Liddell projuect 第一回公演
「恋愛戯曲」
◆ちょっとだけ突っ込んだ感想(原作本を読んでいないヴァージョン)◆



1.現実
2.『真由美』が書いた台本
3.『真由美』が書いた台本の中に出てくる主婦の『真由美』が書いた台本
 初日や2回目は私、三つの世界、2はまあ別として、後半になると1と3で戸惑うことがありました。これはどっちなんだろうって考えながら観るのも楽しかったですが、分かり易い目印があることを某氏から教えてもらいました。
 オカジュンさんの帽子もそうなのですが、照明も目印になっていました。中央のドアの上にある大きな照明のサイド、左右の照明です。まとめると以下の通り。
1.帽子:ピンク色 照明:オレンジ
2.帽子:派手派手 照明:赤
3.帽子:白色   照明:青
 鈍い私は、これを頼りに観ると凄い分かり易かったでした(笑)。感心するばかり。強盗カップルが喜ぶように『向井』が作ったダミーのシナリオの時は、照明が付いていませんでした。
 それぞれの場面がはっきり納得できると、観る楽しさはより大きくなりました。登場人物たちの微妙な違いを観るのも面白かったですし、これは『真由美』のどういう思いが現れての本なんだろうかと思いを馳せてみたり。
 観れば観るほど面白くなっていくこのお芝居、もう少し観ていたかったです。
 『真由美』が望んでいること、こうなってほしい、だったらいいな、と言う願望。『真由美』の本心。そういうのが現れたのがこの二つの本なんだろうなと、私は単純に思いました。
 2の『真由美』の純愛純愛した感じの場面も、3の『真由美』の“向井さん”とHすることになって大はしゃぎしている場面にしても。一人の女の人としての彼女の夢と言うか、だったらいいな、と言う願望にも思えます。そして、3で『寺田』から言われる現実の恋を選んだら殺す、と言う言葉は、脚本家としての彼女が持つ、恋をさせない理性みたいなものでもあるのかなと思いました。
 3の『真由美』のキャラがシーンを重ねる毎に、現実の彼女と変わらない感じになっていったのは、願望が本当にそのまま出ている結果なのかなと思いました。一人の女性として、恋愛をしたいと言う気持ち。
 “向井さん”への気持ちを本に閉じ込める、と言う、愛を葬る行為をした『真由美』はとても切ないなと思いました。“向井さん”とのやり取りを観ていると、『真由美』は本当に恋愛したいんだと言うのが、私は感じられたし、なのに……と思って、とても切なかったでした。
 名作を書くために、強盗カップルは本当は俳優で、やらせだった訳で、そんな中で『真由美』もお芝居していた部分はあったはずですが、“向井さん”に好きだと言う言葉や興味があると言う言葉をぶつけられたり、見つめられたりした時、彼女が見せる、きゅんとなっているだろう表情は紛れも無く本物だと思うし、そう思うとやはり切ないです。また、そういうところでの久美さんの演技も私はかなり好きでした。とても可愛かったです。
 同時に私は、脚本家としての自分を貫く姿が、凄く気高く美しくも見えました。美しいけれど、やっぱり切ない。そんな感じです。
 好きなシーンを上げ出すとキリが無くなりますが、一番、好きなのは、全てがバレて“向井さん”に抱き締められている中、名作って何ですかと問い掛けられて答えるシーンです。『真由美』に感情移入しているのかもしれませんが、抱き締められている姿に何と無く、彼女が感じているだろう喜びを感じるし、震え声で答える久美さんの演技も凄く素敵です。
 それから妙に心に残っているのは、ドラマの展開で強盗カップルたちが揉め出した時に、5人のプロデューサーから違う注文を付けられた時の話をする『真由美』。「真面目なコメディのスリルとサスペンス溢れるホームドラマのちょっとエッチな恋物語」と台詞を重ねていくのも上手いテンポで好きですが、だからあたし、違うこと言われても全然、大丈夫なのよー、みたいなことを言う姿が、(まあ当たり前のことを言っているみたいですが)何か本当に脚本を書いている人に見えてしまいました。凄いなと思いました。脚本家と言う職業性を強く感じることが出来たのは、脚本家と言う職業が芝居の重要な柱となっていることを考えると、かなり良かったポイントではないでしょうか。
 “向井さん”との出会いを打ち明けるシーンも、私は凄い好きです。シンプルな話なのですが、恋心を語る久美さんの演技の活き活きとした様がとっても素敵でした。
 でも彼女は恋をする人ではなく、恋を書く人。そして今現在の久美さんは恋をする人ではなく、恋を演じる人。重ねて見て色々と想ってしまうのは、さすがに深読み過ぎるでしょうか。

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