〜SPECIAL THANKS : Kana Suetsugu〜

<狐色のタイムカプセル>

1983年末〜2005年6月30日
久美さんご出演の
劇団21世紀FOX公演
全上演記録



 勉強不足なため、正確さ、コメント等まだまだ不完全ですが、何卒ご容赦下さい。今後、久美さんを応援していく中で、120%目指して埋めていきたいと思っています。
 印が付いている公演は私がビデオで見たもの、印の公演は私が生で観たものです。
 この場を借りて、過去のビデオ等をお貸し下さった諸先輩方、そして情報を提供して下さった「めーさん」に深くお礼申し上げます。ありがとうございます。本当に感謝しています。皆様がいなければ、このコーナーは有り得ませんでした。



「これだけ稽古したんだから大丈夫……」
そう言い聞かせて
久美さんの中に落ち着きが生まれます
「よし!」
本番前に皆で円陣を組んで
久美さんの中に落ち着きが生まれます

おおよそ21年半もの間
久美さんの舞台はそうして始まってきました



〜第一幕〜


1984年4月5日〜8日-大塚ジェルスホール
旗揚げ公演
   「十一人の少年」
   ハナちゃん役
 劇団21世紀FOXさんの旗揚げ公演。肝付兼太さんは劇団結成前からこのお芝居を、と決められていたそうで、実際に劇団を起こす際、出演する役者の人数分、メンバーを集めたとのことです。
 創立メンバーは……
忍野タケルさん(現・宮下タケルさん)
浅川レオさん(現・河本浩之さん)
飛矢馬剣さん
(退団されました)
松尾貴司さん (現・松尾まつおさん。退団されました)
黒瀬浩二さん
高橋響子さん
(「エナケン・ファイナル」を最後に退団されました)
速見圭さん
(退団されました)
奈々瀬唯さん
(退団されました)
久美さん
(正確には、劇団が創立されてから3ヶ月後)
竹田愛里さん
 の、11名です。
 久美さんの記念すべき初舞台です。元々は台本に無い役で、肝付さんが付けて下さったそうです。ぬいぐるみを抱いた幼稚園の女の子の役です。
 奈々瀬唯さんに、「いじらせて、さわらせて」(久美さんが抱いているぬいぐるみを)と、危ない(演出上、そうなるように?)台詞を言われちゃいます。「いやんいやん」というのが、久美さんの台詞になります。
 こんな面白エピソードもあります。
 中盤から後半に掛けて登場する役ということで、それまでは受付を担当しなければならなかった久美さん。予めメイクをしておこうと思った久美さんでしたが、まだやり方が分かりません。赤だの青だの塗りたくっているうちに変になり、ごまかそうとサングラスを掛けてみたら更に変になり……。お友達から、「とうとうアングラ系の人になっちゃったんだね」と言われてしまったのでした。
 この舞台が再演されるという話がたまに持ち上がるそうですが、凄いエネルギー、熱があったこのお芝居(新・十一人の少年ではなく、この最初のもの)を超えるものはもうできない、だからやらない方がいいんじゃないか、というのが久美さんの思いです。

1984年9月27日〜10月1日-渋谷スタジオダック
第2回公演
   「グッドバイ・挽歌RAブルース」(二本立て)
   ???役
 とっても狭い劇場だったため、久美さんはメイクを何と外でされたそうです。今では考えられない話ですね。新人時代のちょっとした苦労話。
 松尾貴司さん(現・松尾まつおさん)の初主演の舞台であり、鹿島灘之さん(現・鹿島ぼんさん。現在は休団中です)の初舞台です。

 久美さんは出演されていませんが、
1985年3月7日〜10日-下北沢ザ・スズナリ
第3回公演
   「碧い彗星の一夜」
 高橋響子さん初主演の舞台であり、山口勝平さんの初舞台です。
 詳しくは、再演−第8回公演にて記述。
*小劇場ブームだったこの頃、ぴあ主催の「メジャーBコンステスト」(メジャーになりきれない劇団のコンテスト)にFOXさんも参加。久美さんは他の劇団仲間と共に、¨電話のコマーシャル¨を短い芝居(コント)でやって、見事、優勝し、賞品の留守番電話をゲットしたのでした。

1985年7月17日〜21日-新宿タイニイアリス
第4回公演
   「月夜とオルガン」
   オリエ役
 久美さん初主演の舞台! 16歳の少女、もてもて女子高生の役です。役者になることを反対していたご両親は、このお芝居をご覧になって、許して下さったそうです。
 久美さんがおっしゃるに、主演を射止めた裏話は至って単純で、女の子の中で一番、若かったからそうです。久美さんにも若い時があったのです(笑)。
 久美さん演じる女子高生と黒瀬浩二さん演じる青年教師、二人のラブロマンスを描いた、ミュージカル仕立てのお芝居。夜空を眺めて愛を確かめ合うという、素敵なシーンがあったそうです。
 因みにもし今、再演されるとしたら、久美さんの頭の中では、ちょっとエロめのモモコ役、或いは悪の雰囲気漂う女教師役、とのことです。現在、女子高生オリエを演じることは、久美さんとしては非常に恥ずかしいようです。

1985年11月6日〜10日-下北沢駅前劇場
第5回公演
   「虎☆ハリマオ」
   ???役

1986年2月18日〜23日-下北沢ザ・スズナリ
第6回公演
   「私の青空」
   梅子役
 少女趣味なお部屋にぺたんと座り込んで、お人形らしものを掲げている写真が、とある雑誌(アニメディア1986年4月号)に掲載されています。人形作りを内職としている梅子(詳しくは、再演ー第27回公演にて後述)ですから、十中八九、再演時と同じ役であったと思われます。

1986年7月8日〜16日-銀座みゆき館小劇場
第7回公演
   「霧の中の少女」
   ソープランド嬢=小悪魔役
 旧訳聖書を下敷きにした作品です。
 久美さんの役を知ってから、私の頭の中はこの役のことで頭がいっぱいです(笑)。
 「ユダ」役の肝さんを¨お風呂¨の中で翻弄するというシーンがあったそうですが、余りに色気の無い自分相手に大変だったろうな、と回顧する久美さんです。

1986年11月18日〜24日-下北沢ザ・スズナリ
第8回公演
   「碧い彗星の一夜」(再演)
   ???役
 結核患者として隔離されている少年、ワタルが、サナトリウムの屋上から深夜、親友のリンタロウと共に冒険の旅に繰り出していく、というお話です。冒険と言えば、敵役が付きもの。結核患者を毒殺し、その患者の結核菌と地球に迫る彗星のエネルギー、そしてカバラの秘術を使って、死者を蘇らせて意のままに操ろうとする。それが敵役、カリノ・ヤドリ博士。
 風呂敷をまとった、フロシキンと名乗る変わった男や、患者を毒殺する、したり顔の悪女な看護婦、半ズボンを掃いた、ちょっと偉そうな探偵など、濃いキャラクターたちが登場して物語を引っ掻き回す冒険活劇です。これはミュージカル(物語)、自分は主役、といった風に、劇中で言及しているところもポイントかもしれません。
 ラストは、リンタロウを殺され、ワタルはカリノ・ヤドリ博士に敗れてしまうのですが、これは全て夢。でも夢は見続けなくてはならない。ハッピーエンドで終わらない、この時代を生きていかねばならない。「そういう病気」なんだとお父さんに告げられ、彗星は地球を通り過ぎていきます。
(第52回公演 音楽劇「碧い彗星の一夜」
          〜ファンタジィ バージョン〜より)
 この第8回の再演と第3回の初演では、響子さん演じる少女(ミネ子)が夢の中で少年となって、冒険に繰り出していくという形で、他にもラストなど違う箇所はありますが、こんな雰囲気の舞台だったということで。
 久美さんが演じた役は不明ですが、当時のチラシのキャストの位置や、当時の久美さんの役者としての格を考えると、バックを固める「○○○たち」という辺りであったかもしれません。

1987年3月25日〜31日-下北沢ザ・スズナリ
第9回公演
   「BUDORIー眠れぬ夏の月ー」
   ???役
 聖アレキセイ病院、通称「夏の病院」と呼ばれる精神病院が舞台。主役は劇団21世紀ドッグスの劇団員、六。
「とある少女が、マブセ博士に誘拐されて病院の塔に幽閉された……。彼女を助けるために主人公の少年は見学を装い、病院に入り込み、探偵は患者に化けて院内に潜入した」
 そんなストーリーのお芝居を今度やるという彼は、精神病院というものについて参考にしたいと、「夏の病院」を訪れます。しかしそれは表向きの理由。お芝居の内容と同じことが、この「夏の病院」にも起こっているのでした。少女を助け出そうとする六と、探偵の野武。ところがマブセ博士は宣告してきます。劇団21世紀ドッグスとは病院内にある劇団であり、六と野武はここの患者。六とは、ブドリという無眠症の少年が見ている夢(起きながらにして見ている夢)の存在に過ぎない。果たして、何が本当なのか……。
 「幽閉された姫を救い出せ!!!」
 久美さん曰く、RPG調のお話で、その通り、少女を助けるため六と野武は謎解きをしながら塔を登っていきます。脚本を読む限りでも、舞台映えするものだと思いました。
(而立書房刊・北村想さん著「想稿・銀河鉄道の夜」を参考に記述)
 久美さんが何の役だったか非常に興味深いところです。

1987年5月-下北沢駅前劇場
座組企画公演参加
   「アリス・イン・ワンダーランド」
   アリス役
 FOX本公演としてではなく、本多座組という劇団の公演に参加させてもらったという形です。
 FOXさんでのやんちゃなアリスと比べると、しとやかなアリス、ウェットなアリスであったそうです。良家のお嬢さま、という色合いが強かったようです。それ故、足を開いて立ってはいけなかったとのこと。

1987年8月2日〜9日-下北沢・ザ・スズナリ
第10回公演
   「日曜日ナビはオルガンを弾いた」
   デン子役
1987年9月-川崎多摩市民会館
宮沢学園高校公演
   「日曜日ナビはオルガンを弾いた」
   デン子役
 第46回公演・改訂版「日曜日ナビはオルガンをひいた」を、久美さんはご覧になった折り、過去に自分がやったこの役を思い返し、目で追っていたそうです。元気かつ可愛らしい女の子、デン子にぴったりな、溌刺とした髪型でした(劇団21世紀FOXさんのHPより)。
 鹿島灘之さん(現・鹿島ぼんさん)の初主演(ナビ役)の舞台です。

1988年4月5日〜12日-下北沢ザ・スズナリ
第12回公演
   「踊子〜THE DANCER MURDER CASE〜」
   大場春菜役
 一城みゆ希さんが演じた、ホテルのオーナー、大場虹子の妹役です。この後の二度の再演においては、それぞれ百々麻子さん、竹田愛里さんが演じておられます。再演において久美さんが演じた南マリや西ユキにおける、ちょっとげすな雰囲気を思い浮かべると、気性の強いところと言うか、刺々しい物言いも案外、想像し易いかと思います。
 序盤、ムーピーというペットのハムスターが死んでしまったせいで不機嫌な彼女が、ナイフを玄関の柱に思い切り突き刺すシーンがありますが、刺し込む場所がきっちり決まっていて大変だったそうです。
 かの、山口勝平さん初主演の舞台です。

1988年7月26日〜31日-新宿シアターモリエール
第13回公演
   「虎☆ハリマオ」
   サラマンダゲリラ役
 昔々の冒険活劇(月光仮面みたいなもの?)をアダルトな雰囲気にした、派手なお芝居。空想か現実か、高橋響子さん演じる双樹という一人の少年が、時間を越えて若い頃の祖母を助けに行きます。
 久美さんの役は、戦争下にある世界で、解放軍側、サラマンダゲリラという女性だけで構成された志士たちの一人。と書くと、かなり格好良いですが、赤いリュックを背負った黒い下着(シュミーズ)姿で、妖しい歌詞の歌を合唱し、タンポンを打つという、ドキドキ(!?)な役だったりします。最後は格好良く撃たれて死にたいと、皆で大騒ぎします(笑)。
(白水社刊・北村想さん著「虎★ハリマオ」を参考に記述)

1988年10月15日〜23日-下北沢ザ・スズナリ
第14回公演
   「PICTURE BOOKS〜絵本」
   セリア役・太田連太郎の秘書2役(二役)
1988年10月-海老名市民会館
宮沢学園高校公演
   「PICTURE BOOKS〜絵本」
   セリア役・太田連太郎の秘書2役(二役)
1989年2月-パルテノン多摩
多摩演劇祭
   「PICTURE BOOKS〜絵本」
   セリア役・太田連太郎の秘書2役(二役)
1989年2月-横浜相鉄本多劇場
提携公演
   「PICTURE BOOKS〜絵本」
   セリア役・太田連太郎の秘書2役(二役)
 ミネオという病弱な一人の少年が、望遠鏡の向こうに見た空想世界。荒唐無稽な3つの物語からなるオムニバスで、友達のキンノスケが自分にも見えるかな?と望遠鏡を覗いていく形で進みます。
 久美さんが演じた役、まずは大田連太郎の秘書2について(セリアについては再演のところで述べます)。これは二つ目のお話に登場します。太田連太郎という、一冊の本(その本というのは、北村想さん自身の作品、「十一人の少年」!)から抜け出してきた奇妙な男。とある下宿屋に住む作家志望の青年らが書いた伝奇小説を、彼は自分の次の住む場所と決め、無理やり買い取ろうとします。挙げ句の果てに、下宿屋の大家さんであるちんどん屋の娘、デン子をさらってしまいます。久美さんが演じたのは、そんなスター気取りの悪党の秘書です。太田連太郎曰く、愛人でもあります。下宿屋に登場する時は黒いスーツ姿に黒い帽子を目深に被った出で立ちで、伝奇小説の世界の中では、オリエンタルな赤い着物姿で、髪を顔の前に垂らした、妖怪的な雰囲気になっています。太田連太郎にかしづかえるようにして立ち、不気味に笑い声を上げたり、踊り狂いながら若者らが書いた原稿を読み上げたりします。
(劇団21世紀FOX第4期生研究公演「PICTURE BOOKS」を元に記述)

1989年3月15日〜23日-下北沢ザ・スズナリ
第15回公演
   「FAIRY TALE」
   サユリ役(ダブルキャスト)
 朝から晩まで一日中、降り続く土砂降りの雨。そんな日がずっと続きっ放しのある日、酒場兼レストラン「FAIRY TALE」(フェアリー・テール)を舞台に起こった不思議な物語。このまま降り続ければ、ノアの方舟のごとく世界が水没してしまいかねない雨。その雨を止ませるために、というのが物語の骨子。その方法というのはまるでファンタジーなのだけれど、それを行うために皆がやったことは、ヤクザの抗争を描いたお芝居。そう、お芝居の中で、登場人物たちが雨を止ませるために「お芝居」をするんです。拳銃あり、タップダンスあり、忍野タケルさん(千吉役)が格好良かったりと、アクションものだったようです。
 久美さんの役は、歌手になるのが夢だった「FAIRY TALE」の店員。あけすけで軽そうな雰囲気、ユルい感じの女性です。劇中劇では鴬(うぐいす)という名の歌手になって、ブギを歌って踊ります。
(白水社刊・北村想さん著「寿歌西へ/FAIRY TALE」を参考に記述)
 写真集「キツネのみた夢」、酒場フェアリーテールのページで、踊っている久美さんを見ることができます。

1989年8月20日〜22日-新宿SPACE107、
           新宿シアターサンモール
第16回公演
劇団旗揚げ5周年記念公演
   「Sukoshi Fushigi もの語り」
   ウェイトレス役(ダブルキャスト)
 アンドロイドの役だったそうです。勝平さんが作った小道具、ピンク色のとんがったおっぱい、おっぱいマシーン、ドリルおっぱいを付けていたそうです(笑)。

1989年11月14日〜19日-下北沢・ザ・スズナリ
第17回公演
   「日曜日ナビはオルガンを弾いた」
   家庭教師役(ダブルキャスト)
1989年11月-調布市児童館ホール
特別公演
   「日曜日ナビはオルガンを弾いた」
   家庭教師役(ダブルキャスト)
 前述に同じ。個人的には、家庭教師はすんなりと想像できますが、デン子ちゃんの方は、色々パターンを考えてしまいます。どうでしょうか? 竹田愛里さんとのダブルキャストで、それぞれの持ち味を発揮されていたとのことです。屋根の上で気持ち良さそうに伸びをし、色気でハジメ君をからかう、「お姉さん」な久美さんのお姿が目に浮かびます。

1990年3月29日〜4月1日-新宿シアターサンモール
第18回公演
   「PICTURE BOOKS・2」
   浴衣の美女2役
 湯殿のシーンで、全裸のレオさんが洗面器を両手に持って、秘所を交互に隠しながらも、わざと久美さんに見せていたことがあったそうです(笑)。可愛い久美さん故の災難ですね。
 また、「PICTURE BOOKS」と言えば、こんな有名なエピソードもあります。劇中、ズボンを下ろし、パンツを下ろし、でもまだパンツを履いている(2枚、パンツを履いている)という男子学生がいましたが、そのシーンの練習をしていた勝平さんが久美さんに見せに行って、間近で失敗してしまったこともあったそうです。因みに久美さんの感想は……「ああ、やっぱりな」(笑)。
 色々ありますね、と、ここは流しておきましょう☆

1990年9月4日〜9日-新宿シアターモリエール
第19回公演
   改訂版「アリス・イン・ワンダーランド」
   アリス・ドッジ役
 久美さん主演、そして久美さんの代表作の一つです。ルイス・キャロル原作の「不思議の国のアリス」、「鏡の国のアリス」を下敷きにした物語。鏡の向こうの世界に乗り込んで、さらわれてしまった友達のリデルを探しに行く、可愛らしくも勇気ある少女の役です。純真無垢だけど活発なこの少女を、久美さんは伸び伸びと演じていました。笑い所も非常に多く、お話としても面白いものでした。可愛らしいファンタジーなのに、ちょっぴり下ネタもあったりするのは、FOXさんならではのことでしょうか。ミュージカル的要素も強く、歌が苦手だった久美さんはとても苦労なさったようです。「リデル」という歌が「電脳狐主義」というCDに収録されていますが、透明感がありつつ芯のある、美しい歌声を聴くことができます。
 そして……
 この公演からおよそ10年後、同じ場所で久美さんはご自分の舞台を実現することになります。
 百々麻子さん、長山左斗子さんの初舞台です。百々さんは鬼百合の花の役(いきなり鬼になりました・笑)、左斗子さんは子むく鳥の役で、「吉良上野介のキラ!」と叫んでいました。

1991年2月-大阪扇町ミュージアム・スクエア
      名古屋うりんこ劇場
地方公演
   「PICTURE BOOKS〜絵本」
   セリア役・太田連太郎の秘書2役(二役)
 名古屋への旅公演の折り、体育館みたいなところ(?)に泊まった思い出が久美さんにはあるようです。

1991年4月26日〜30日-新宿シアターサンモール
第20回公演
   「新・碧い彗星の一夜」
   明子役(ダブルキャスト)
 百々麻子さんとダブルキャストで、鹿島ぼんさんの奥さん役でした。浮気をしてしまう鹿島ぼんさん演じる夫に、包丁持って……というあぶな〜い役。この頃から、久美さんは大人の女性の役を演じるようになったそうです。

1991年7月30日〜8月4日-新宿シアターモリエール
第21回公演
   「PICTURE BOOKS〜絵本」
 『不思議の教室』というエピソードにて
   セリア役(ダブルキャスト)
 3つのオムニバスのうち一つ目のお話です。久美さんが演じたセリアは、ある中学校に転校してきたごく普通の女の子。ところが中学校の方は全く普通ではありませんでした。セリア以外の生徒は黒子姿、先生は白衣姿なのだけれども、何故か奇妙な人形を両端にぶら下げた棒を両肩に回して入ってくる。起立の仕方や、歩き出す時にどちらの足を先に出すか、歩幅は何センチであるかなどが厳密に定められた、偏執狂なまでに厳しい学校。
 ことごとく注意を受けながらも、かいがいしくセリアは習おうとします。が、ストッキングの色を注意され(校則通り黒だけれど、透けている、という理由で)、別に透けていないとセリアは言い返してしまいます。透けていないならスカートを下ろせ、などと言われ、更には口答えしたというかどから、裸になれとまで言われ、ズボンを下ろした黒子たちに追いかけ回されるという、災難な女の子の役です。性格は至って普通に可愛らしい、どちらかと言うと快活な子です。久美さんの役としては、すんなり想像できる役どころでしょう。
(劇団21世紀FOX第4期生研究公演「PICTURE BOOKS」を元に記述)

1991年12月3日〜11日-下北沢ザ・スズナリ
第22回公演
   改訂版「踊子〜THE DANCER MURDER CASE〜」
   南マリ役
 こちらのページをご覧になっている方にとっては、「西ユキ」の踊子の方が馴染み深いと思いますので、そちらと比べる形で書いてみます。物語の大筋はほぼ同じで、ミステリーに相応しい、危なげな雰囲気、ちょっときつめな感じになっています。キャストも半分以上、違い、役名も違っています。かっぺいさんがいつものかっぺいさんとは思えぬほどの役、迫力ある演技が印象的でした。
 そして久美さんは……同じピンク映画の女優役ですが、より扇情的な衣装で、少し年齢が下がった感じの色っぽさでした。天然も入っていて、アイドルっぽい空気もありました。はっきり言ってこのお芝居の久美さんの役は、一文字で表すと、Hです。いえ、違いました。私がHなんですね(笑)。久美さん演じる南マリは、黒瀬さん演じる酒向(さこう)に××を揉まれ、喘ぎ声を上げています。××は秘密です(笑)。
 正直な気持ちを書くと、ショックが3割、嬉しさが7割、といったところでしょうか。今まで久美さんの演技を舞台・アニメーション問わず見てきて、何度かこのようなショックを、多かれ少なかれ受けたことがありますが、その度に私は久美さんをより深く好きになり、尊敬の念が強まってきました。皆さんにも、そういった経験が多分あるのではないかと思います。
 本当、久美さんって不思議ですよね。

1992年3月20日〜22日-
扇町ミュージアム・スクエア(大阪公演)
1992年3月25日〜28日-
名古屋名演会館(名古屋公演)
1992年3月31日〜4月5日-
新宿シアターモリエール(東京公演)
第23回公演
   改訂版「日曜日ナビはオルガンを弾いた」
   家庭教師役(ダブルキャスト)
 初めて販売用としてパンフレットが作られた公演です。

1992年7月28日〜8月4日-下北沢・ザ・スズナリ
第24回公演
   改訂版「アリス・イン・ワンダーランド」
   アリス役
同年10月-静岡県菊川文化会館
静岡公演
   改訂版「アリス・イン・ワンダーランド」
   アリス役
 キャストが一部、入れ替わっての再演です。勿論、主演は久美さん。このように、再演された上、地方公演までなされた、抜群の人気を誇る作品、FOXさんの代表作でもあります。何と言っても、「キツネのみた夢」という写真集では表紙を飾っているくらいなのですから。
 末次加奈さんの初舞台です。

1992年11月5日〜10日-新宿シアターサンモール
第25回公演
   「インシデンタル・ギフト」
〜終わってしまった風景の夜に集いし者
                 汝らに幸あれ〜
   姐さん役
 廃虚となったビルに集まった、様々な人々の人間模様を描いたお話です。CD「電脳狐主義」で美しい音楽が聴けますが、とってもロマンチックなテーマの、素敵な芝居です。
 久美さんの役は、暴力団の「姐さん」。¨新撰組¨の四代目の代紋を背負った親分です。ヤクザはにんきょうの世界に帰らねばならない、という考えの持ち主で、覚醒剤をご法度にし、武器の所持を放棄した人。堅気に迷惑を掛けないのがモットー。
 歳の頃は20代後半といったところでしょうか。久美さんは大人の女性の表情と声、仕草で、色っぽく格好良く、艶っぽく演技しています。声のトーンは、低い声〜蓮っ葉で明るい声。
 気の好いところが、非常に素敵な個性となっていて、若さ故の脳天気さも滲み出ている、久美さんの芝居です。ごくごく自然に話している久美さんの演技なのだけれど、ヤクザを従えるだけの貫禄も良く出ています。でありつつ、貫禄から若さをマイナスした、微妙なあんばいもなかなか上手です。また、少しエロい雰囲気もあります。
 マリファナの取り引きの場にしようと、この廃虚を選んだ組員に案内されて、久美さん演じる「姐さん」は登場します。あの黒瀬さんとタケルさんを従えています(笑)。
 クラブ(?)の女性のような、過激な感の白いスーツとミニスカート姿で、興味津々に、且つ偉そうに、辺りの様子や組員の話を値踏みします。
 また、「ここは……妙な場所だねえ……」と呟き、廃虚を眺め回し、ヤクザである自分たちの存在と、この不思議な場所とを掛け合わせ、渡世のことなどどうでもよくなってくると、漏らします。雨に濡れたネオンに心奪われ、「ネオンが綺麗だねえ!」と顔を輝かせ、「ああいう風に、あたしの心も雨に洗われたいよ……」と、疲れたように呟きます。
 この辺の、彼女の人生と横顔を垣間見せ、人物と魅力に更に幅を持たせているところの演技は非常に見事です。情景、そして彼女の感傷的な気持ちが、しっかと伝わってきます。
 出てきた瞬間から視線を釘付けにする、そして、それまでのほのぼのとした舞台の空気を、シーンに合わせて一転させる迫力と存在感はさすがです。惚れぼれするクールさと色っぽさと明るさに溢れた台詞回し、それらに合った、目を惹き付けてやまない仕草が、とっても素晴らしいです。
 更に、面白みのある演技も特筆せねばなりません。
 廃虚を稽古場にしようとする劇団と対立した時は、「あたし今日からメンス(生理のこと)なんだ」と、それまでの話の解るお姐さんから豹変。彼女は、生理になるとヒステリックな性格に変わってしまうのでした。のっしのっし歩いていきながら、劇団の制作と対決します。
 丁寧な口調から途端に崩れていく様が物凄く愉快で笑えます。「よろしいですねー!」と、太い声で腹の底から絶叫するところは傑作。
 お話の中で、重要な位置を占める役ではありませんが、一つの香辛料的な役割を果たしたと言えるでしょう。下世話な言い方をすれば、色っぽさ・エロっぽさからサービス担当であり、上述したようにギャグ担当でありつつも、ヤクザの姐さんの、ステレオタイプではない、独特の個性と迫力ある芝居、魅力的な人物像は凄いです。
 魅力、と言うかキャラクターが、気持ち、散漫がちになるところは、十年以上前の久美さん故、ということでしょう。
 余談ですが、「踊子」の西ユキのように、吸わない煙草も吹かして頑張っています。
 やはり久美さんの大人の女性役は、可愛らしい女の子役以上に魅力的で素敵なのです。



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