを膝の上に乗せての最後の選択肢で、とてもとても照れくさい、思い切った言葉、「……俺のおヨメさんになるかい?」を選ばせたのは、断言しますが、久美さんの芝居によるものです。
 久美さんの演技が、気持ちを素直なままにアイリスに導かせてくれたのです。
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〜ここから毎週月曜日更新で週刊化です〜
▼2003/4/28▼

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ドラマCD
「終わる恋じゃねえだろ」(税込:2,800円)
久美さんの役⇒安原美吹(やすはらみぶき)

 少女漫画(別冊フレンド)が原作の、1991年頃の作品です。主役は久美さん。
 久美さん演じる美吹は15歳。真面目な優等生タイプの女の子です。大人しめの、ちょっとブリっ子が入った感じの可愛い声で演技しています。
 このブリっ子な部分は、物語が進むにつれて、自然にナチュラルになっていきます。台詞を重ねるにつれて、役を自分のものにしているという感じでしょうか。が、この辺はまだ十年以上も前の久美さんの演技だったということで。
 また、このドラマCDでの久美さんは全般的に、明るい演技よりシリアスな演技の方が上手であったと思います。
 物語の合間合間には美吹のモノローグが入り、そこでは物静かで落ち着いたトーンが声に加わります。女の子と大人の女性の境目にある声音です。美吹の微妙に揺れ動く感情が伝わってきて、とってもドキドキしてきます。モノローグは、美吹の内面が見える重要なポイントです。
 善という18歳の少年にナンパされたことが切っ掛けで、「ダイナー」というバーにやって来た美吹。初めての夜遊び、初めて飲んだお酒の味にドキドキしつつ、バーで善に再会します。
 そして二度目に行った時には、憲というお店の用心棒役(従業員)とも出会います。ぶっきらぼうな態度に乱暴な物言い、サーフボードに触ろうとしただけで睨まれ、開店前に店の修理の片付けまでやらされ、初対面の印象は最悪。更には、美吹にからんできた男たちと憲の喧嘩が始まり、顔には切り傷まで作ってしまいます。
 こうして物語は始まります。笑うと父親にどこか似ている善、に、自分の誰にも言えない話を聞いてもらえると感じていた善に、美吹は惹かれていきます……。
 美吹という女の子にはどこか陰があり、善にも、自分と話している時、目は別のことを考えている、などと指摘されたりもするのですが、ただ可愛いだけでなく、憂いも帯びています。
 可愛い女の子、善の前で甘えた声なども出したりする女の子なのだけれど、久美さんが出す声の背後から憂いや陰を感じることができます。更にモノローグでは、久美さんの演技からダイレクトに。
 とても引き込まれる人物を、久美さんは演じています。
 またこの女の子を久美さんは、非常にデリケートに演じています。触れれば壊れてしまいそうな感じ、けれど一生懸命、生きていこうともがいている。そんな感じ。
 物語が進むに連れて、善相手に、父親相手に、美吹が感情を爆発させるシーンもあります。割れんばかりの怒声を叩き付けるのですが、それぞれ、美吹の辛い気持ち、悲しい気持ちが胸に刺さります。
 久美さんは非常に良い演技をしています。
 他の女の子と一緒に歩いていた善(プレイボーイなのです)に向かって、美吹が受話器に叩き付ける怒声、「何であたしに声かけたの! 何であたしと付き合うの!」からは、切なさと怒りと、取り乱した美吹の姿が伝わってきます。
 優しくしてやりたかったと答える善。
 美吹が、誰にも言えなかった自分の悩みを聞いてくれると感じていた、善の優しさは、父親が作っていた偽りの優しさと同じだった……。
 そして後半、その父親に向かって叩き付ける言葉、「残酷だよ! そんなの!」からは、今まで溜め込んできた美吹の苦しみの度合いが感じられます。
 既に愛し合っていないにも関わらず、美吹のため幸せな夫婦を演じ、幸せな家庭の振りを続けてきた両親。そしてそれをずっと知りながら、表には出さずに耐えてきた、美吹の苦しみ。
 これが、美吹の憂いや陰のある部分の原因なのですが、怒りを露にし、涙声になりながら今まで自分が耐えてきたことを話す美吹にはとても胸を打たれるものがあります。
 この事実が分かるのはドラマの後半なのですが、それまでの美吹のモノローグ(伏線でもあります)の演技が見事だったと分かります。苦しみを自分の中に溜め込んでいる様が、モノローグのたびに段々と、息苦しくなるくらい伝わってくるのです。
 後半、美吹は高校生になるのですが、勿論、微妙に成長している様もちゃんと久美さんは表現されています。
 さて、憲のこともちょっと気になる、美吹のもやもやした恋心はどうなっていくのか……。
 それはドラマCDを聴いて、お確かめ下さい。
 デリケートで激しいラブストーリーと、久美さんの繊細な演技をお楽しみ下さい。
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▼2003/5/5▼

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PSゲーム
「テイルコンチェルト」(税抜:5,800円)
久美さんの役⇒フレア・プリス&小猫たち

 3Dポリゴンの、アクション・アドベンチャーゲームです。
 犬の亜人(ディズニーに出てくるような、人間と動物のあいのこ)・「犬ヒト」と、少数の猫の亜人・「猫ヒト」が暮らす、空に浮かぶ多数の島々「空中王国プレーリー」が、物語の舞台になります。
 「天空の城ラピュタ」の世界観を想像してもらえると、分かりやすいでしょう。ラピュタみたいな島が沢山あり、そこに犬の亜人による王国がある、という感じです。また、警官である主人公が扱う、「ポリスロボ」というのも、ラピュタに出てくる巨大なロボットに似ています。蒸気機関を軸にした文明の度合いも、近いものがあると思います。
 さて、久美さん演じる「フレア・プリス」ですが、久美さんの犬好きなとは関係無く(笑)、プリスは猫ヒト。
 街を荒らす「黒猫団」のボス、プリス三姉妹の末っ子になります。そう、主人公である警察官「ワッフル」の敵役なのです。
 でも敵役と呼ぶほど殺伐としたものではありません。黒猫団はワイン倉や鉱山を占拠したりして、犬ヒトたちを困らせますが、子供の悪戯と同程度のこと。それも実際にやっているのは、黒猫団の基本構成員である小猫たちなのですから。
 プリス三姉妹はもっぱら、物語の核である「結晶石」を追い求めるのですが、ワッフルのことが好きな長女「アリシア」は、誘拐した王女様に嫉妬心を燃やしたりと、いまいち悪者という感じではありません(笑)。
 そして、アリシアお姉ちゃんの言うことなら何でも信じているプリスは、お姉ちゃんにくっついて遊び感覚で黒猫団に参加している、という具合です。
 プリスは年の頃、10〜12歳ぐらいでしょうか。久美さんは可愛らしいキュートな声で、無邪気で明るく、元気な演技をしています。可愛い、と言うのにも色々、種類はありますが、キュート、と言うのが一番ぴったりなように思います。
 プリスの見た目や服装は、一見すると腕白で元気いっぱいという雰囲気ですが、意外と女の子らしいです。特に繊細さが感じられます。
 基本的には無邪気で可愛くて、気の強いところもあったりするのですが、弱さや繊細さも感じられる声、演技なのです。不意に優しいトーンが垣間見えたりもします。
 そんなプリスの人物像、久美さんの声の作り方は、彼女の過去を知ると納得がいきます。
 それは、プリスの一番の見せ場。「グリムト」でワッフルがプリス三姉妹の操る巨大猫ロボットを倒した後(ボス戦です)、気球に乗って逃げ出す際、プリスは縄梯子から落ちてしまいます。そして騎士団の隊長「シアン」に捕まってしまうのですが、その後の牢屋の中でのシーンです。
 ここは、プリスの魅力いっぱいの場面でもあります。
 牢屋に入れられ、シアンに黒猫団のアジトを白状するよう言われますが、「ふ〜んだ!」と突っ跳ねます。凄く可愛いところです。が、一人になると、ぐずぐずと泣いてしまいます。しかしその直後、ワッフルが訪ねてくると、「ワッフル!」と、驚きに嬉しさがほんの僅かに入り混じった声を上げ、即座に、「アジトの場所なら教えないよ」と機先を制して強い口調で言います。久美さんの、いじらしい演技に胸がきゅんとなります。この辺のギャップがとても可愛いのです。
 ワッフルはプリスに、アリシアのこと、何故アリシアは犬ヒトを目の仇にしているのかを尋ねます。
 ここでプリスは寂しげに、アリシアから聞かされた話を言って聞かせるのですが、「アリシアはその話を誰から?」というワッフルの問いに、「知らない」と呟くように拒絶する言い回しは秀逸です。
 何か隠している様を、あからさまに匂わせることは無く、微妙なラインで久美さんは表現しています。また、アリシアの後ろ盾的存在である、「フール」という名の武器商人に対する、プリスの不快感も感じられるようです。
 そしてプリスは、静かに自分の生い立ちを話します。
「あのね、あたしたち、本当の姉妹じゃないんだ……」
 それまでプリスの無邪気な面しか見ていないので、どきっ、とさせられます。プリスのキャラクター、プリスの心境をしっかり聞かせてくれる、久美さんの演技が光ります。
 プリスは三年前に事故で両親を亡くし、孤児院で暮らしていたのでした。そこで出会ったのが、アリシアたち姉妹。アリシアは、ずっと泣いてばかりいたプリスを慰め、お姉ちゃんになってあげる、と言ってくれたのでした。
 だから、アリシアお姉ちゃんの言うことは何でも信じている。
 そうした過去、頼れるのはお姉ちゃんだけという境遇が、プリスの声のトーンや演技にしっかり結び付いていると思います。無邪気なのだけれど、繊細で弱い雰囲気がある。辛い過去と頼れる存在の数少なさ。故に、無邪気な反面、とても敏感で繊細。久美さんのその辺の役作りが非常に見事です。
 このシーンでは、自分の過去の話からお姉ちゃんの話になるに従い、段々と明るくなっていく芝居、それから、アリシアが身寄りの無い猫ヒトを集め、猫ヒトの国を作ろうとしている話をする時の、静かなトーンの中に匂う希望感漂う芝居が、とっても素敵です。
 やがてワッフルが立ち去ろうとする時、プリスは尋ねます。
「犬ヒトって本当に猫ヒトが嫌いなの?」
 そうであってほしくない、という彼女のすがるような思いが、久美さんの演技から切なく伝わってきます。
 ワッフルが強くそのことを否定した時、ぱっと笑顔になるように(ポリゴンなので見た目では分かりにくいですが)、プリスがはっと息を吸い込む音が聞こえてきます。ここは、聞き逃してはいけないポイントです。プリスのことがとっても愛おしくなる、小さな微笑みです。
 この後、プリスは「お腹が痛い!」とシアンを仮病で騙し、まんまと脱出するのですが、元の無邪気でキュートなプリスに戻ります。白状しないと痛い目に合わす、というシアンの脅しから、「いたい!」と徐に立ち上がるのですが、「いたい!」という最初の言い回しが、凄く子供騙しな感じで良いところです。上手なポイントです。
 猫ヒトの国を作るべく、フールの結晶石を集めるアリシア。それを追うワッフル。お姉ちゃんを思い、慕うプリスはどう振る舞うのか……。
 それはプレイしてのお楽しみ☆
 無邪気でキュート、弱くて繊細なプリス。彼女の幅広い魅力が、思った以上に堪能できるので、この「テイルコンチェルト」はお勧めのゲームです。
 そしてもう一つ、久美さんは黒猫団の構成員である、小猫たちの声も当てています。
 三姉妹の駆る巨大猫ロボットとの戦いをボス戦とするならば、いたるところにいる小猫たちを捕まえるのが、ボス戦までの道のり、このアクションゲームの大きな要素。小猫たちは意味も無く「わ〜い」とはしゃぎ回っていたり、ワッフルに向かって「いっくじょー!」と攻撃してきたります。ワッフルのことを「にゃははははっ!」と笑ったりもします。
 その「わ〜い」と「いっくじょー!」と「にゃははははっ!」の声を、久美さんが当てているのです。ころころした可愛らしい声がとっても愉快で面白いので、これもこのゲームの大きな楽しみです。
 操作に慣れるまでがちょっと大変ですが、鈍い私でも(笑)そう苦労は無くクリアできたので、ぜひプレイしてみて下さい。
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▼2003/5/12▼

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OVA「綾音ちゃんハイキック!」
(レンタル屋さんで探すのが一番、早いと思います)
久美さんの役⇒中島加代子

 実在のキックボクサー、三井綾さん。彼女をモデルに描かれた漫画が原作のOVAです。
 全2巻で、3巻目の予告が第2巻の最後に収録されているのですが、残念ながら、どうも第3巻は幻となってしまったよう(私は見たことがありません)。
 因みに、¨北米版¨という英語バージョンもあるそうです。
 女子プロレスラーになるのが夢の女子高生、「三井綾音」が「丹下国光」という弱小ジムのおじさんに騙され、キックボクシングの世界に足を踏み入れていくというお話です。
 久美さんの役は、その綾音の同級生にして親友、「中島加代子」。プロレスバカの綾音とは対象的に、優等生(真面目なのだけれど、頭はカチカチではなくて、至って普通の女の子です)で、運動神経や体力に関しては不得手なタイプです。
 居眠りしている綾音を起こそうと「ワン、ツー」とカウントを取ったりと、綾音のことを何から何まで知り抜いていて、プロレスバカの彼女のことを凄く心配している、とっても優しい女の子です。
 久美さんは、大人しくて可愛い声、優しい声で演技しています。ちょっと鼻に掛かった感じの、甘ったるい声にも聞こえますが、全然、嫌味に感じず、とても心地良い声です。ナチュラルに聞こえてきます。
 久美さんが表現している、彼女の友達思いなところや優しさが、そうさせているのかもしれません。
 ロングヘアーで、大きな眼鏡を掛けた垂れ目の女の子なのですが、絵にもぴったり。
 「私も高校生の時、こんな彼女が欲しかった☆」
 なんて思うような、可愛い可愛い子です。
 眼鏡っ娘(眼鏡を掛けた女の子を指して言う、男性からの俗称)が好きな方には、余計にお勧めの作品です。
 怒った顔も可愛い、というタイプで、怒った声も可愛いのですが、若干、大人びた声になって、しっかりした感じになる時もあります。
 基本的には、頼り無げで、守ってあげたいという雰囲気。
 それがとても可愛い時もあれば、逆に、頼れる優しいお姉さんみたいな雰囲気になる時もあるのです。
 さて、綾音は彼女のことを加代ちゃんと呼んでいるのですが、加代ちゃんの大きな魅力は、綾音を思いやるあったかさ、友達思いなところ、それに付随しての可愛さです。
 プロレスラーとしてデビューさせてくれると信じ込み、国光の元、高速道路の下で練習を始める綾音。彼女が騙されている、体鍛えてどこかに売り飛ばされるんだと、ちょっとずれた思い込みをして、加代ちゃんは綾音のことを心配します。そして、強い調子で、あたしが確かめてあげると言って同行します。
 普段は大人しいのだけれど、綾音のことを思うと、彼女に負けない直情ぶりを発揮して、一生懸命になるところが素敵です。良いな、って思う一生懸命さ、可愛い一生懸命さが伝わってくる、久美さんの演技がとても好感触。
 綾音に同行したものの、国光の勢いに押され、彼女の練習の相手をすることになる加代ちゃんですが、激しいスパーリングに押されて悲鳴を上げたりするところは、何となくサービスシーンな感じ☆ 可愛い加代ちゃんが見られます。
 そして日が沈み、練習が終わった後、凄く良いシーンがあります。滑り台の上で、二人、背中合わせて語らう場面です。
 「やっぱ変かなあ……」という綾音に対し、「変よ」と答える加代ちゃん。とってもあったかい響きがします。綾音に呆れつつも、彼女のことがとても好きで物凄く心配している。広い意味での母性さえ感じる、久美さんの台詞回しです。
 綾音の背中に寄り掛かって、「早くデビューできるといいね」と言うところは、本当に思いやりとあったかさいっぱいで素敵です。心からそう思ってくれている、とっても良い親友です。
 試合で綾音が攻められ苦しくなると、悲鳴を上げて顔を覆ったり、綾音に良いニュースが流れてきた時は、自分のことのように喜び、はしゃぐ加代ちゃん。本当に素敵な女の子を、久美さんは演じています。
 物語の後半、綾音は退学を懸けて、連勝中のキックボクサーとの試合が組まれることになります。
 練習中、ベンチで一休みする綾音。そこに、缶ジュースを差し入れに、加代ちゃんが現れます。
 「ごめんね……これくらいしかできなくて」と哀しそうに言う加代ちゃん。「試合、勝てそう……?」と心細げに尋ね、「綾音! 絶対、勝ってね! それで一緒に卒業しよう!」と懇願します。「ね! お願い、綾音!」と涙を溜めて言う加代ちゃん。
 一つ一つ胸に訴え掛けてくる久美さんの台詞です。自然と自分が綾音の側に立っている気持ちになって、胸が熱くなります。本当に凄いと思います。目頭が熱くなっちゃう場面です。
 そうして綾音の練習を手伝うことになり、二人、喜ぶシーンは、仲良しぶりがとっても良いです。
 久美さんの凄いところは、試合中でも感じることができます。
 加代ちゃんは国光と共にセコンドに付きます。そして、相手の猛攻の前にダウンしてしまう綾音に、涙声混じりに声援を送るのですが、その声援が物凄くパワーがあるんです。本当に力が湧いてくるんです。
 「立って綾音! 約束を忘れたの!」
 「立ち上がって綾音! 約束! 約束!」
 デビューしたて、相手との実力差も歴然としている綾音が、何度、倒されても立ち上がるのも、俄然、納得がいきます。立ち上がらないはずが無い、そんなパワーのある台詞です。綾音に対する想いが熱く爆発した、久美さんの演技に感嘆させられます。
 久美さん演じる、優しくて可愛い加代ちゃんは、本当に好きになっちゃう素敵な女の子です。
 格闘技に精通した方は、アクションシーンなどに若干の不満を覚えたりもするそうですが、思わず熱くなる良いお話なので、一見の価値ありです。ぜひTVアニメ化して、加代ちゃんの物語もいっぱい描いてほしかったところです。
 また「綾音ちゃんハイキック!」には、「綾音ちゃんハイキック! CDシネマ」と称されたドラマCDもあります(大きなアニメショップ、または中古店などで見つけられると思います)。
 「夢の大一番 ボイスバトル」と「ぶっつけ本番二大決戦」の2枚が出ています。友達思いで世話焼きの、優しい優しい加代ちゃんをここでも聞くことができます。久美さんの出番としては、こちらの方が多いです。
 耳に頼るのみのドラマCDということもあり、加代ちゃんの息遣いも感じることができます。この辺は舞台人ならでは、久美さんの生身の演技が丸ごと入っているという感じです。
 またこちらでは、少し天然な加代ちゃんや、ちょっとエッチな加代ちゃんなども聞くことができます。
 OVAと較べて作品全体の温度が微妙に違うせい、お話のテンションが高くないせいでしょうか、所々で、より久美さんらしさが出た芝居になっているように感じます。
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▼2003/5/19▼

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TVアニメ「私のあしながおじさん」
(ビデオ化されています)
久美さんの役⇒シンディ・パターソン


 誰もがご存知、ジーン・ウェブスター原作「足ながおじさん」のアニメです。1990年の作品です。
 久美さんがご出演されているのは、第26話「明日に架ける橋」と第27話「家庭教師は楽じゃない」。この二つのお話は繋がっていますが、久美さん目当てということならば、特に全話を通してご覧にならならくても理解できると思います。
 同級生たちとの会話の中で、将来のことを意識し始めた「ジュディ」。自分の力で生きていくための何かを見つけるべく、大学への進学を決意します。しかし、¨あしながおじさん¨の援助には頼りたくない……。
 奨学金で進学するという目処は付いたものの、生活費が必要なことに気付きます。そして街中で、ジュディは労働というものを意識します。
 ジュディは家庭教師のアルバイトを始めるのでした。
 久美さんの役は、その家庭教師先にいる、小さな女の子。豪邸に住むお金持ちの娘姉妹、その妹の方「シンディ」です。
 年は8歳。久美さんは、幼い可愛らしい声で演技をしています。私には妹がいたので分かりますが、ちゃんと8歳という女の子に相応の幼さで、久美さんは演技をしています。
 最初は、やって来たジュディに対し、お姉ちゃんと一緒になって悪戯を仕掛けたり、本をぶつけたりと、やりたい放題、わがまま放題。
 更にママの前では良い子ぶり、ジュディを悪者扱いする始末。全く手に負えません。
 そう、二人は、今まで何人もの家庭教師を追い出してきた、とんでもない姉妹だったのです。
 意地悪な感じに台詞を言ったり、愉しそうに笑い声を上げたり、嘘泣きをしたり。久美さんの愉快で可愛らしい演技が見物です。「サクラ」で¨大人がしている子供の演技¨から脱却する前ではありますが、小さな女の子の演技はさすがお手のものです。感じるものがあります。
 この姉妹が悪戯放題、わがまま放題、言うこと聞かないのには勿論、理由があって、それは寂しいから。家庭を顧みないお父さんと自分たちに構ってくれないお母さんに、寂しさを覚えているのでした。
 話を聞いてくれないお母さんに「ママ!」と叫んだり、溜め息を付くシンディが、とても痛々しいです。
 見所は何と言っても、ジュディに対してどんどん心を開いていくところでしょうか。
 ジュディのペースに乗せられて、最初は挑戦的ながらもいつの間にか勉強しているシンディの姿が、とっても可愛くて良い感じ。
 子供らしい単純さ、喜怒哀楽を素直に出すところが上手に表現されていた、良い演技であったと思います。興味を惹かれて飛び付いて、でも直ぐにつんとして、数瞬後には笑って喜んでいる。この辺の、くるくる変わる台詞回しが、とても良いあんばいです。
 そうして、半ばジュディの挑発に乗せられるようにして、文字の読み書きを始めたシンディ。と、不意に部屋に入って来たお母さんに、自分が書いたものを見せようとします。ところが、お母さんは取り合ってくれず……。
 その後、シンディはヒステリーを起こし、壷をドアに向かって投げ付け、泣き出してしまうのですが、ここは非常に胸が痛む、秀逸な久美さんの芝居です。
 今まで鬱積してきた寂しい気持ち、それがジュディによって和らぎ、嬉しい気持ちを同じようにママにも向けてみる。しかし拒絶されてしまい、途端に寂しさが爆発してしまう。小さなシンディの心理が、痛いほどに伝わってくるのです。
 しかしジュディはめげません。体育の時間と称し、一緒に缶蹴りをしようと言い出します。
 ここで、シンディたち姉妹は完全にジュディと仲良しになります。ジュディと一緒に思いっ切り遊び、楽しみます。お姉ちゃんと一緒にはしゃぎ、喜んでいるシンディの笑い声が可愛いです。
 まるでお葬式のようだった食事風景もがらりと変わり、愉しそうに美味しそうにご飯を食べるシンディの姿は、思わず微笑まずにはいられません。ちゃんとストーリーと共に、良い流れを作っている久美さんの演技です。
 また久美さんは、シンディとは別に、第26話でジュディの同級生の声を一言だけ当てています。「でも凄いわー〜」と始まるのがそれです。歳相応の素敵な声です。お話の流れの中で、聞き流してしまいそうになる箇所なので、注意深く聞いてみると良いかもしれません。
 個性を発揮できる一方、こうして集団に自然に埋没することが出来るのも、久美さんのしっかりとしたスキルの一つでしょう。
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