・久美さんの演技、その個性

 もう一つの久美さん、声優の久美さんも含めてのお話です。
 久美さんの最大の個性、それはキャラクターの明るい部分は徹底して明るく、女性的な部分は徹底して前面に押し出す、この二つだと思っています。
 目を閉じて、久美さんの声だけに耳を澄ましてみて下さい。
 笑っている時、はしゃいでいる時、喜んでいる時、etc……。
 他の俳優さんとは違う、突き抜けた明るさ、人が無意識のうちにセーブしてしまっている感情表現、その殻を突き抜けた明るさが感じられます。勿論、役によっては内面的なキャラクターもありますが、ふとした瞬間に現れる明の部分は、明らかに他の役者さんと比べて突出していて、個性的だと思います。
 悪役にしても言えることがあります。嘲笑う様、ほくそ笑む様、そこにはやはり、明るさと言うと語弊があるでしょうが、痺れるような格好良さ、気持ち良さがあります。爽快感と言うのでしょうか。
 可愛らしい役からアダルトな役まで、これは全てに共通して感じられる個性であると思います。
 そしてもう一つの共通項、女性独特の広い意味での色気。少年役や余りに小さな女の子役は別として、久美さんが演じられる女の子、女性には、「女性」を意識してしまうほどの空気が感じられます。フェロモンと言っても差し支え無いでしょう。
 舞台においてはルックスとも相俟って、目を引き付けて離さないほどです。表情と仕草が、時に台詞の何倍もの力で、「明るさ」と「色気」を放ちます。まるで特殊なカメラを使えば、その波動・空気が目に見えるのではないかと思うほどです。しかしそれでいて自然。力み一つありません。間違い無く久美さんの個性が色濃く出ているはずなのに、そこに立っているのは久美さんではない。架空の世界の一人の女性……。架空だけれど現実にいてもおかしくないほどの強烈な存在感。それもまた、久美さんの一つの個性かもしれません。
 そしてこの二つの個性を支える演技力。出た言葉を「信じ切ってしまう」確かな台詞、感情が役の後を尾となって引いているようなアクション、多彩で自然な、リアルな人間を演じ抜ける、豊かな表情。これらがばっちり確立されているからこそ、個性を感じることが出来るのだと思います。

・久美さんの声

 鮮やか。これに尽きると思います。可愛らしい声から悪女な声まで、それらは五線譜に書き表すことが出来るくらい、はっきりとした音色(おんしょく)を持っており、多彩です。そして一つの役の中でも、その時々の心情によって、また多彩です(だから書き表したいと思っても、不可能なのですよね)。久美さんが感情をしっかりと声によって伝えている証でもあり、特に感情豊かなキャラクターはそれによって、見事に表現されています。
 更に舞台の上では、一言一言が確かな声量によって、心の琴線に触れてきます。間の取り方も含め、これは声のお仕事を数多くこなしてきた久美さんの、大きな強みです。
 アニメーションにおいては、可愛い声、可愛らしくてコミカルな声のイメージが強いですが、悪役や、ナレーションにおけるセクシーな女性の声は、どきどきするほど魅力的です。例えばクラリネットは比較的高音域のパートを受け持つ楽器ですが、時に低音で奏でられるメロディはとてもセクシーです。また7オクターブの声域を持つマライア・キャリーが、低い声で歌う所をお聴きになったことはあるでしょうか。物凄く色っぽいです。西原さんの低音の魅力はそれらに似ています。
 それから忘れてはならないことがもう一つ、久美さんは可愛さ・幼さが求められる役が多いですが、どれ一つとして同じような声は無いように思います(全てを見た訳ではありませんが)。これもまた前述したように、久美さんが一つの役の感情を声を通して的確に表現し、一つ一つの役に真剣に取り組んできたからこそでしょう。



 舞台や声優といった枠に拘らず、これからもどんどん活動を広げていきたいという久美さんです。今も演技に対して、とても貪欲です。今も勉強を続けています。久美さんの魅力はこれから更に広がることでしょう……。