<狐色のタイムカプセル>



〜第三幕〜


2004年6月29日〜7月4日-新宿シアターサンモール
第54回公演●(8回全部)
   「森乃女学院千一夜物語
         〜青い時代の娘たち〜」
   月子役
 明治時代、女性たちが虐げられ、今のように自由でなかった時代の 女の子たちを、現代の女の子たちとリンクさせつつ描いたお話です(オムニバス形式みたいな流れです)。
 久美さんは明治の方、エピソードの一つにご登場。上は蝶の意匠が入った柔らかい桜色・下は紫色の袴姿で、赤と黒の草履に白い足袋を履いていました。頭には千代紙みたいな色合いのリボンを付けていました。髪の色はちょっぴり薄茶色で、そして三つ編み、頭頂部は古風に結い上げられていました。難しそうな感じでしたが、いつも、ご自分でやっていらしたそうです。
 滝廉太郎の弟子にして彼のことが好きな「環(たまき)」、同時に自分の歌を多くの人に聴かせてあげたいという夢を持つ彼女の親友を、久美さんは演じました。
 滝に求婚され、そしてドイツに留学する滝のことを素直に喜べない環。彼女は悔しい気持ち、本当は自分がドイツに行きたかった、という思いを胸に閉じ込めていたのでした。久美さん演じる「月子」は、悩みを抱え、様子の違う彼女を心配したり、結婚話に驚いたり、親が選んでくれた相手と結婚すると言うこと……それを受け入れている自分や皆の生き方を話しつつ相談に乗ったり、そして励ましたり、叱り付けたりします。
 「環」の様子を察し、気持ちを察し、言葉を掛けようとするまでの、久美さんの表情が特に見事であったと思います。大きな表情の変化は無く、むしろ無表情にも近いのですが、「環」を心底、本当に思いやっている「月子」、どうしてあげるべきか懸命に模索している「月子」の思いがしっかり伝わってきました。
 こういった受け手の役は今まで殆ど無かったせいもあり、また、様々な表現の仕方、色々なやり方が出来る演技だったため(演出との兼ね合い含め)、そういう意味で、役作りがとても困難だったそうです。
 これはおまけエピソードですが、2日目の楽屋で、「ケープ」と間違って、何とハードスプレーを顔に噴射してしまったそうです。本人は笑っていたものの(笑)、周囲は大慌て。着替えさせられ、髪を末次加奈さんや松本貴子さんに髪を持ってもらって顔を洗ったそうです。
 また同じく楽屋ネタで、久美さん、今夏のスーパー歌謡ショウの歌を楽屋で練習していたそうです。劇団員さんたちも何人か、久美さんと一緒に歌い、ちょっとだけ覚えてしまったとか何とか。
レポート【劇団21世紀FOX第54回公演「森乃女学院千一夜物語〜青い時代の娘たち〜」】

2005年6月30日-劇団21世紀FOX
久美さん、ご退団。
 2005年に入っての、新生21世紀FOXとしてのスタートに見られる、劇団内部の変化を始めとした諸事情により、2005年6月30日を以って久美さんはお辞めになられました。
 久美さんは、おおよそ21年半、創立メンバーとして劇団を支え、看板女優として頑張ってきました。
 久美さんの役者人生のスタート地点であり、久美さんを舞台役者として1人前にしてくれた場であり、多くの仲間が出来た場であり、久美さんがとても愛し、自分が劇団員であることに誇りも持っていた劇団でした。
 沢山の役、膨大な稽古の日々、多くの失敗、プロダクション移籍、初めてのプロデュース公演、楽しかったこと、辛かったこと、家族のように過ごした劇団員さんとの日々、数え切れないほどの思い出があったことと思います。
 ファンとしては、久美さんの生身の舞台を間近で観られる場、久美さんと接することが出来る場が消えてしまうことは寂しいことであり、そして何より久美さんが大好きで誇りに思っていた劇団を離れなければならない苦渋を思うと、辛いものがあります。
 が、久美さんの役者人生の新たな可能性が開けた訳でもあります。今までの本公演のスケジュール(久美さんが出る出ないに限らず)から見合わせざるを得なかった客演、既に退団された特に世代が近いFOX仲間との芝居、或いは久美さん自らプロデュースによる舞台など、期待も膨らみます。
 退団されたと言っても、FOXさんの仲間や肝さんとの縁が切れる訳では勿論無いですし、付き合いはずっと続いていくことでしょう。公演をお手伝いしたり、お手伝いされたりすることもあることでしょう。
 久美さんの役者人生はまだまだこれからです。今まで以上に応援していきましょう!

The End & To Be Continued!



 総出演本数(地方公演は全て一本として引っ括めて)
      全43
 久美さん、劇団21世紀FOXでのご活動、今まで本当にお疲れ様でした。今後の更なるご活躍を心よりお祈りします。
「メチャメチャ努力を重ねている。−いい結果を残したいから。
脳みそが生み出す発想と毎日正面から向き合い戦い共存する。
生まれて来い!新生命体、動き出せ!芸術よ!−結果。そう、結果である。
求める完璧は発想の先に凛々しく君臨している。
それを求めて今日も稽古、稽古、稽古・・・達成しなければ何もならない。演る意味がない。
今思う。確かに作品は追求し達成しなければならない。
しかし、果たして人が生きていくという事は?
達成できたできないではなく、何を達成しようとしていたか・・・
そこに向かってどこまで馬鹿になれたか・・・
成し得ようとしている人間が素敵に輝く。」
(久美さんが感銘を受けた岸谷吾郎さんの文章より)
 「馬鹿」になって、これからも久美さんなりのやり方で頑張り続けて下さい!


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