<アイリス・メモリアルショウケース>

久美さんがアイリスとして
活躍し続けている、
歌謡ショウのデータあれこれです☆



〜THE・夏コレクション〜
1997年〜2001年に渡って行われた
夏の歌謡ショウ、「サクラ大戦歌謡ショウ」について


演目 アイリスの役 歌った曲 踊った曲
(歌いながら踊った曲も含む)
愛ゆえに ミレーヌ
(舞台上には登場せず)
・ゲキテイ
・エチュード
・花咲く乙女
・ゲキテイ
(フィナーレ)
・ゲキテイ
・エチュード
・花咲く乙女
・ゲキテイ
(フィナーレ)
つばさ マリー
(紅蘭と共に主演)
・ゲキテイ
・愛しのジャンポール
・つばさ
・夢のつづき
・ゲキテイ
(フィナーレ)
・ゲキテイ
・お祭ダンス
・愛しのジャンポール
・つばさ
・夢のつづき
・ゲキテイ
(フィナーレ)
紅蜥蜴 千年杉のオババ
(舞台上には登場せず)
・これがレビュウ!
・チチンのプイ
・この世は楽し
・これがレビュウ!(改)
・ゲキテイ
・これがレビュウ!
・ウチャ!喜びの歌
(ちょっとだけ)
・チチンのプイ
・この世は楽し
・信じられること
・ひらめきの歌
・私の夏
・これがレビュウ!(改)
・ゲキテイ
アラビアのバラ バラの精霊 ・イッツ・ショウタイム
・私のお気に入り
・新しい未来へ
・夢見ていよう
・ゲキテイ
・イッツ・ショウタイム
・劇場へ行こう!
・スター輝く星
・ゲキテイ音頭
(休憩時間)
・私のお気に入り
・アラビアのバラ
・新しい未来へ
・夢見ていよう
・ゲキテイ
海神別荘 公子の腰元 ・花組レビュウ
・考える足
・ラムネの歌
・口ずさむ歌
・海の宴 花の宴
・花組レビュウ(フィナーレ)
・ゲキテイ
・花組レビュウ
・考える足
・夢の中の夢
・ラムネの歌
(仕草は決まっていたようなので)
・口ずさむ歌
・海の宴 花の宴
・この書物は
・花組レビュウ(フィナーレ)
・ゲキテイ


演目 印象に残った台詞.No1 着用した衣装
愛ゆえに 「誰もいな〜い! うえええええん!」 ・戦闘服
(本当は恥ずかしい久美さん)
・冬服
(更に大きく見えちゃう久美さん)
つばさ 「うん……さくらは先に……。いいの……。お願い……一人にしてほしいの……!」 ・戦闘服
(頭のリボンの材質が変わりました)
・ピンク色の羽根を背負った、白銀色のレビュウ衣装
(一番色っぽいアイリス)
・夏服
・マリーの衣装
〜黄緑色のワンピース
(劇中劇)
紅蜥蜴 「だってね! アイリスのチチンプイは誰にでも何にでも効くんだよ! ほらあ!」 ・ブルーとピンクのレビュウ衣装
・夏服
(ヒールからパンプスに変わりました)
・冬服
・白地に桜の花模様の浴衣☆
アラビアのバラ 「あー。ね、みんなが主役っていうことは、薔薇組のお兄ちゃん……お姉ちゃん? ああん。たちも、いつか主役やるのかなあ?」 ・白い燕尾服
・夏服
・紺色の浴衣
(休憩時間)
・ピンクと黄色を基調にした、花びらを思わせる衣装
(劇中劇)
海神別荘 「美味しそうだね」 ・ピンク色の羽根を背負った、ブルーとピンクのレビュウ衣装
・夏服
+ジャンポールのリュック
・和太鼓を叩く時の黒い法被
・煌びやかな腰元の着物
(劇中劇)


演目 パンフレットに寄せた久美さんの言葉
(一部を抜粋)
DATE
愛ゆえに 「今日は私、大の苦手な歌も精一杯歌います。そしてデッカくたって小さなアイリスになったつもりで思いっきりはしゃぎまわります」 97/7/19
〜7/21
つばさ 「公演中だけでいいから、真弓さんと身長をとりかえっこしてもらえないかなあー」 98/8/11
〜8/16
紅蜥蜴 「歌謡ショウの時だけでいいの、私を小さなジュリー・アンドリュースにして〜!! 理由はおわかりですよネ!」
(ジュリー・アンドリュース=「サウンド・オブ・ミュージック」のマリア役で有名な女優さん。元は舞台で活躍されていました)
99/8/4
〜8/7
アラビアのバラ 「舞台に立ってるデッカイ私の事をアイリスちゃんに見える貴方に、暖かい愛を感じます」 00/7/28
〜8/4
海神別荘 「西原はいろいろなギャップをのり越え、ますます頑張りたいと思います」 01/8/10
〜8/18



〜THE・冬コレクション〜
2001年〜2006年に渡って行われた
お正月の歌謡ショウ、「サクラ大戦新春歌謡ショウ」について


年度 歌った曲 着用した衣装
2001 ・これがレビュウ!改
・夜のサンバ
・ユーロ 恋の発車オーライ!
・希望
・夢のつづき
・ゲキテイ
・黄色い紋付きの羽織
・千年杉のオババの衣装
・ブルーとピンクのレビュウ衣装
・和太鼓を叩く時の黒い法被
・黒と白のフリルのドレス
(伝説の衣装☆)
・夏服
・ピンク色の羽根を背負った、ブルーとピンクのレビュウ衣装
2002 ・ゲキテイ
・君偲ぶ歌
・雲雀の歌
◎すみれメドレー
 ・スキャンダルはダメよ
 ・キネマ行進曲
 ・花咲く乙女
 ・ゲキテイ(改)
 ・夢見ていよう
 ・花組レビュウ
 ・新しい未来へ
 ・奇跡の鐘
 〜So special a day〜
 ・ユーロ 恋の発車オーライ!
 これがレビュウ!
・夢のつづき
・ゲキテイ(フィナーレ)
・戦闘服
・夏服
・和太鼓を叩く時の黒い法被
・ブルーとピンクのレビュウ衣装
2003 ・イッツ・ショウタイム
・恋は摩か不思議
・輝き
・春が来る
・君よ花よ
・ゲキテイ
・黄色の羽根を背負った、白い燕尾服
・小槌を持った、可愛い大黒天の衣装
・和太鼓を叩く時の黒い法被
・夏服
2004 ・カモナ浅草
・つばさ
・お国自慢ゲキテイ
・宝島〜勇気の旗を〜
・お花畑
・さくら
・ゲキテイ
・黄色い紋付きの羽織
・夏服
・ジムの衣装
・シルバー船長の衣装
・さくらの袴
2005 ・ユンホォア
・エチュード
・恋の出逢い
・口ずさむ歌
・ゲキテイ
・「ユンホォア」の中華風レビュウ衣装
・夏服
2006 ・夢のつづき
・ラジオでもやらない体操なこと
・チチンのプイ
・ゲキテイ
・夏服
・体操服ー!


年度 敢えて選ぶ特に印象に残った台詞 パンフレットに寄せた久美さんの言葉
(一部抜粋)
2001 「1富士2鷹、3なすびでアイリンス☆」 「とにかく初めてのお正月公演、しかも21世紀の幕開けのショウ!! プレッシャーもあるけれど、楽しみでしかたありません」
2002 「分かんないー! 分かんないー! 分かんないー!」 「私が不安そうな顔をしていると『くーちゃん、大丈〜夫』と明るい笑顔でギュッと手をにぎってくれたあったかいみちえさん」
2003 「へえ、そうなんだ〜」 「大阪の皆様、どうか優しい目でみてやってくださいね〜。よろしくお願い致します」
2004 「もう……待って!待って!待って! 待って待って待って待って待ってたんだからー!」 「年越しそばを食べたあと、友達と海へ行って大きなたき火をしばがらご来光を待つ……。なんてことを、若かりしころはやっていました」
2005 「ボスはみんなを幸せにするんでしょ……!? だからボスなんでしょ!」」 「5万円(はぁと)うふふーっ(はぁと)」
2006 「だけど……、一人が怖くて眠れない時そっとそばに寄り添ってくれたさくらのあったかさ……、舞台が怖くて泣いている時ぎゅっと手を握ってくれたレニの手の温もり……、落ち込んでいる時いつも笑わせてくれた紅蘭の優しさ……、誰もいないところから手が出てきて頭を撫でてくれたカンナの大きさ……、いつもアイリスを大人として見てくれたマリアの厳しさ……。みんなに愛されてるって、感じた……」 「今までで一番可愛いアイリスちゃんになりたいっ!!」


年度 挑戦したこと
(芝居と歌以外でやったこと)
備考・チェックポイント DATE & サブタイトル
2001 ・口上
・太鼓
・初めての新春歌謡ショウ
・可愛くはしゃぐ、千年杉のオババ
・伝説の、「夜のサンバ」を歌うアイリス
・高く高く舞台がせり上がっていった「希望」
01/1/3〜1/7
サブタイトルは無し
2002 ・ジャグリング
・太鼓
・すみれの引退公演
・紅蘭と言い合うアイリス
・おせちを嬉しそうに食べるアイリス
・大好きなすみれさん、美智恵さんの歌を歌う久美さん
・泣いてしまった久美さん
02/1/2〜1/6
神埼すみれ引退記念公演〜春恋紫花夢惜別〜
2003 ・太鼓
(締め太鼓に挑戦)
※コーラスが沢山
・初の大阪公演もあり
・アイリス大活躍の芝居
・アレンジされた、とっても素敵な「輝き」
・千秋楽ネタを今までにないぐらい用意した久美さん
03/1/3〜1/7
03/1/11〜1/12
初笑い七福神
2004 ・口上
・フランス語ゲキテイ
・大喜利
・皆が蕎麦を食べてしまったと勘違いするアイリス
・伝説のフランス語ゲキテイ失敗(笑)
・シルバー船長に扮して歌った、「宝島〜勇気の旗を〜」の圧倒的な美しさと凛々しさと格好良さ!

・大喜利でおにいちゃんをさくらと取り合いするネタを出すアイリス
04/1/2〜1/5
歌え!花組
2005 ・塩ビパイプ演奏
・「帝都散策双六」にて色んなこと盛り沢山!
・「エチュード」で客席に降りるアイリス
・レニとラブラブで歌う「恋の出逢い」
・「海神別荘」ラストシーン再現の大盛り上がり
・「口ずさむ歌」のアイリスソロバージョン
05/1/7〜1/10
笑え!花組
2006 ・和太鼓
・アクロバティックな体操
・大喜利
・最後の新春歌謡ショウ
・今までやってきた和太鼓の集大成、新春祝い太鼓
・花組みんなからの愛を感じて頑張ろうとしていた、自らの思いの丈を叫ぶアイリス
・アイリスの体操着!
・「ラジオでもやらない体操なこと」のアイリスの日替わりネタ
・ジャンポールとの共演による「チチンのプイ」
06/1/4〜1/8
跳んでる花組♪



●●●久美さんのアイリス●●●

 10歳そこらのフランス人の女の子。それを舞台の上で演じる……。
 確かに、それまで出ていたFOXさんの舞台でも、普段の久美さんからは想像も付かないような役を演じてきました。
 でも、フランス生まれの少女。ブロンドの、お人形さんみたいに愛くるしい女の子。それも8歳(「愛ゆえに」時)です。
 とは言え、元はデジタルの世界という特殊な形態、東京厚生年金会館という大きな舞台、客席との距離も比較的遠く、オーケストラの生演奏があり、照明も派手で、立派なかつらがあり、綿密なメイクがあり、ゲームそのままの衣装がある。
 言ってみれば、「現実離れした」舞台です。久美さんが自信無さげにしている、「久美さん」という存在を隠してくれるものが沢山ある。「久美さん」から「アイリス」へと変身させてくれるものが沢山ある。既にゲームでキャラクターが出来上がっていたとは言え、フランス人の少女というかけ離れた役を演じる上で、久美さんの性格上、これは多分に有り難いものであったかもしれません。
 同じ少女役でも、久美さん自身の魅力で勝負していかなければならなかったアリスとは違います。FOXさんの舞台とは勝手も違う。故にイベントとして考えれば、久美さんにとって気持ちもちょっとは楽だったかもしれません。実際、FOXさんの会報の中で、「サクラのイベントがあるから」という言い方をした時がありました。深い意味は無かったとしても、そういう意識は少なからずあったのかもしれません。
 けれど苦手な歌があり、苦手な踊りがあり、アイリスとはかけ離れて大きな自分(結果としてこれは、歌謡ショウならではの面白さ、おいしいところとなりましたが☆)、似ても似つかない顔を持った自分を、人がアイリスと見てくれるだろうかという大きな不安がありました。
 でも一方で、可愛らしい衣装を着せてもらうという単純な喜び、新たなお仕事に対する役者としての楽しみもあった。
 不安と期待が入り混じった状態からスタートした、久美さんのアイリスでした。
 そして。
 結果、久美さんのアイリスは多くの人に受け入れられ、認められ、ファンもいっぱい増えました。
 元より可愛い久美さんが、常に自分の外見に気をしている。そして何より内面的・先天的なこと。久美さんの中にある、輝くほどに可愛い部分が、久美さんの芝居を手伝い、舞台の上でもゲーム以上に可愛いアイリスを表現することができたのでした。
 新しいことを始めることに臆病だった久美さんは、「サクラ」のメンバーと出会うことにより触発され、新しいことを勉強する勇気を持つようになりました。
 その気になれば幾らでも頑張れる久美さんがそこにいたからこそ、アイリスはより魅力的になっていきました。
 継続は力なり。
 回りにいる「サクラ」のメンバー、スタッフさんたち、それからお客様の力に支えられ、久美さんはアイリスを続けてこられました。
 久美さんのアイリスはすっかり板に着き、今では笑顔一つ、悲しい顔一つで、心の芯を震わせられます。子供らしい仕草は今や当たり前で、台詞一つで心に可愛さを植え付けられるほどに、可愛らしいアイリスを演じています。
 歌も踊りも随分、上達なさり、伸びやかな歌声で情感いっぱいに歌い、難しそうなダンスも軽やかに踊り、決める瞬間はバッチリ決めています。苦労しながらも、踊れるようになることが楽しくなり、ダンスそのものを楽しめるようになりました。それでも自信は無いようだけれども、人に見せられる魅力は十二分にあります。アイリスではなく久美さんの色気を感じてしまう瞬間もありますが(衣装の露出具合、また、スカートがめくれ上がってしまった時)、久美さんが限り無くアイリスになってきていることは確かです。
 年齢とのギャップが気になり出した久美さんでもありますが……。
 それは、笑い飛ばせるんです。
 笑い話にしかならないくらい、久美さんのアイリスはアイリスしているんです。
 体力も気力も足らなければ、幾らでもあげるから、「やる」気持ちが久美さんにあるならば、いついつまでも頑張っていってほしいと思います。年齢なんかに負けず。
 夏の歌謡ショウは、2002年夏からスーパー歌謡ショウへとパワーアップ。場所も青山劇場へと変わります。久美さんは、アイリスは、宙吊り・フライングに挑戦します。
 かつて「アンコール! サクラ大戦」という「愛ゆえに」の写真集中、インタビューで久美さんがおっしゃっていました。
 次回があるなら、こういう事をしたいなということはありますか?
『(略)〜何かアイリスの超能力が発揮されるシーンがあるといいですね。今度はアイリスが飛んじゃうとか(笑)』
 本当に、その時が訪れるなんて……。
 久美さんが何の気無しにおっしゃったようなことが、時を経て、本当に現実のものとなりました。久美さんとアイリスは、とても素敵な舞台の中にいるようです。


●●●『本物』のアイリス●●●

「スーパー歌謡ショウ」を終えて……

 サクラの歌謡ショウが「スーパー歌謡ショウ」へと趣を変えましたが、ここに来て、久美さんのアイリスがますます『本物』へと近付いたような気がしますが、いかがでしょうか。
 サクラは普通の芝居と違い、ゲームが元にあり、私たちはそれぞれキャラクターを既に知り、観る上で出発点が違うと言えます。それは久美さんにとってもそうで、尚且つ、金髪のかつらを被り、ゲームと同じ格好をするという、とても日常から離れた状態で芝居をします。
 そうした中で久美さんのアイリスは、花組で最もゲームのキャラクターに近い印象を受けます。
 誤解の無いように言うと、同じ、ではありません。声だけの芝居によるゲームと違い、歌謡ショウでは舞台女優としての久美さんの個性や資質、呼吸、身体の動かし方などが基本になってくる訳ですから。そしてそこから出てくる魅力は、とてもたまらないものです。
 自分寄りに持っていったり、或いは自然とそうなっていったり、歌謡ショウというスタイルの中で面白く見せるために敢えて少し崩してみたりと、ゲームとはちょっと違った印象を受ける芝居をする役者さんたちの中で、久美さんは基本の状態にとても近いと思うのです。
 その久美さんのアイリスは、回を重ねる毎に子供に子供になっていきましたが、ここに来て、とても「生きている」という感想を覚えます。舞台の上のアイリスが、真に血の通った存在、本物の人間になりつつある。そんな気がします。ゲームが元にある、ということが足かせになっていたのかもしれませんが、架空の存在、という意識がどこかにありましたが、今のアイリスは、久美さんがFOXさんで見せるリアルな芝居と同等になりつつあるように思います。
 無論、現実にいるはずの無い存在ですが、「架空」という枠の中で、とてもリアルな存在になってきたと思うのです。
 表情の豊かさ、台詞回しの絶妙さ、目を捉えて離さない仕草や立ち居振る舞いが、見がいのあるものに加え、とてもリアルな空気を出すようになってきたと感じるのです。歌や踊りだけでなく、芝居もまた蓄積され続け、実を結び始めたことによる成果でしょう。上述した久美さんのアイリスの弱点、スカートがめくれた時などに久美さんの色気を感じてしまうことが、スカートの下が子供らしく可愛らしいものに変わったことで克服されたせいもあります。
 久美さんのアイリスが、凄く血の通った存在になりつつある。
 私個人の胸の内を述べますと、可愛い、愛おしい、というものに加え、『お母さん』のような気持ちが出てきました。どうして、『お父さん』ではないのかは分かりません。「ゲキテイ」を歌い踊っているアイリスに対して、頑張ったね、という、自分の中で母親としか表現できない、今までに無い気持ちが萌え出づるようになったのです。
 これもまた、久美さんのアイリスがますます、生きている存在、『本物』になってきている証かもしれません。歌謡ショウを観ている間、観客である自分は太正時代の人間、それが大袈裟であっても、アイリスと同じ「架空」という枠の中にいる存在なのですから。同じスタンスにいるのだから、久美さんのアイリスは凄くリアルになっている、と、むしろ言い切っていいかもしれません。
 久美さん=アイリスという意識を持つ人がいるのも無理からぬことです。これは久美さんの芝居に完全に引き込まれているという証。FOXさんで久美さんが演じる様々な役と同じことです。
 久美さんの芝居全てのレベルが上がっていると言えます。これでひとたびFOXさんの舞台で、大人の女性など様々な役を演じれば、更に凄みを増した久美さんの演技を目の当たりにすることができるでしょう。
 アイリスは、久美さんの魅力のほんの一部です。それでいて今、大きな存在です、久美さんにとってもファンにとっても。
 そう思うと、久美さんの可能性の、何と広く凄まじいことでしょうか。

「アリス〜」、「スーパー歌謡ショウ」と終えて……

 2002年、久美さんは舞台の上で二人の少女の役を演じました。一人は「アリス イン ワンダーランド」のアリス・ドッジ。一人は「歌謡ショウ」のアイリス。
 この二人を久美さんが演じたことで、同じ少女役、似た語感の名前、そして双方とも素晴らしく可愛いといったことから、イメージ先行でしょうか、両者を似たようなものと、一緒くたにしてしまう口さがない言葉を、インターネット上でたまに聞くことがあります。
 しかし、アリスとアイリスは全く違います。似たようなもの、一緒、なんて言葉は、表面しか観ていないだけの、また、久美さんに対して思いやりに欠けた言い様でもあると思います。
 アリスとアイリスは、それぞれ別の魅力を持った、素敵な役です。
 生まれや育ち、物語の背景は元より異なりますから、これらの点はなるべく抜きにして、久美さんの演技から感じられることを中心にお話してみます。
 まず、可愛さからして、質が違います。アリスは、からっとした可愛らしさを持っています。一方、アイリスはしっとりした感じの可愛さ。台詞回しや声のトーンに含まれている、言わば湿度が違います。
 それは性格の違いも影響していることでしょう。
 アリスは前向きです。諦めず、怖じ気づくことを知りません。アイリスも前向きな方だと言えますが、精神的に打たれ弱い面があります。仲間がいるからこそ、勇気を発揮する子です。
 アリスは強い子です。アイリスも強い子は強い子ですが、弱い部分が目立っている印象があります。
 また、湿度の話になりますが、からっとした明るさを持っているのがアリスです。アイリスも向日葵のような明るさを持っていますが、優しげな明るさ、と言えます。
 好奇心旺盛な点についてはアリスが上であり、そのせいもあって失敗もあります。失敗を恐れない子でもあります。一方、アイリスは繊細、ナイーブである、というところが大きな違いでしょう。二人とも優しい子には違いありませんが、その優しさも、アリスの方が幼いと言えるでしょう。
 実際、現時点ではアイリスの方が僅かに年上であります。久美さんが意識しているかどうかは定かではありませんが、アイリスの方が大人びています。物腰、立ち居振る舞いが、アイリスの方が断然、女の子らしいと言えます。
 同じように無邪気であっても、喜び方、笑顔が弾けているアリスに対し、アイリスはちょっと落ち着いた、女の子らしさを忘れない感があります。泣き虫、という点に至っては、もう泣き方からして違います。アリスはまだまだ子供です。この点を持ち出すのはずるいかもしれませんが、アリスはずっと子供でいたい、というのに対し、アイリスは子供扱いされることを嫌い、早く大人になりたいと思っています。
 可愛い、という話に戻りますが、二人ともたまらなく可愛いです。が、守ってあげたい、と思える可愛さを持っているのがアイリスであり、一緒に冒険したい、と思える可愛さを持っているのがアリスであると思います。二人の強さの違い、子供っぽさ・女の子らしさの違いが、内面から可愛らしさを形作っているため、そこからして違うのです。
 また、久美さんの物の言い方を借りれば、アイリスの方がぶりぶりした感が多分にあります。
 アリスは、久美さんという人が感じるがままに、役者としての本音で演じた、とても久美さんという役者の自然体に近い役です。久美さんと、アリスとの距離がとても切迫していました。
 一方アイリスは、大人っぽくならないよう気を付けながら、回を重ねるごとに子供に子供になってきた、それが凄みを増してきた役であると思います。
 何より、演じるにあたっての久美さんの構えが違うのです。
 もっと言うなら、久美さんの演技から出ている熱も違います。花組の一人として、歌謡ショウの舞台で今まで続けてきたアイリス、これからも続いていくアイリス。そして花組という家族の一人。一方、アリスは言うまでもなく主役であり、ストーリーテラーという唯一の脇役でもあり、久美さんとしては演り収め、一回こっきりの役です。その違いから出ている、久美さんの演技の迫力も違い過ぎるくらいに違い過ぎます。殆ど出ずっ張り、という、久美さんの体力との戦いからくる必死さもあるかもしれませんが、アリスには圧倒されるものがあります。
 アリスもアイリスも可愛らしく、久美さんは、語り尽くせない魅力を持った少女に演じ上げています。二人とも、久美さんにとって大切な役です。
 似たようなもの、一緒、という言葉は、余りに哀し過ぎます。そういった言葉で片付けてしまう人は、もっとこの二つの役を大切にしてほしいなと思うのです。


●●●アイリスを背負う久美さん●●●

 「サクラ」では歌謡ショウの他でも、イベントとしてステージに立つ機会があります。「アイリス」のかつらも衣装も無い、私服で、久美さんのまんま登場する訳ですが、そうした時、久美さんには気を付けていることがあるそうです。
 「西原久美子」として人前に姿を見せる時でも、「アイリス」のイメージを壊さないよう努力している。
(「サクラ前線2004」福岡より)
 これは多分、驚くほどのことでは無いでしょう。
 過去の作品でも、自分が前に出ることで、ファンが持つキャラクターのイメージが壊れてしまうのを危惧されていたこともありました。
 久美さんの気弱な面、久美さんの優しさ、久美さんの見栄、等々、久美さんの性格的な面もありますし。
 その心構えを久美さん自身、過去のイベントで実行できたかどうか定かではありませんが、大人しくもあり、それでいて、ぽろっと口を滑らせたりもする無邪気さもあり、キャラクターのイメージを壊すということはありませんでした。
 歌謡ショウのDVD特典として恒例となった、「花組カメラ」の方が分かり易いかもしれません。
 カメラの前でおどけてみせたりはするものの、羽目を外すことは無く、基本的には落ち着いています。常に可愛い表情、綺麗なお顔を見せています。実際、その辺は意識されていると思います。過去、FOX公演でも、写真を撮らせて頂く時は、しっかり表情を作っておられました。
 数年前は、自分=「アイリス」そのまんまと見られるのに、些か抵抗があった久美さんですが、変わってきたのかもしれません。
 いえ、変わったと言うのは語弊があるでしょうか。「アイリス」であることに常に努力を重ねているのは今も昔も変わらずですし、大きく広がった「サクラ」の世界を肌でより感じ、また「アイリス」というキャラクター、それを囲む仲間たち(役者さんたち)のことがより好きになったということでしょうか。
 私個人の目からして、久美さんは久美さんです。「アイリス」ではありません。分別のある、でもちょっと天然な、素敵な大人の女性であると思います。
 ただ、「アイリス」を演じ続けてきたことで、広井さんの目からすると「日常(少なくとも稽古場では)でもアイリス」と言うように、久美さんと「アイリス」が混じり合ってきたことは確かでしょうし、だからこそ、¨「西原久美子」として人前に姿を見せる時でも、「アイリス」のイメージを壊さないよう努力している¨と言うことに、余り驚きを感じないのかもしれません。
 いつも通りのように思える久美さんだから。
 久美さんがそんな努力されている一方で、このHPでは、「アイリス」のイメージをある意味、壊してしまいかねないことが沢山、書かれています(過去のFOX公演やご出演作品のことで)。その是非は難しいところですが、それら全てをひっくるめて久美さんであるし、そんなことで「アイリス」が嫌いになるほど、久美さんが演じる「アイリス」の魅力は半端では無いはずです。
 その上で「アイリス」を演じる久美さん、イメージを壊さないようにと努力する久美さんを受け止め、久美さんを好きになってほしいと思う次第です。
 そしてまた、「アイリス」のイメージを吹き飛ばすぐらいの威力を持った、久美さんの他の舞台も見てみたいというのも偽らざる気持ちです。


●●●久美さんとアイリスの10年●●●

 2005年、夏のスーパー歌謡ショウ「新・青い鳥」で、アイリスが「つばさ」以来となる主演を張ります。しかし、ファンなら多かれ少なかれ感じているかもしれませんが、主演の二人以上に目立つであろう多数の豪華ゲスト、広井さんの中でのアイリスの扱い、初期のものに近い雰囲気の二幕に戻る、などなど、期待に匹敵するほど不安あり緊張感ありです。
 でもまあ、幕が開いたら、抱いていた思いなど最初から無かったかのように、アイリスが主演であるスーパー歌謡ショウの瞬間瞬間を楽しみたいものです。一度しかない、記念すべきショウなのですから、後には良い思い出だけを残したい。そんなショウになる期待を、今は育てたいと思うこの頃です。
 と、それはさておき。
 久美さんがアイリスになって舞台に立ち、もう9年目を迎える訳です。歌謡ショウのラストとなる2006年には、10年。口で言うには簡単ですが、これはとてつも無い月日です。子供だったのが社会人に、は言うに及ばず、大人、しかも女性であれば、人生観やら結婚観、ものの考え方まで変わってしまうような長さなのではないでしょうか。
 それほどの長い間、久美さんはアイリスを演じてきました。女性で10年、歳を取るのはそれはもう大層なこと。しかし、舞台の上で久美さんは、ただの少しも陰ること無く、天下無敵の可愛さ、天真爛漫なアイリスを演じ続けてきました。
 陰るどころか、年々、磨きが掛かっていきました。より可愛く、より愛らしく。
 舞台で同じ役を10年。これは物凄いことです。何か本当に、さるところから賞をもらってもおかしくないです。既に久美さんの役者人生の2分の1近くを占めた、このような役、このようなお仕事はもう2度と無いことでしょう。
 さて、私たちは歳を食いますが、舞台の上のアイリスは歳を重ねることなく、毎年、私たちの胸をきゅんとさせたり、微笑ませたり、じーんとさせたりしてきました。で、様々なメディアで、久美さんご本人のお姿も拝見する訳ですが、まあ女性に歳の話はあれなのですが、久美さん自体、本当に歳を取っているのかと疑いたくなるほどにお変わり無く、美しいです。歌謡ショウの10年間、久美さんとアイリスの時間は止まったままなのかもしれません。
 変わったのは久美さんの中身。技術力と言うやつでしょうか。歌や踊りや大きな劇場での芝居、久美さんが得たものは膨大です。そして、年齢に関係無く新しいことに挑戦しようとする気持ち。それから私たちファンには見えない、苦悩や修羅場。
 久美さんが成長し、変わっていっているからこそ、アイリスは毎年、変わらずアイリスで、あの無邪気さと可愛らしさをパワーアップこそすれ、変わらず維持できるのだと思います。そうして、私たちの心を掴み続ける。
 他のキャラクターについては分かりませんが、歌謡ショウの現場に毎回、行っている身としては、アイリスのファンは増えている一方な気がします。
 アイリスはちっちゃいです。しかし、舞台のでっかいアイリスを観て失望する人など、今やどこを探してみてもいないでしょう。久美さんの努力が作り、久美さんの個性が滲み出た舞台の上のアイリスは、久美さん言うところのギャップなど少しも気にさせない魅力を放っています。はっきり言って、幾ら若くて背の小さな女の子が舞台でアイリスをやってみたとしても、久美さんのアイリスの足元にも及ばないことでしょう。
 日本人でアイリスよりもずっとでっかくて年上の久美さんが、一朝一夕ではない長い月日を重ねて頑張っているからこそ、あの舞台の上のアイリスの可愛さ、輝きはあるのです。
 ご謙遜な笑い話とでも言うのでしょうか、ギャップの話は今だに久美さんの口から持ち出されますが、これに失望する人がいるとは、今や久美さんも深刻に思ってはいないでしょう。舞台の上のアイリスも愛してくれている人が沢山沢山いると言うことは、この約10年で分かってくれているはずです。
 ギャップの話は言わば共犯関係、と言うお遊び。そうも思っている余裕も、私は久美さんから感じます。これも、この10年近くで久美さんが得たスキルと言うやつかもしれません。


●●●ラッキーだったこと●●●

 この夏、2006年8月、歌謡ショウが終わりを迎えます。ラッキーなことに、私は10年間、「愛ゆえに」から全ての歌謡ショウを観ることができました。だからと言って、何かを語れると言う訳ではないのだけれど、生の威力はそれは偉大でした。
 「つばさ」のラストで、客席を巡る白いライトに照らされながら聴いた「つばさ」、昔の歌謡ショウでそれは一番はっきりと覚えている感動。「新編八犬伝」の「星よ」で、アイリスがふわりと飛んだ時の、鼓動が跳ね上がり鳥肌が立った瞬間。「歌え!花組」でアイリスがフランス語ゲキテイを間違えた時の、とんでもない盛り上がり。「新・青い鳥」の三幕で、「希望」を歌い出すアイリスの気持ちが入った歌唱、胸が震えるなんてものじゃない、空間を埋め尽くさんばかりの力を持った歌声。
 DVDを見るのは楽しいことですが、実際に劇場で生で観て感激してきた者としては、「こんなものじゃない、もっともっと凄かったんだ」と言う気持ちが偶に出てきたりもします。収録出来る舞台の要素に限界がある、目には見えない生の匂い、生の風までもは収録できない映像。当然のことではあるけれど。
 故に生で観ることが出来たこと、生で観て思い出になるほどの感動を味わえたこと、これはとてもとても幸せなことでした。ラッキーなことでした。単純な話では、アイリスと目が合ったり、アイリスに声援・掛け声を送れたり、アイリスに手を振ってもらえたり、そうしたことだって。
 そして10年も観てきて、帝都花組の歌謡ショウは自分にとってある意味、実家、と言うか地元みたいなものになっていたようです。実際、ここ数年、お盆もお正月も本物の実家には帰らず、新宿や青山に帰省していく、そんな状態になっていました。それに、紐育花組のレビュウショウを観た後に、帝都花組の歌謡ショウのDVDを見た時、何だか懐かしいような、ほっとしたような、自然と頬が緩むような、そんな気分にもなりました。
 もっと単純な話では、歌謡ショウに足を運んで、実際に久美さんが演じているアイリスに出会わなければ、久美さんのファンになることも無かった。そう思うと、劇場に足を運ぶことが出来たのは、とてもラッキーなことでした。
 10年間、久美さんが歌謡ショウに出られたこと、アイリスになれたこと、それは言うまでも無く、久美さんにとっても幸せなこと、ラッキーなことだったと思います。
 一ファンから見たら、それは久美さんが役者として培うことが出来た技術や経験値であったり、喜びや苦労や失敗や達成感であったり、得難い仲間との楽しい時間であったり、アイリスが舞台に立って客席からもらった何かであったり……。一つの劇団に所属したのと同じぐらいの、年月と濃さであったと思います。
 久美さんが手に入れた10年も、私が手に入れた10年も、もう直ぐ終わりが来る。正直なところ、夏が来ないでほしいと思っています。久美さんの舞台を観たり、久美さんの舞台を待ち焦がれたり、久美さんの出演作品に萌えたり感動したり、百々麻子さんに会いに行ったり、ジェミニ可愛いなーと思っていたり、永遠に8月なんて来ないで、ずっとそんな風に過ごしていたいです。
 最後の歌謡ショウが行われることが正式に発表されての、ちょっとした所感でした。


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