<舞台美術さん>

舞台の上の久美さんの魅力について、
ただひたすら、とめどなく書いてみました。



〜その1〜

 久美さんに目を向けると、そこから目を離せなくなる。
 久美さんの役を一度、目にすると、必ずまた会いたくなる。
 舞台の上で演技する久美さんはそんなです……。
 どうしてなのか、って考えると、まず一番最初に浮かぶのは、綺麗だから、可愛いから、麗しいから、色っぽいから。外見のことになります。久美さんはFOXさんの中でも一、二を争う美人、美形の女優さんです。
 いきなり話は飛びますが、久美さんは優しいです。具体的な事由は非常に個人的なことなので、ここで述べることはできませんが、涙が出るほど優しい方です。理由を書かなくては人を納得させることができないのは分かっていますが、私の全てを懸けて言い切れます。とっても、優しいです。
 そうそう、雑誌などで見る久美さんの写真をご覧になってみて下さい。笑顔が優しいでしょう?
 優しい人は綺麗です。
 例えば……大して自分の好みでもない女の子に不意に何かしら優しくされると、感じるものがあるでしょう? 綺麗に見えたり、可愛く見えたりすることがあるでしょう?
 久美さんは見えるも何も、元から綺麗なのですが、と言ってしまうと、ただののろけになってしまいますが、幾つになっても久美さんが美しいのは、優しさが溢れているからだと思います。
 冷めた人から見たら……、人前だから、ファンの前だから、そうなんだろうとおっしゃるかもしれません。でも、愛想笑いにしても、人の心を掴む笑顔を見せるには、優しさが必要です。仮に表向きの優しさだけだとしても、その優しさを作っている心は優しさを知っていて優しいからです。
 だからやっぱり、久美さんは優しいんです。
 よく、久美さんは昔と変わらないと言われます。とは言え、久美さんも人間ですから、歳を取り、外見も変わってきます。変わっていると言えば変わっているし、変わっていないと言えば変わっていません。
 変わっていない、と言うのは、無論、中身も含めてのことですが、久美さんの優しさ、並びに内面・性格を感じているから、そう言えるのだと思います。明るくてお茶目で天然でetc、そういった点をいつも感じて、いつも可愛いと思える。だから、昔と変わっていないと感じられるのでしょう。
 変わっている、と言うのは、どんどん綺麗になっている、ということ。それはお写真などを見れば、一目瞭然です。デビュー当時も可愛いし、10年経つと更に可愛く綺麗になっていて、今は……敢えて言うなら、例えば私を本気で恋に落としてしまうほどです。
 歳を取るごとに綺麗になる久美さん。
 歳の積み重ねは優しさの積み重ね。優しい久美さんは、生きた分だけ美しくなっているのだと思います。
 そしてその優しさがどこから来るのかと言えば、苦労を知っているから。役者さんであり、容姿類稀な女優さんですから、普通の人とは違う苦労です。プレッシャーと戦ったり、役作りに悩んだり、体力の限界と向き合ったり、毎日毎日、数多くの駄目出しを受け止めたり……。人間関係も幅広く大変かもしれません。
 苦労をすると老けると言いますが、久美さんの場合、それが優しさへと変わっていっているような気がします。見られる職業だから、だけではありません。苦しさが優しさになる。そんな人柄も、久美さんを綺麗に見せている要因だと思います。
 内側に美徳があるからこそ、久美さんは輝くような美しさを持っています。そしてそれでいて、前述したように、明るくて茶目っ気たっぷりで天然なところがあって、そういった点が久美さんをたまらなく可愛く見せています。優しさと性格。それが久美さんの美しい容姿を形作っているものです。
 舞台の上で、それはまず目を引き付ける要因になります。そして捉えて離さないのが、久美さんの全身から放たれているオーラです。
 それは目には見えないものです。
 でも、あるんです。
 見えない力、空気、波動。久美さんの役作りと演技が放つ迫力です。
 オーラ。それは何とかオーラ。例えば……
 「アリス・イン・ワンダーランド」のアリスでは、可愛いオーラや元気オーラを。
 「ギヤマンの仮面」の桂登米子では、純朴オーラや恋するオーラを。
 「踊子」の南マリでは、エロいオーラやちょっとゲスなオーラを。
 「エナケン1」のスリのシン子では、姐さんオーラや凄みオーラを。
 「シグナルとブランコ」では、お色気オーラや妖艶オーラを。
 「やっぱりあなたが一番いいわ」では、恋に突っ走る女のオーラを。
 といった具合に、いつも久美さんは空気を纏い、時に放射しています。
 そのオーラは、久美さんが舞台に出た瞬間から出ています。誰かと一緒に歩きながら出てきたり、どたどたと走りながら出てきたり、台詞を言いながら出てきたり、登場の仕方は色々ですが、常に久美さんの身体からは、時に匂い立ちさえするオーラが放たれています。
 そのオーラは表情と立ち方、仕草などによって作られています。とりわけ、表情が最も大きく作用するポイントでしょうか。
 久美さんの表情は実に豊かです。役者さんである以上、表情は豊かでないといけませんし、表情が凄く豊かな方は沢山いらっしゃいます。久美さんの場合、こう言い替えた方が良いかもしれません。
 とても良い表情をする。
 笑っている時も沈んでいる時も怒っている時も妖艶でいる時も、心の琴線に触れてくる、非常に良い表情を久美さんはします。心を動かされるのは、やはりそれがリアルだからでしょう。例えば目の前で、女の人が笑っていたら、可愛いなって思うし、沈んでいれば心配になるし、怒っていたら慌てるし、色っぽい顔されたらドキドキします。
 本当に人間がする時の表情を久美さんはします。フィクションの中でのリアルさであれば、心まで動かされることは無いでしょう。
 それを一番、感じることができたのは、「やっぱりあなたが一番いいわ」の麗歌ありなでした。編集者に恋をする、自己中心的で世間知らずな少女漫画家。
 一目惚れをして部屋に帰ってくる時、お目かしをして編集者を迎え入れる時、楽しそうに編集者と話をしている時、不安を感じて編集部に電話を入れる時、アシスタントにのろける時、自分の思い通りにいかずイライラと部屋の中を歩き回る時、ソファーに寝転んで妄想にひたる時、それを見られて慌てふためく時、自分の思いを打ち明ける時……。
 久美さん演じるありなの表情はくるくると変わります。それは実に自然で、リアルなものでした。確かに彼女は虚構の人物です。が、作られたもの、オーバー、といった感は全くありませんでした。
 だから、久美さんのありなに引き込まれる。感情移入してしまう。ありなのその後が気になる。ありなにまた会いたくなる。
 それぐらい、久美さんの表情は、演技という枠を通り越して魅力的です。
 主役ですし、2時間強もの時間の中で積み重ねていくものがある訳ですが、ちょっとだけの出番の脇役でも同じことが言えます。よく、久美さんはおいしいところを持っていく、と言われますが、まず表情が良いから、そこから放たれるオーラがそれを可能にしているのではないかと思います。
 架空の世界の人間だけれど、その人間の表情を、現実の世界にいる人間の表情と同じように見せてくれる。だから、久美さんの表情一つ一つに心を揺り動かされるのでしょう。
 そしてそれがオーラを出す最大の源となっているような気がします。
 ここからは久美さんの演技と絡めた話になりますが、この表情に更に仕草が加わることで、オーラはますます輝き、久美さんの演技に魅了されます。
 久美さんの動きは細やかであり、ダイナミックで、そして自然です。
 特に、恋している女性を演じている時の久美さんは、素晴らしいものがあります。
 相手に迫っていく時の視線の動き、指先の動き、手首の動き、足の動き、腰の動き……。緩急に富んだ動きで、滑らかで、なまめかしいです。恋する女性を演じている時の久美さんの仕草は、とてつも無く魅力的です。
 これは舞台の上の久美さんの最大の魅力でもあります。
 「ギヤマンの仮面」という公演で、桂登米子という名の、女優志望の田舎者を久美さんは演じたことがありました。自分のなまりを矯正してくれる先生に恋心を抱く桂。思い詰めた顔で覚悟を決め、パンティを脱いだり、諌められ、愉しそうに一緒に歌遊びをしたり、終わった後、じっと先生を見上げたりします。その辺の所作は正に述べたそのままです。
 「ムラサキ先生の多忙な愛情」での伊藤けい子という役でも、小説家先生に恋する女性を演じました。立ち去る前に切なげに見つめる数瞬、立ち止まり、うつむき、呟き、そして叫び、駆け寄り、四つん這いになって、上目遣いに迫る。「ラブラブ光線」という言葉が劇中に出てきますが、恋する女性を演じている時の久美さんは、それを全身から放射している状態なんです。
 久美さんの身体の動きには、華があります。これは恋する女性役に関わらずのこと。オーラがあるから華があるのか、華があるからオーラがあるのか。
 舞台の上の久美さんの仕草には、心を惹き付ける、見たいと思う……見たくなる魅力があるんです。それが、たとえ悲しいシーンだとしても。
 舞台を観るというのは、ある役の人生の一瞬を観ることでもあるから、役の個性・性格を、いつも的を射たところ以上のレベルで表現している久美さんの動きを見て、物凄い充足感・満足感を得ることができます。言い替えるなら、そういうことです。
 もっと単純な一面で言うなら、久美さんの仕草や動き自体に面白み・見ごたえがあるということ。「アリス・イン・ワンダーランド」のアリスが良い例かもしれません。コミカルで可愛らしい動き。特に「チエの輪」の真似をしたり、不思議の国の住人相手に自分が人間であることを、腕と足を上げ下げして表現したりと。面白みがあり、且つキュートな動きは何度、観ても飽きさせません。
 一方で色っぽい役、「踊子」の南マリや西ユキ、「シグナルとブランコ」の化粧の濃い女などでは、歩き方・座り方・足の組み方・化粧の仕方一つで、男性であれば100パーセント魅了されるであろう色っぽい所作を見せていました。
 久美さんの動きには見がいがあり、そしてバッチリ決まっているんです。だから何度、観ても、久美さんの役は飽きが来ない。


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