<ポスター>

久美さんの声優としてのお仕事。
その中で特別、紹介したいものを、
この「新宿シアターKumiko」の
ロビーに貼り出していきます。


 舞台を目指すことで、自然と声優の世界にも足を踏み入れてきた久美さん。舞台で培ってきた技能を声のお仕事に活かし、その逆、声のお仕事で得た経験も舞台に活かしてきました。
 今や、押しも押されぬ人気を誇るベテラン声優さんです。
 そんな久美さんがご出演された色々なメディアの中で、特別、筆を割きたいと思ったものについて解説・感想等を書いていきます。新旧ごちゃ混ぜになっていくかと思いますが、平にご容赦を。
 <ポスター>というコーナー名の通り、宣伝になれば幸いです。


◎1枚目◎




▼2001/11/24▼

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
カナリア 〜この想いを歌に乗せて〜
オリジナルドラマCD
     plusえくすとらvol.2
(税込:2800円)
久美さんの役⇒矢萩せな

 もう久美さん、面白過ぎです!
 尋常じゃないです、久美さんの役は。
 「カナリア」というのは、パソコンやDCの恋愛アドベンチャーゲームで、せなちゃんは、主人公が通う高校の担任の娘さん。年は4歳。さすが、「ゆりかごから墓場まで」を声優としての目標に掲げる久美さんです。でも普通の4歳児ではなかったりします(笑)。
 ひっく〜い声で、皮肉げに、高圧的に、きついことをばんばん言ってのけちゃう子で、自分を大人の女性であると思い込んでいる、信じ込んでいます。
 それにしても久美さんってば、何でこんなに面白いんでしょう。
 抑えに抑えた低い声で、超マイペースに喋るのだけれど、一本調子でなくて、声の間延びのさせ方や間の取り方が、凄く巧みで絶妙で全く退屈させないんです。ほくそ笑むような笑い方もGOODで、本当、可笑しいです。
 しかもその喋り方に、時にたどたどしさが加わっているのを感じることができます。プラス子供の声の色が滲んでいる(本当に数瞬ですが、アクセントと言うか、香りになっています)。だから、ただ面白いだけのキャラクターに突っ走っていない、ちゃんと四歳児になっているんです。そうした枠の中で、変てこに面白いんです。自由度の高いCDドラマという特性からか、ゲーム本編よりは若干、弾けてはいますが、決して暴走はしていないところは、見事だと思います。
 架空のラジオ番組が舞台になっているCDで、せなちゃんはそのコーナーにゲストとして呼ばれているという設定です。その中で、悲惨な目(笑)に遭っていく訳ですが……。
 前回、vol.1もそうだったのですが、せなちゃんがうろたえるシーンが出てきます。そこも抜群に面白いです。今までのマイペースぶりが崩れていくのですが、その崩れ方がとっても面白可愛い。パニックになって慌てふためく様、半泣きで呻き声を上げる様を聞いていると、本当に久美さんは芸達者だなあと思います。見事です。
 これ以上、書くと、聞いていない方に対してネタバレになってしまうのですが、せなちゃんがピンチに陥る原因と、その後に入るキャラクターソングのタイトルが妙に重なったりしていて、可笑しいです。因みに3曲、歌が入っているのですが(久美さんの歌はありませんが)、聞き易く、甘ったるさの無い爽やかな雰囲気の楽曲で、個人的には好きです。
 そうそう、忘れてはいけないのが、久美さんのガヤと言うかチョイ役です。前回は幼稚園児やおばさんの一人として、せなちゃん以外の役もやっていましたが、今回は学校帰りの女の子の他、やたら明るいおばさんを演じています。個人的に、かなり好きだったりします。何と言ったらいいでしょうか。久美さん素敵☆って感じです。しかと聞いてみて下さい。
 終盤は、ラブコメラブコメしたドラマが収録されていますが、久美さんのせなちゃんは面白さ全開で、甘い雰囲気をやっつけてしまう(笑)役どころです。せなちゃんが完全に四歳児に戻ってしまう姿を聞くことができます。美味しい食べ物に弱いせなちゃんなので、それを持ち出されると、途端に可愛らしい、幼児の声になります。可愛い!と思うこともさることながら、久美さんの声のオクターブの広さにも感嘆してしまいます。
 せなちゃんという役は、かなり低い声とかなり高い声を使っていて、ニュートラルなところが無いので、結構、大変だったかのかなと思います。アイリスの声を出すのも朝いちでは辛いというお話ですし。
 ともかく、せなちゃんは、第一声を聞いただけでも笑ってしまう、非常に面白い役です。100%、久美さんの演技に笑わされます。請け負っちゃいます。
 それにしても、「F・f・ーエフー」のよし子や「2001ー」の久美子やガイアを思い出すと、凄いギャップです。久美さんってやっぱり凄い。なので、声優さんとしてしか久美さんを知らない方は、ぜひ舞台をご覧になってほしいと思います。久美さんの役者さんとしての凄みと、魅力の深さを思い知らされること間違い無しです。
 これは余談になりますが、茅ヶ崎めぐみという役もとっても面白いです。雪乃五月さんという声優さんだそうですが、今日やっと、「犬夜叉」のかごめ役の方だと気付きました。「犬夜叉」には、言わずとしれた山口勝平さんがその犬夜叉役で、百々麻子さんがかごめのお母さん役でご出演されていますので、ビデオなどで見てみて下さいね。
 CDの最後には前回同様、キャスト全員が出されたお題に対して一言、述べてご挨拶しています。久美さんの素の一面を知ることができるので、こちらも聞き逃せません。vol.2の久美さんはおいしいです☆
 夏の魔法で私は何度だって甦るわ……。
 今回の久美さんの名台詞です(笑)。
 ぜひお買い求めになって下さいね。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



▼2001/12/2▼

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「サクラ大戦 活動写真」
  劇場版・奇跡の鐘/劇場版・すべては海へ
(税込:1260円)
久美さんの役⇒アイリス

●劇場版「サクラ大戦・活動写真」は、12月22日より公開です。

 セガサターンのゲームから始まり、様々なメディアへと広がってきた「サクラ大戦」。その劇場版に先立って発売されたマキシ・シングルです。
 「サクラ大戦」の世界の中で、歌は非常に大きな比重を占めています。ゲームにしてもTVアニメやOVAにしてもCDドラマにしても、必ずそこには歌が付いて回っていました。
 そして歌謡ショウ。幾つもの楽曲がお芝居の流れの中、生のオーケストラの前で、踊りながら歌われてきました。
 全員で、デュエットで、ソロで。久美さんもアイリス役として、様々な形で歌ってきました。歌を苦手としていた久美さんもここで場数を積むことで、技術やハートをレベルアップさせてきました。自信は相も変わらず無さげなご様子ですが……(勿論、生で歌っている姿からは、その影は微塵も感じられません。堂々たるもので、今では貫禄さえあります)。
 今回、久美さんがアイリス役として歌った曲は「奇跡の鐘」です。この曲は、「サクラ大戦2」というゲームに挿入歌の一つとして使われた楽曲で、「サクラ大戦2 歌謡全集」というアルバムにオリジナルが収められています。また「サクラ大戦 花組クリスマス 奇跡の鐘」というCD、及びビデオ・DVDでは、コンサートで生で歌われたバージョンを耳に、踊っている姿を目にすることができます(コンサートについてはこちら→<桜色のタイムカプセル>)。
 オリジナルの「奇跡の鐘」の方は、児童合唱団のコーラスで始まる、比較的宗教色の濃い、神秘的で、クリスマスクリスマスしたアレンジでした。歌い方も、恋する女の子が歌っているという雰囲気なのだけれど、感情を胸に秘めた感じで、幾分、厳かに歌っていました。久美さんも可愛らしく、しとやかに、しっとりと歌い上げていました。
 今回は大幅にアレンジされています。神秘的な色合いは残しつつ、かなりゴージャスにオーケストレーションされています。いかにも、大きな劇場に響き渡っている、というのがイメージできるアレンジです。また派手になっているせいか、リリカルな印象も受け、とっても素敵になっています。
 そして久美さんのアイリス……。
 上手いです。百人中百人、悪く言う人はいないでしょう。
 「サクラ大戦3」のアルバム中に収められていた「君偲ぶ歌」で初めて感じた、鳥肌感、いつからこんなに上手になったんだろう、っていう感覚を再び感じました。
 綺麗に伸びていく声、透明感が物凄く素晴らしいです。
 特に声の伸び方が美しいんです。さながら雪の結晶の間をきらきらと抜けていく、朝の陽の光のよう。うわあ……☆って、思わず溜め息が出ちゃいます。花組全員で歌っているので、短いソロなのだけれど、何だかこのワンフレーズを中心に曲が回っているような、そんな風に思えるほど素晴らしいです。だって、〜奇跡の鐘〜というタイトルが詞の中に入っているただ一つの節を、久美さんが歌っているのですから、あながち、ひいき目ではないですよね。
 前に出過ぎてもいないし、引っ込んでもいない。そんなトーンで、美しく歌っています。
 感情の出し具合も絶妙です。この辺りは歌い方に関する指示もあったのかもしれませんが、前回と比べると、乙女心が前面に出ている、といった具合です。可愛いだけではないんです。イブの夜、雪がちらつく中、大切な人に手を連れられて歩く、小さいアイリスの恋心、その温かい、素敵さを感じることができるんです。
 感じるものは人それぞれ違うかと思いますが、それでもここまで絶賛できるくらい感激する、私のような者がいるのですから、久美さんの歌唱がいかに素晴らしいってことは納得できると思います。
 クリスマスが来る前に、忘れずにお買い上げ下さいね。
 西原さんの凄さを感じるたび、嬉しくなります。

 さて、このマキシ・シングルには、歌謡ショウ五周年記念公演「海神別荘」において、劇中劇のテーマ曲として使われた「すべては海へ」の劇場版も収められています。
 歌詞もアレンジも、一から作り直したみたいに、全く違っています。オリジナルでは公子役のマリア(高乃麗さん。久美さんの大好きな先輩です☆)と美女役のさくら(横山智佐さん)が歌っていますが、こちらの劇場版では、マリアに替わって、ラチェット・アルタイルという新キャラクターが歌っています。
 そのラチェット役は何と、元・劇団四季さんの久野綾希子(くのあきこ)さん!
 久野さんは1972年〜1986年の間、劇団四季に在籍しておられた、ベテランもベテランの大女優さんです。「エビータ」、「キャッツ」(初演)など、数多くの大舞台で主役を張ってきた凄い方です。西原さんが舞台に憧れる切っ掛けとなった公演の一つ、「二人のロッテ」にも、ロッテ役としてご出演されました(1977年ですから、実際に小学生の頃の久美さんがご覧になったのとは、違うかと思います)。因みに大阪出身です。
 久野さんの歌唱は、劇団四季(久美さんの原点「雪ん子」を切っ掛けに三回だけ観に行ったことがありますが)、という先入観を上回る凄まじさです。想像していた以上の格好良さで、もう痺れちゃいます。短いので、もっと聴いていたいなあ、と思っちゃうくらいです。
 横山さんもさくら=美女役を通し、個性を最大限に発揮して久野さんと渡り合っていました。厳かに清楚に美しく……。公子と美女、という図式内で、とてもバランス良くデュエットしていたと思います。
 久野綾希子さん。
 技術的な、レベル云々の話をすると、上には上がいます。
 私は高校時代、ブラスバンド部におりましたが、最後の定期演奏会で、プロのサックス奏者をゲストとして迎えたことがありました。実際に合わせたのは、本番前日だったのですが、その方が出す音の凄いこと。市民会館のステージの上で初めてリハーサルをしたのですが、あのチューニングの音を出した瞬間のことは、今でも記憶に鮮明に残っています。皆、耳をそば立てていて(笑)。何か楽器に仕掛けが付いているんじゃないかって思えるくらい、次元の違う音色でした。柔らかで、楽器から、ではなく、身体から音が広がっていく、そんな感じでした。プロのサックス奏者の音を1、2メートル前で聴くなんて経験、普通はありませんよね。このことが身になったのかと聞かれても困ってしまいますが、いい思い出になったのだけは確かです。
 劇場版のアフレコで、久美さんは久野さんとご一緒した訳ですが、このことは久美さんにとって非常に意義あるものだったと思います。何かを吸収したと思いますし、それは将来、久美さんの血肉となることは間違い無いでしょう。今直ぐにではなくても、必ず。
 久野さんは、久美さんより12年ほど長い芸歴をお持ちです。
 12年後の久美さんがどうなっているかは分からないけれど、私は素直に、それを見てみたいと思いました。12年経っても、久美さんのこと好きでいたいなと思います。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



▼2002/8/1▼

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
NHKラジオドラマ・青春アドベンチャー
  「イーシャの舟」
久美さんの役⇒イーシャ(あまのじゃく)

 NHK−FMで、15分間ずつ全10回に渡って放送されたラジオドラマです(既に二度、放送されています。再々放送も十分、有り得ますので、その折りには必聴です)。
 久美さんの役は、宇宙人の女の子。名は「イーシャ」。
 初登場時は小さな赤ん坊のような状態で、腰まである長い髪、角が三本、生えていることから、偶然、彼女に出会った廃品回収をしている青年、年輝(としき)から、「ちび鬼」と名付けられ、その後、この地域の伝承から「あまのじゃく」と命名されます。
 ストーリーが進むに連れ、赤ん坊みたいな状態からどんどん成長していくのですが、この成長のあんばい、久美さんの、彼女の成長のさせ方が第一の聴きどころと言って良いでしょう。
 最初は、年輝が言った言葉をたどたどしく繰り返すだけだったのが、彼の死んだ飼い犬にやきもちを焼くようになったり、減らず口を叩くようになったりします。年輝に好意を寄せる和美(かずみ)に嫉妬したり、部屋を覗かないでと念を押してきたりするようになります。やがて、自覚はしていないものの、年輝に恋心を抱くようにもなります。この辺りの久美さんの、恋する女の子の演技が第二の聴きどころ。
 声優としての目標に、「ゆりかごから墓場まで」を掲げ、幅広く演じられるようになりたいと思っている久美さんですが、「ゆりかごから」は良い具合にこなしているかと思います。
 赤ん坊は無条件に可愛いもの、見ていると自然と顔が微笑むものですが、久美さんの演技は正にそれを体現していると言って良いでしょう。
 そして、あまのじゃくの家庭教師となったとおるに色々と教えられるうち、普通に会話などができるようになっていきます。ここでの愛らしさはもう天下逸品です。憎まれ口を叩く様は、聴いていて本当に愉快で心地良いです。それでいて素直なところもまた魅力的。
 キャラクターの魅力をどの面からも魅力的に見せられるのは、豊富な引き出しを根底(技術)に、久美さんが役の感情をしっかりと声に乗せられるから。バランス感覚に長けているから。
 久美さんは首を横に振るかもしれませんが、人間として豊富な魅力をたたえているから、とも思わずにはいられません。
 やがて記憶の断片が現れ、熱を出し、あまのじゃくは成長します。名前もイーシャへと変わります。女の子らしさが出てきて、女性としての可愛さや瑞々しい麗しさが加わっていきます。
 潤いのある声で、開放的に、あっけらかんとした性格のイーシャを演じます。そして、純粋に一途に年輝を想うイーシャを久美さんは演じます。
 漠然とした嫉妬心を抱いていた和美に対しても、恋敵への嫉妬心として燃え上がります。どすを利かせた声で喋るシーンもありますが、久美さんが表現しようとする感情を、ダイナミクスの大きな声質がそれを手伝います。
 年輝を想い、身を引こうと家出をしたり、でも結局それもできず戻ってきて……、自分を探しに出かけてしまった彼を探しに、飛び出すイーシャの姿は美しいです。久美さんが演じる、いじらしいイーシャの姿は、あたたかい微笑みとちょっとの切なさをくれます。
 久美さんの声だけで、彼女の姿が鮮やかに浮かびます。聴いている者の心を掴みます。感情移入させます。
 月をバックに、地上にいる年輝、目掛けて急降下して抱き付くシーンは、最高のシーンと数えて良いでしょう。
 恋する気持ちが全身から溢れ出ている。それが、スピーカーを通して分かるのです。
 やがて、宇宙人のイーシャには壮大な使命があることを、イーシャと年輝は知らされます。ここでも成長。久美さんの演技が光ります。記憶を取り戻すに従って、自然に変わってくるイーシャの雰囲気、でも年輝への想いは普通の女の子と変わらない・・・、久美さんの演技の妙です。
 年輝と一緒にいたいと訴えるイーシャ。
「年輝がいる地球が好きよ……。一緒にいたい……!」
 果たして二人の運命は……。

 さて、私からの能書きはこれくらいにして……。
 「舞台裏の伝言板」こと掲示板に感想を書いて下さったAKIさんと賽鍵さんの書き込みを、一部抜粋して紹介します。聞いたことが無い方はこちらを読んでこそ、聞きたくなってくるはずです。

『賽鍵さん』
久美さんの声って、なんであんなに素敵なんでしょう。
聞いているだけで、暖かい幸せな気分になります。
物凄く大切なものが、胸の中に生まれてくる感じです。

『AKIさん』
最後の「出演」の所は、お姉さんな感じで、また良いです。そう言えば、西原さんって声は子供みたいに可愛くて素敵だし、実際にお話してみるとなんだか近所のお姉さんみたいに親切で話しやすくて不思議な魅力の持ち主ですよね。

『賽鍵さん』
「かずみ」って嫌な女だなぁ〜。
すいません、物語の主旨とは違いますよね。でも、何か今日のお話を聞いてたら、どうしてもそう思えてしまって。
やっぱり、イーシャというか、久美さんの声に一番感情移入しちゃうからでしょうね。
今日は久美さんの演技の幅に驚いています。
先週の月曜に聞いた、生まれたての無垢な声から、今日の嫉妬に燃えたどす黒いような「二度とうちに来るな!」まで。
嫉妬に燃えたシーン、声、セリフであっても、イーシャの魅力が 伝わって来るその演技に、カセットを何回も聞き返しています。

『AKIさん』
イーシャ、自分がホントは主人公のこと大好きで、
そのせいで「かずみ」に意地悪言ってしまう自分に腹立たしくてじれったくて、そんな自分が大嫌いなんだけど、
どうしようも無くて。
そんな思春期の女の子みたいな気持ちが伝わってきて、
いじらしいです。
やっぱり、西原さんの演技は素敵ですねぇ。

『賽鍵さん』
「としき」ってバカだなぁ。
いや、ほんと。そう思いませんでしたか?
やっぱり、私がイーシャに(というか、久美さんの声に)愛情を感じている所為なのでしょうか。
だって、あの声で必死に「一緒に居たい」と言われてるんですよ。
「としき」には別に地球に係累がある訳でもないし、精々数人の 友人とえざ婆さんが居るだけじゃないですか。
任務が大事なら、イーシャと一緒に行っちゃえば良いのに。
私なら、イーシャに「一緒に居たい」と言われれば、ためらいなく「よし、判った。俺も一緒に行こう」と言っちゃいますけどね。
どう考えても、それが自然な流れだよなぁ。
昨日は、ラジオを聞きながら、「なんで一緒に行かないんだよ〜」とイラついてしまいました。
だって、一人で舟に取り残されるイーシャがあまりにも可哀想で。
まぁ、ハッピーエンドだったから良かったけど。

『AKIさん』
AKIも他の人は良いとして「としき」には結構、いらいらさせられました。
イーシャのことを大事に思っているなら、ついていってあげるべきですよねぇ。
あんなに不安そうなイーシャに「行ってこい」って言うのは優しさとは違う気が。
イーシャのネーミングのいい加減さ(「ちび鬼」「あまのじゃく」)といい、イーシャ(西原さん)を溺れさせた(根に持ってる?)件といい、「なんだかなぁ」って思ってましたが。
でも、そういう、けっこう無神経なところや、のほほんとしているところが良いところなのかもしれませんね。
兎にも角にも、ハッピーエンドで良かったです。
この作品、赤ちゃんな西原さんから、大人の色っぽい西原さんまで盛りだくさんで、とっても得した気分でした。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



▼2002/9/20(加筆:9/24)▼

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
TVアニメ
   「スクライド」
(DVD各巻 税抜:5,000円)
久美さんの役⇒寺田あやせ

 久美さんの声優としてのイメージを思い浮かべると、可愛い声、子供の役、女の子女の子した演技の方が未だメジャーかもしれません。
 舞台では当然の如く大人の女性の役を演じ、女のリアルな情の機微を表現している久美さんですが、特にアニメーションの世界では、例えば「サクラ大戦」のアイリスのように、可愛らしい女の子の役で知られていることの方が多いでしょう。
 しかし、久美さんの魅力の真髄はここにあると言っても良い程に、久美さんの大人の女性役は、可愛らしい女の子の役以上に素敵です。胸を捉え、胸を叩く迫力・魅力があります。
 上記にある「イーシャの舟」のイーシャが、成長するほどに魅力的になっていくこと然り、TVアニメ「神風怪盗ジャンヌ」の堕天使フィン・フィッシュの、どすを利かせつつも妖艶な台詞回し然り。
 そしてここで紹介する「スクライド」の寺田あやせも、正にそうです。
 あやせがメインとなる話は、第4話「ビッグ・マグナム」、それから、第17話「寺田あやせ」。
 あやせの声は、低め、と言うほど低くはありませんが、夜の湖面を思わせる、抑えたトーンです。年齢は二十歳過ぎといったところで、久美さんは大人の女性の声でしっかりと演技しています。また、久美さん自身の普段のトーンを抑えた声で叫ぶ、という難しいであろう台詞も沢山こなしているのもポイントです。これは「神風怪盗ジャンヌ」以上でしょう。
 あやせはアルター能力者です。アルターとは簡単に言うと、周囲にある物体を分解し、自分の意思や信念などによって決まる、あるユニークな物体に再構成し、それで様々なことを可能にする力です。平たく言えば、超能力者のようなものです。
 ストーリーの詳しい背景、世界観などの記述は控えますが、アルター能力者の犯罪を取り締まる「ホーリー」という部隊に所属する、一人の傍若無人な男に、あやせは、町の人たちもろとも、自分の弟を連れ去られてしまいます。あやせは、弟と、強制労働させられている町の人たちを救うため、主人公である、腕利きのアルター使い、カズマに、仕事として(知り合いであるカズマの親友を通し)協力を頼みます。そうして弟たちを助け出すのが第4話です。
   カズマとの初対面では、きつい、高圧的な調子で、時にどすを利かせた声で話します。それでいて妖艶な色香を漂わせているのですが、これがまた、胸をぞくぞくさせるほど素敵です。
 とかく、あやせの台詞回しは常に、胸に捩じ込んでくる強さ、インパクトがあります。と言っても、語気が強かったり、声が大きかったりする訳ではありません。普通に聞こえてくる台詞が、自然と胸に捩じ込まれてくるんです。物語の流れの中で、あやせというキャラクター自体が持つ強さを、久美さんがしっかり演じ切っているせいでしょうか。見ていて気の抜けない、久美さんの台詞回しです。
 最初はきつい調子で、ずけずけ物を言い、只者ではないアクの強さを感じさせますが、実は、荒れ果てた土地で生きていくため、構えていただけ。この辺の久美さんの演技は、下衆というのではなく、凄みがあるという雰囲気。
 本当は、非常に弟思いの、少し影のある、けれど情の深い、ごく普通の女性だと分かります。
 「こんな場所でしおらしくしてていいことある?」と言いながら、しおらしさもある女性です。その二面性を久美さんはとてもスムーズに自然に、全然、厭味にならずに、見事に演じています。自然と、この女(ひと)、良いな、と思わせる、好感度を漂わせています。
 大切な弟のこと、町の人たちを家族のように思っていること、白い目で見られることを恐れ自分のアルター能力を隠していること、その能力で皆を助けられることに喜びを感じていること……。夜明けに、弟たちを助け出す作戦を決行するのですが、その夜、あやせが膝を抱えて話す、このシーンの久美さんの演技は秀逸です。アルター使いであり、多少、荒っぽく自分を見せているけれど、弟思いのごく普通の女性、誰とも変わらぬ一人の人間であることをしっかり感じさせてくれます。恐らく女性の方も彼女に感情移入するだろう、しっかりした久美さんの演技です。
 やがて、作戦が成功するかどうか、あやせは不安を見せたりもするするのですが、カズマの力強い言葉によって勇気付けられ、その気になっていきます。
 短い台詞なのですが、声のトーンは落ち着いたまま、抑えられたままで変わらず、あやせの胸にじんわりと力が漲っていく、久美さんの演技が見事です。不安の色が滲み、暗く澱んでいくような台詞回しから、呟くような、且つ熱のこもった台詞回しに変わっていく様が、非常にリアルな芝居です。
 「スクライド」には男性女性、個性的なキャラクターが沢山いますが、特に女性陣の中では突出したリアルさを持っています。舞台をこなしているせいでしょう、久美さんが演じるあやせには、人間の体臭が凄く感じられます。ステレオタイプなアニメっぽさを全く感じさせません。それでいて浮いた印象は無く、見る者を引き込む魅力を持っています。舞台でもたびたび、ちょっとした役でおいしいところを持っていく久美さんですが、ここでも大きな存在感を発揮しています。
 可愛いところもあったりします。弟たちを救うため、施設に乗り込み、監視の人間を倒すため、あやせは足を怪我した振りしてぺたんとべた座りした格好になるのですが、カズマにそれをからかわれて、「ばか……!」と呟きます。監視の人間の気を引く呻き声と合わせて、妙に色っぽかったりします。
 あやせの声のトーンを、夜の湖面と喩えましたが、彼女は物体を無音で水に変えるというアルターの持ち主で、言わば水のエレメントを持った人物です。湿り気のある芝居を久美さんはしていますが、それがふとしたところで色気に変わる様も素敵な演技です。
 終盤、あやせは人質にされ、危うい局面を迎えるのですが、カズマの言葉を思い出し、自ら行動を起こし、無事、弟を救い出します。
 あやせが両手でカズマの手を包んで言う「ありがとう」には、彼女のありったけの感謝、それに淡い恋心も感じられて、非常に素敵な台詞です。
 最後にあやせが見せる爽やかな笑顔がとても素敵に見えるのも、久美さんの演技の賜物でしょう。
 そして第17話は、とても悲しく、切ないお話です。
 前置きとして、第4話のあやせの風貌は、朴訥とした感もある、荒っぽいおねえちゃん、という感じでしたが、ここでは、洗練された美形の女性、といった感じに風変わりしています。久美さんの声のトーンもそれに合わせて変わっています。気持ち、スマートになった声のトーンです。
 危篤状態にある弟の病気の治療を盾にされ、あやせはカズマを倒す命令を受け、アルターで彼に襲い掛かります。カズマを『本土』に連れていくか、殺すかしなければ、自分の弟の命は助からないという状況。そして、「ホーリー」に捕まって精製(改造みたいなこと)され、強力なアルターを得た自分。尚且つ、カズマに好意を抱いている、惚れている……。
 この第17話で、久美さんは非常に難しい演技をこなしています。
 カズマと再会した時に見せる妖しい笑みや、強力になった自分のアルターを説明しながらカズマを攻撃する時の、徹底した冷血さ。それは監視の目を感じながら、弟を守るためカズマを殺そうとしてみせるモーションであり、また、精製を重ねられたことで人格が僅かに破綻された様でもあります。まずこの久美さんの演技に圧倒されます。やり過ぎると安っぽくなる、迫力や真実味が薄れてしまう、微妙な匙加減が要求される演技を、久美さんは見事に演じています。このまま本当にカズマを殺してしまうのでは、と心配させるほどの迫力です。
 一旦は新たなアルターの力の一端を見せて、あやせのアルターから逃れようとするカズマですが、それを見てあやせは、「駄目よ! 駄目駄目。そんな方法で助かろうなんて……!」と叫びます。『本土』が求めている、『向こう側の世界』の扉を開けること。それが出来れば、カズマを殺さずに済む。けれどそれにはまだ至らないカズマのアルターを見て嘆く、久美さんの優れた台詞回しです。
 カズマを殺すため、自分の気持ちに憎しみを持たせようとするあやせの台詞も、とても痛々しいです。勿論、本当は殺したくない、けれど、弟の命を救うため。
 抑えられた声のトーンが、張り裂けんばかりに膨張した、そんな声音の台詞です。どすの利いた声をばしばし叩き付けます。
 元を辿れば自分の悲劇は、カズマが原因であるという台詞を吐き捨てる様は、胸を激しく揺るがします。カズマに対して吐いているのではなく、彼を憎むため、自分に向かって叩き付けている、久美さんの熱演が強烈です。
 あやせの中で様々な思いが交錯している複雑な胸中を、久美さんは徹底的に演じています。
 地下の洞窟へと逃げ込んだカズマを追うあやせ。そこで、監視の目が届かないと見切るや否や、アルターを消してカズヤの胸元に飛び込みます。「会いたかった、カズヤ……」と呟くあやせ。今の自分を縛り付けているもの全てを脱ぎ捨てて、惚れた男に飛び込んでいく様に胸をきゅんとさせられる、久美さんの素敵な台詞回しです。
 あやせは、アルターが生まれた理由、向こう側の世界のこと、その世界の力を『本土』が欲しがっていること、『本土』に捕まって自分が何をされたか、などを話し、向こう側の世界の扉を開くことができるカズマに、『本土』に来てもらうよう説得しようとします。淡々と話しながら、暗さと熱を含んだ久美さんの台詞。前述したように、一つ一つが胸に捩じ込まれてくる、聞き応えのある演技です。
 頑として断るカズマに、あやせは弟の病気のこと、弟のために何でもしてきたことを話します。涙の色が声のトーンを湿らせ、暗く沈んでいく調子です。そして、かつてカズマが自分に言ってくれた言葉を静かに繰り返し、段々と語気を強めていきながら、自分はカズマを倒すことを宣言します。
 この作品は久美さんの大人の女性の演技を堪能するに、とても、もってこいです。それは、最後までそうなんです。
 アルターでカズマに襲い掛かるあやせ。
 前半と同じシチュエーションであやせは、「思い出と共に全てを粉砕する!」「完全に消滅させる!」という酷な台詞を叫びますが、無論、前半とは台詞回し、声のトーンははっきりと違います。今度こそカズマを殺さねばならない状況下、カズマを殺したくないという気持ちを無理やり押し潰している演技です。視界から消えたカズマに、静かに謝るあやせが、とても切なく、その台詞回しに、ずきずきと胸が痛んできます。
 そして、久美さんという役者さんの物凄まじさを、更に感じる演技はここから。
 左腕に付けられた、弟の心拍数を表すメーターの数字が急激に下がっていき、そしてゼロになった時の、途切れ途切れの泣き声、弟への必死の呼び掛けは、これは胸を一突きに貫く演技です。辛いシーンです。あやせの姿を見ているのが、正直、辛くなります……。
 更に、自分を狙うカズマのアルターを見上げ、恍惚とした表情を浮かべるのですが、久美さんほどの役者さんでなければ、これはできない演技だろうと思います。どきっ、とする台詞をあやせは吐きます。
「ああ……それがあなたの……」
 死を間近にして(精製され過ぎたため身体がぼろぼろになり、カズマの攻撃を受けなかったとしても死んでしまう)、惚れた男の、ある意味、彼の証、象徴を目にできたことへの喜び、そして後に続く、弟に語り掛ける台詞から分かる、自分ももう直ぐそちらへ行くという吹っ切れ。既に天国の腕に抱かれていると言ってもいい。目をしっかりと開けて涙を流すあやせの姿と相俟って、久美さんの強烈な演技が胸を貫きます。
 あやせは海の中でカズマに抱きかかえられながら、死んでいきます。弟が死んでしまったこと、自分も精製され過ぎていてもう死んでしまうことを告げ、そして、ごめんね……と、自分の苦しみばかり押し付けてしまったことを謝り続けます。
 涙の混じった、か細い声音で、久美さんは演技します。台詞それぞれから、あやせの悲しみそれぞれがしっかりと感じられます。一つ一つの台詞回しがはっきりと違うのは、カズマに思いの全てを伝えたかったからでしょう。彼女を苦しめた悲しみ一つ一つ、出来事一つ一つの辛さが痛いほどに伝わってきます。
 また、見ていて胸の鼓動が自然と早まるのは、大事な人を失う瞬間が来ることを感じ、そして焦りを感じているからでしょう。カズマと同じ気持ちになっているのでしょう。
 久美さんの大人の女性の演技には、これだけの広い広い表現力があるのです。可愛らしい女の子や一風、変わったユニークな子などで見せる久美さんの演技は、まだまだほんの一部に過ぎません。久美さんは、大人の女性の演技でも素敵な、素晴らしいものを見せることができるのです。
 あやせの死は、カズマの中にあるものに火を付けます。久美さんが演じたあやせという役は、主人公の生き方を変えるほどに衝撃的な役でした。
 シリーズ中、数回の登場で、強烈な印象が求められる役で、尚且つ彼女が登場する回はあやせがメインの話であり、高いレベルの演技が要求されたかと思いますが、これは久美さんほどの役者さんだからこそ決まった(もらえた)役と言えるでしょう。
 この久美さんの大熱演を是非ともご覧になってほしいです。
 インターネットラジオで、いきなりアダルトな大人の女性の声音で喋ってみせ、大人も演っとかないと、と付け足したこともある久美さんですから、大人の女性の役、演技への欲望はかなりあることでしょう。
 もっともっと久美さんが大人の女性の役を演じられること、舞台、アニメに限らず、切に願うばかりです。
 「サクラ大戦」のアイリスは久美さんにとって大切なライフワークとなっている今現在ですが、久美さんという役者の魅力の中で、それはまだまだ一部です。舞台やアニメで久美さんが演じる大人の女性の役は、幅広い表現力、その表現力によって現出する見応えのある女の情の機微・色気、役の感情を見ている人にしっかりと伝える迫力に満ち溢れています。
 久美さんの魅力の中で、今一番、脂がのっているのは、大人の女性役なのです。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


     << Prev     Next >>